音鉄さんのバイブルを作りました!音響のプロが教えるマニア度別音鉄デビューセット!

音鉄さんのバイブルを作りました!音響のプロが教えるマニア度別音鉄デビューセット!
この記事についてドラマ:鉄オタ道子、2万キロの第4話では音鉄さんが登場します。
撮り鉄さんの機材などはネットでもかなり情報が上がっており手に入りやすいですが音鉄さんの機材情報などはまだまだ少ない印象ですよね。
そこで本日は音響のプロが音鉄さんに最適な機材や撮り方、注意点などを含めて音鉄さんデビューセットをご提案。
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まずは難しいことは後回し、プロがおすすめする3種類のセットを紹介したあと、音響についてダラダラと語っていきますね!

結論:3タイプのセット

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音鉄といっても本当に様々な録音機材や方法があります。
いろいろ試してみて2023年時点で初心者〜ハイアマチュアまで幅広く対応できる最強セットを2セット用意しました!

おすすめセット:初心者向け

DR-05X ハンディレコーダー

32bit収録は未対応なもののプラグインパワーでのマイクアンプ性能が本当に素晴らしい逸品。

ヘッドホンアンプも素晴らしく、Kotaro Studioの音響顧問:五島昭彦氏は携帯プレーヤーとしても使っているほど。

こちらの記事では総額72万円の機材と対決しています。

DR05Xの音質を確認

ROLAND CS-10EM ASMR

バイノーラルマイクはたくさん発売されていますが、最もコスパに優れたのがこのマイク。

耳に入れるだけで超高品質な録音ができます。

これよりも高いバイノーラルマイクを選択しても多くの場合そこまで違いはわからないでしょうし、後々編集技術で同じ水準まで持っていくことができます。

バイノーラルマイクはこれを選択してください。

SENNHEISER / HD25

モニターヘッドホンはだいたいどんな場合もこのHD25を選択していれば間違いは起こりません。

バイノーラル収録の場合はHD25でモニターしながらの録音はできませんが、現場で収録した音を確認したり、編集したりするときに必須となります。

DR-05X(素晴らしいヘッドほなンプ)との組み合わせであれば携帯音楽プレーヤーとしても機能します!

失敗しないおすすめのヘッドホン特集

おすすめセット:中級者向け

ZOOM / M4 MicTrak

32bit収録可能な最高のレコーダー。

バイノーラルマイクを耳にセットしM4に接続したらあとは電車をただ感じるだけ。

素晴らしい音質で収録でき、且つ外部入力で本格的なマイクも使用可能なので様々なスタイルの録音を楽しむことができます。

こちらの記事では電車内の音もサンプルとして用意しています。

M4 32bit 参考音源多数

ROLAND CS-10EM ASMR

ZOOM M4の仕様としては、このマイクを使った場合は内蔵マイクは使えない仕様となっています。

M4の場合内蔵マイクもかなりのクオリティーですので、お好きな方を使い分けてください。

内蔵マイクとバイノーラルマイクの聴き比べは下記の動画を参考にしてください。

SE8 PAIR

M4の外部入力用マイクは何がいいか?

ちょうどいいバランスなのがSE8だと言えます。

どんな音を録りたいか?などによって、M4の内蔵マイク、バイノーラルマイク、外部入力でのSE8と使い分けてみてください。

別売りの交換カプセルを付け替えれば簡単に無指向性マイクに早変わりです。

無指向性マイクカプセル

おすすめセット:ハイアマチュア〜プロ向け

ZOOM / F6

F6は本当に素晴らしいレコーダーです。

合計6chのマイク入力が可能ですし、VRマイク+2chの組み合わせだって可能。

しかも32bitなので、音が割れてしまったりと録音が失敗することがありません。

SE8 PAIR

F6クラスのマイクアンプになるとKM184も最適解ではありますが、SE8でも充分な音質を確保することができます。

MKH416

業界定番のMKH416の超指向性の音もF6のマイクアンプであれば真価を発揮することが可能です。

ショットガンマイクはコスパを高めるのが難しい分野でどうしても金額は高くなってしまいますが、安物買いのなんとやらになりやすいので、最初からMKH416のようないいものを選ぶようにしてください。

HD25

もうしつこくでごめんなさい。

でもそれくらい音に関して言えば完璧なモニターヘッドホンなんです。

F6で収録する際もこちらのHD25でモニターしながら収録を楽しんでください。

音鉄のコツ

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音鉄デビューするにあたってまず最初に抑えておきたいポイントは必ずステレオ以上で録音してほしいという点。
先ほどの初心者向けセットか、中級者向けセットでバイノーラルマイクを選択した方は、ここは考えなくてOK!
赤いプラグをプラグインパワーに差し込んだ時点でちゃんとステレオ録音できます。

注意してほしいのが、ショットガンマイク一本でモノラル収録してしまうということ。

初心者がよく陥る間違いです。

どうしても臨場感に欠けますし、再現性も低くなってしまいます。

マイクロフォン一本のモノラル収録だと電車が通過していく過程や、動きが表現できません。

ショットガンマイクは補助

じゃあショットガンマイクは使わないのか?

というと・・・

音鉄さんは是非使ってほしいです。

基本的にショットガンマイクはステレオペア録音の補助として採用します。

メモ補助という書き方をするとちょっとニュアンスが違うかもしれません。
音の要になるのは間違い無いですが、ショットガンマイクを軸に考えると編集段階で苦戦を強いられることが多くなります。

考え方の例としてこの図をみてみてください。

こんな感じでショットガンマイクはピンポイントで欲しい音を狙うために使用します。

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もう少し専門的に録音したい方は中古でパラボラ集音器を探すのもグッド!
ショットガンマイクとはまた別次元のピンポイント録音が可能になります。
電車であれば例えば足元、線路の結合部の切り替わりの音などはショットガンマイクよりも遥かに繊細に録音可能です。
ステレオの音声にミックスして作り上げてください。
鉄道のサンプルではありませんがパラボラ集音器のサンプル音源はこちらの記事を参考にしてみてください。

ステレオペアマイクの方は無指向性でも指向性でもどちらもで構いません。

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メインのステレオマイクを選ぶ時は最終的にどんな音に仕上げたいのかによって変えていけばOK。
例えば無指向性にすると背景からの反射音などがより多く入ってきます。
中級者向け〜ハイアマチュア向けのセットで紹介しているSE8はカプセル交換式ですのでそういう意味でもベストな選択肢になります。

背景からの反射音とは?!背景からの反射音と言われてもまだ音鉄デビュー前の段階だとピンとこない方も多いかもしれません。
鉄道が走っているということは、そこには人が住んでいる街、村、集落なわけです。
これらはそのエリア独特の反射音を形成していきます。
それは家や建物の数であったり、鉄道の周りがコンクリートで舗装されているのか、山道なのか、湿気が溜まりやすい場所か抜けやすい場所か、海に近いか遠いかなどなど。。。
様々な環境によって音は変わってきますし、反射音の性質も変わってきます。
すごく単純思考で無理矢理まとめて考えてみると抜けのいい場所などでは無指向性がいいですし、少し抜けの悪い篭りやすい街や場所などでは指向性がいいですね。

ここは本当に難しいところ。

ここが難しいから音の世界は楽しいんですよね。

そこと各種マイクロフォンのキャラクターとを考えながら機材選定していきます。

ショットガンマイクも後述していますが、気温が低く、湿気の多いエリアで音鉄する場合はCMIT 5Uを選択というように変えていくのも楽しい作業です。

ちなみにCMIT5Uはショットガンマイクの最高峰。

次の選択肢が冒頭のハイアマチュアセットで紹介しているMKH416となります。

そう考えるとMKH416はコスパがいいのがわかると思います。

一般的に湿気の多いエリアでは音のスピード感は停滞します。

反響の反射角も広くなる。

ここで考えられる点は全体を録るステレオペアの角度(オランダ方式)を広めに取ったり、AB方式の場合も広めに幅を取ったりすることで湿度や雨に対しての音響特性が調整可能になります。

このあたりが創意工夫、本当に面白い世界なので、是非試行錯誤しながら楽しんでみてください。

ステレオ録音のセッティング方法とワンポイント録音のススメ

服装の注意点

服装については、シャカシャカしたタイプの合成繊維等を避けるのは当然ですが特に注意してほしい点は靴。

歩きながら録ったりすることもあるでしょうし、録音中にどうしても位置を変えたい時や、移動しなければいけない時などがある時に足音というのは非常に存在感の大きなものになってきます。

抜き足差し足という言葉がありますが、抜き足差し足のできるタイプの靴を選ぶようにしてください。

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録音の現場ではロケの場合裸足で録音するなんてことはかなり当たり前にありますし、スタジオ収録でも可能であれば靴を脱いだり音に対しての意識を優先することは重要です。

レコーダーについて(Tascam or ZOOM)

さて、録音の要となるレコーダー。

PCやタブレットの小型化も進んでいる昨今ですからそれらを組み合わせてシステムを作るのもいいかもしれません。

しかし、よりコンパクトに録音機だけで収録する方が今の所はトラブルが少なくていいのかなと思います。

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鉄道収録はすべて外でのロケ収録になるため機種単体でレコーディングまで完結するタイプのものが圧倒的におすすめ!

初心者〜中級者の方はタスカムかズームの二択でOK。

でもどっち?

多くの方が悩むポイントですよね。

どちらにも肩入れしていない筆者が忖度なしで回答していきます。

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基本は冒頭の結論セットでOKです。

Tascam を選んだ方がいい人は二極化

      
  1. 内蔵マイクだけで収録したい初心者さん。
  2.   
  3. マイクアンプは別で用意できるプロ級レベルさん。

内蔵マイクだけで手軽に録音したい、撮り鉄だけど音も撮りたい初心者の方はタスカム。

最近のタスカムの内蔵マイクは本当に素晴らしい性能を持っています。

加えてプロ級、超マニアを目指す方もタスカム。

タスカムのフラッグシップモデルになるとマイクアンプを切り離す仕様になっていたり。

これはマイクアンプにもこだわるハイアマチュア向けの仕様になっており、ハイアマチュアにとっては嬉しい仕様とも言えるでしょう。

Kotaro Studioの音響顧問の金田式DC録音もすでに廃盤になっていますが、Tascam のDA3000というレコーダーを愛用しています。

そのため、タスカムは本当に軽装で録音したい初心者か、マイクアンプもこだわったハイアマチュア向けのオーディオメーカーといえます。

ZOOM を選んだ方がいい人がほとんど

  1. 外部マイクを前提としてしっかり録音やりたい人。
  2. VRマイクなども使いたい人。

一方で外部マイクを前提とできる人であれば、マイクアンプやADCもばっちりでヘッドホンアンプも世界最高水準なZOOMがおすすめです。

さらにVRマイクなども駆使したい人は今の所ZOOM以外の選択肢は考えにくいです。

RØDE NT-SF1 VR mic Test Sound テスト

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ZOOMはFシリーズなどになってくるとマイクアンプも本当に素晴らしいものを搭載しています。
こちらは電車ではないですが、バスのエンジン音。
ZOOM F3とDPA4060という無指向性マイクのステレオペアのみのシンプルな収録。

番外編:予算がある人はブランド品?!

予算がある人はMixPre-6 II(シリーズ)がおすすめ。

こちらのBBCクラスを目指す記事でも紹介していますが、SOUND DEVICESはやはりブランド力を持っています。

“BS NHKやBBCクラスの音声を目指す4つのポイント”プロが教えるビデオマイクセットの{松竹梅}

当スタジオの音響顧問五島昭彦先生もSOUND DEVICESの702Tというレコーダーは長く愛用されています。

こちらで筆者がピアノ演奏を担当しているドラムレスジャズトリオの音源があるので702Tのマイクアンプ性能を体験してみてください。

DPA4006 + Sound Devices 702T drumless jazz piano trio “Uses a 1907 Pleyel piano”

マニア度別おすすめの録音機材

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ここからは具体的にどんな機材セットがいいのか?!
冒頭の結論セットと被る点もありますが、他の選択肢も含めて総合的に紹介していきますね!

予算3.5~5万円 / 超初心者機材

まずは音鉄デビューしてみたい方。

iPhoneではちょっと寂しいという初心者向けにおすすめなのが、マイク内蔵型のレコーダーです。

Tascam DR40X

内蔵マイクの性能
7.5
操作性
8.0
携帯性
7.0
コスパ
8.5
総合的な音質
8.0

まずおすすめなのがDR-40Xです。

これは内蔵マイクが素晴らしいです。

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DR-05Xの場合は内蔵マイクがちょっと頼りないのでバイノーラルマイクありきの存在です。
こちらのDR-40Xは内蔵マイクだけでいい音録れます!

当スタジオでもサンプル音源掲載していますので是非チェックしてみてください。

ジャンルを選べば音楽収録なんかも一台でできちゃう優れもの。

近年半導体不足も合わさり基本的に各オーディオメーカーが1ロットあたりの製造台数を控えめに作ってくる傾向もあるため、品切れになりやすいので注意しましょう。

これに加えて当スタジオでも一押しのモニターヘッドホンHD25を組み合わせれば完璧。

Tascam DR-05X + バイノーラルマイク

内蔵マイクの性能
3.5
操作性
9.0
携帯性
9.5
コスパ
9.5
総合的な音質
9.0
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冒頭で一番最初にお伝えしたセットです。

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こちらの記事ではA,B,Cと3種類のパターンをブラインドでテストしています。
中にDR-05Xと自作マイクの組み合わせ音源があるので是非チェックしてみてください。
オーディオはお値段じゃないところがよく伝わると思います。

ZOOM M4

内蔵マイクの性能
8.0
操作性
7.5
携帯性
8.0
コスパ
5.5
総合的な音質
8.5
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冒頭の中級者向けで紹介したZOOM M4は32bitで録音できるので基本的に音が割れたりといった失敗がありません。
編集のやり方を覚えてしまえば超簡単に現場で立ち回れます。
M4内でのノーマライズ処理の機能もあるため制作も非常にスピーディーです。

M4の内蔵XYマイクはかなり優秀。

単体でもここまでの音が録れます。

32bitで失敗がなく、内蔵マイクも素晴らしく、プラグインパワーのマイクアンプもしっかりしている全部盛りなMシリーズです。

予算5万〜10万 / 目指せ中級者!

DR-100MKiii

内蔵マイクの性能
9.5
操作性
8.5
携帯性
9.5
コスパ
7.0
総合的な音質
8.5

5万円以上予算をかけられるという方は、DR-100MKiiiという手があります。

この音源は尾道で収録した福本渡船の出発の様子。

出発の合図である笛の音に注目すると冒頭で説明した環境の反射音などがよくわかると思います。

こちらはDR40Xよりもさらに内蔵マイクが素晴らしいですし、192khz収録できるのも特徴です。

この機種は現在だと中古市場で探す必要がありそう。

こちらもサンプル音源用意してますので是非聞いてみてください。

尾道で収録した福本渡船のエンジン音などもあります。

個人的にはこの機種、歴史的名機だと思ってます。

ZOOM H6

内蔵マイクの性能
7.5
操作性
7.0
携帯性
6.5
コスパ
8.0
総合的な音質
9.0

他にはZOOMからH6があります。

F6やF3も10万円以内で買えるじゃん!

というのはわかります。

しかし、F6やF3を使うとなると使うマイクロフォンがどうしても高額になってくるため10万円以内には収まらなくなってしまいます。

H6の場合はカプセル交換型のマイクロフォンを装着できますので、外部マイクでステレオペアをつけてH6本体にはショットガンマイクのカプセルを使うスタイル。

他にも、本体自体はXYカプセルを装着して、外部マイクでショットガンマイクを選択するスタイルなどいろんな方法が考えられます。

もちろん外部入力が4トラックあいてますのですべて外部マイクという選択肢もありです。

拡張性が高く、使い方次第ではかなり化けるレコーダー。

こちらはロケで使っていたことがありますが、著作権上公開できるサンプルがないのが残念。

低域から中域への切り替わりに独特のニュアンスを付加することができるため、シネマティックな音声作りにも最適です。

H6に合わせるマイク

予算内で収めるプランで考えた時に指向性マイクを使うならベストな選択肢は、ベリンガーのC-2は候補に入れてOK。

指向性マイクのステレオペアマイクの中でこの価格にしてはありえない音を返してくれます。

こちらは来島海峡の渦潮と船のエンジン音の様子ですが、C-2のみで収録しています。

ただし、XY方式のマイクカプセルは最初から付属品として付いてくるので、H6を使うのであれば外部マイクは無指向性にするというのがバリエーション豊かなシステムかもしれません。

無指向性で予算内に収めるとするとやはりJTS CX500です。

これ2本買っても1万円ちょっとですから、H6+CX500+HD25+ショットガンマイクのカプセル。

これでも10万円を切るセットになるのではないでしょうか。

これ結構コスパも高いですし、能力値も高い。

しっかりプランを立てて音声編集も丁寧にこなせばかなりの水準に到達できるレベルです。

もちろん予算が許せば冒頭で紹介しているSE8やノイマンのKM184などがあれば素晴らしいですね。

Portacapture X8, X6

Portacapture X8 をサウンドハウスでチェック

もう一点はタスカムのPortacapture Xシリーズ。

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ただしX6は非常に中途半端な印象を受けます!
特にX6に特別な理由があるわけでもなく購入するならそんなに価格の変わらないX8がいいでしょう。

こちら192kHzで尚且つZOOMのM4やFシリーズ同様32 bit float録音に対応していますので、失敗のリスクなく収録することができます。

内蔵マイクの性能
8.0
操作性
8.0
携帯性
7.0
コスパ
7.5
総合的な音質
8.0

また、タッチ操作で使いやすいGUIを採用しているのも特徴でフィールドレコードモードなども搭載されており、ある程度のオートマチック収録ができます。

ハイアマチュアや音源制作向け

さて、ここからは基本的に内蔵マイクは考慮しないスタイルになっていきます。

カメラで例えると・・・
内蔵マイクというのはカメラに変換するとレンズ内蔵型のコンデジのような存在です。

もちろん高級レンズが搭載されたモデルなどもありますのでコンデジ=初心者向けとはいえません。

【作例】GOOPASS で借りた Leica Q 簡単な作例とレビュー

ハイアマチュアや本格的な音源制作として音鉄を目指していくためにはカメラと同じ。

ボディとレンズは別で用意しましょう。

つまり、レコーダーとマイクは別で用意しましょう。

ZOOM F6 / F3

マイクアンプ性能
9.5
操作性
8.5
携帯性
8.5
コスパ
9.5
総合的な音質
9.5

当サイトでも何度も紹介している非常にコスパの良いレコーダーといえばF6。

フィールドレコーダー ZOOM F6 ビデオグラファー必須の一台

もちろんフラッグシップ機を目指すのであればこれよりさらに選択肢はありますが、個人所有であればこの辺りで十分すぎる性能です。

F3という機種も発売されていますが、選び方のポイントは使うマイクチャンネル数。

例えばVRマイクを使用したい場合などはF6一択になります。

こちらの記事でVRマイクとF6の接続方法について解説していますので是非参照してください。

RØDE NT-SF1 VR mic Test Sound テスト

F3の場合は2チャンネル限定ですので、一種類のステレオ録音。

マイク選びこそが極めて重要になってきます。

ちなみにこちらのサンプル映像は冒頭の音声がF3+DPA4006、演奏部分はF6+DPA4006。

マイクアンプ性能は圧倒的にF3がワンランク上です。

F6は機能性で勝負+F3とはまた少し違った種類のマイクアンプになりますね。

F3はDPAのマイクはもちろん最高ですが、ゼンハイザーMKH8020なども最高です。

とんでもない素晴らしい音質を発揮する組み合わせになります。

こちらは当スタジオのチャンネルではありませんが、この方はF3にMKH8020を組み合わせて音響を作っておられますので大変参考になります。

ZoomF3 96kHz + Sennheiser mkh8020 stereo sound samples, nature birds water voice

MKHマイクの性能そのものはこちらの記事を参考にしてください。

【このマイク、凄いです】SENNHEISER MKH8040, MKH8020を徹底分析

自作スキルのある方はプリモEM158などはかなりおすすめで筆者はF3との組み合わせで鉄板のコンビだと思っています。

【視聴あり】DPA4060 vs EM158 音声テスト比較

VRマイクの選び方

VRマイクの場合はF6とHD25があればこのシンプルなセットで完成です。

VRマイクは主にゼンハイザーから出ているものと、ロードから出ているものの二択になってくるかと思います。

ZOOMからもVRマイク搭載レコーダーが出ていますが、こちらは簡易装備となっており、音質自体も中途半端で使い所が難しい機種になりますので、VR行くならゼンハイザーかロードの二択にしてください。

サウンドデバイス

MixPre-6 II レコーダーサウンドハウスでチェック

F6よりもお値段高くなりますがサウンドデバイスはオーディオレコーダーとしては最高のブランドです。

チャンネル数によって価格は違いますが、6チャンネルのものが最もコスパがいいでしょう。

実際に長期使用経験がないため、詳しいレビューが書けないのが残念ですが、予算に余裕がある方やお仕事としてブランド力がある程度必要な方はサウンドデバイスを選択するのもいいかもしれません。

海外での知名度はZOOMも高いですがやはりサウンドデバイスはどの国のエンジニアにも名前が通じますので、海外のチームで制作したりする場合は名前が通りやすいです。

最高のマイクでシンプルに切り取る方は2チャンネルのものも。

【重要】マイク選び

ここから搭載するマイク選び基本的にF3などの2チャンネルのデバイスで録音する場合は最高のマイクロフォンを選択。

F6やMixPre-6 II、その他の複数チャンネルで運用する方はマイク選びが重要。

ただ高級なものを揃えればいいというわけではなく、音鉄さんですから、創意工夫も必要です。

ロケ収録の機材選定とマイクの使い方

メガネマイク例えばメガネマイクやクネローゼを使った移動式のマイクスタイルはある程度幅が必要な無指向性マイクの移動セットには最適です。
こちらのクネローゼの記事を参考にしてみてください。
メモメガネマイクやクネローゼを使った移動式のマイクセットの注意点として、バイノーラル録音同様、呼吸は口を開けてしなければいけない点です。
鼻呼吸してしまうと随時鼻の音が収録されてしまいます。
そのため、常に口を半開きにして呼吸しましょう。
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こちらは尾道は千光寺ロープウェーに乗ったときにメガネマイクで収録した音源。
ロープの質感もしっかり入っています。
これはメガネマイクステレオのみで収録し、レコーダーはかばんにはいっていますので、他の人からまさか録音しているとは思われない見た目で、おかしな点があるとすれば、筆者が常時口を半開きにしていたことくらいでしょうか。

メガネマイクはバイノーラルほどではないにせよ、ある程度の立体音響感も感じられます。

一方で完全にAB方式で録音するためにクネローゼを使って首からかける方法もあります。

筆者はこんな感じでウインドガードとセットで無指向性のAB方式を組んでいます。

この地球上で最も優れた三脚、マイクスタンドは人間であることを忘れてはいけません。

おすすめの無指向性マイクは当サイトでも何度も紹介していますゼンハイザーのMKE-2になります。

【音源試聴】Sennheiser MKE2 音質

為替の影響で2本で10万円を超えてきていますが、やっぱりマイクで妥協すると頑張って他の機材を揃えた意味もなくなりますし、一期一会の音響機会は妥協したくないですよね。

このステレオペアに加えてショットガンマイクもしくはパラボラ集音器を使ってポイント(要素)を狙い、ミックスするというスタイルが理想的です。

ショットガンマイクのおすすめはMKH416。

ショットガンマイクはどうしてもお値段が高くなってきますが、MKH416が一つのオーディオ史の中での超指向性マイクの答えともいえます。

他にも値段の高いマイクはありますが、SCHOEPSのCMIT 5U以外はどれも50歩100歩。

高くても音の微妙なのもあるくらいです。

ポイント別格ショットガンマイクのCMIT 5Uですが、MKH416との使い分けをどうするかというと、MKH416の方が低域のモコモコしたところに輪郭を持たせる性質があるので、例えば海や水の音なんかは水温が高い場合はMKH416がいいですし、水温が低い場合はCMIT 5Uがいいです。
こんな感じでフラッグシップマイクは状況と環境によって使い分けます。

予算上限なし〜プロよりも極めたい人向け

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ここからは潤沢な予算がある方向けの機材です!

ポイントプロというのはどんな状況でも、どんな環境でも80点のクオリティーを出す人のことです。
ハイアマチュアは自分で状況や環境を選んで120点のクオリティーを出すことができますので、プロよりもすごいハイアマチュアは世の中にたくさんいます!

予算に上限なくプロの音響エンジニアよりも音鉄を極めたい方は是非参考にしてみてください。

廃線になる予定の電車や珍しいパーツが使われている車体など、歴史資料としてアーカイブすることもできます。

もちろん音鉄ですから、リュックサックかカバンに機材がすべて収納できることが条件になりますので、音楽収録とは分けて考えてください。

失敗しないマイク選び〜とりあえず最高のマイクを教える

マイクロフォン

CMIT 5U

マイクロフォンは先述したショップスのショットガンマイクが最高です。

このマイクは別格です。

マイクアンプの性能も100%引き出せますし、マイクアンプを選びます。

絶対に変換ケーブルを使ってカメラに挿したりしないでください。

注意Youtubeなどで、このCMIT 5Uをそのままミニプラグに変換してカメラに挿して使っている方もいらっしゃいますが、その使い方だとCMIT 5Uの性能を完全に消してしまうことになりますので、最適なマイクアンプを選択するようにしてください。
詳しくはカメラにマイクを挿さないで記事を参照してください。

もう一度言うよ!何度でも言うよ!カメラにマイクを挿さないで!

FINAL CUT備忘録 レコーダーの音を映像と合わせる方法 “クリップの同期”

KM184

KM184をサウンドハウスでチェック

【NEUMANN KM 184】各マイク位置でのピアノ音源テストや比較!

一方で指向性のステレオペアマイクとしてはノイマンのKM184はかなりおすすめ。

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184のページでも紹介していますが、予算を抑えたい方はSE ELECTRONICS ( エスイーエレクトロニクス ) / SE8というマイクロフォンのペアも代替品とかなりの性能を出してくれます!
状況によりますが、特に金属音などはSE8でカバーできる音源もたくさんあるかと思います。

SE ELECTRONICS ( エスイーエレクトロニクス ) / SE8 PAIR をサウンドハウスで見る

こちらは広島県三原市の久井の岩海という場所で、森の音をノイマンKM184で収録した音です。

ノイマンKM184は空間の体積を表現するのに非常に優れたマイクで、それは何を意味するかというと反射音への感度が非常に高いということになります。

空間にあるディレイやリバーブなども的確に捉えることができるので、繊細なマイキングも求められます。

オンマイクとオフマイクの聴き比べは古楽の録音でテストしています。

非常に細かいですが音の広がり方に大きな変化があるので是非チェックしちゃってください。

DPA4060

こちらも先述していますが、やはり紹介しておきたい存在です。

ラベリアマイクの最高傑作と言えます。

DPA4011

4011はDPAの指向性マイクですが、これはこれで別格。

お値段もそれなりにしますが、最高音質で録音できます。

音鉄の場合はウインドスクリーンなどをパーツ買い、または自作したりする必要がありますが、ここまでのマイクを音鉄で録音するとなると、この記事内ではサポートできないため、またの機会にします。

予算に余裕がある方はDPA4011は買って失敗することはありません。

SCHOEPS MK 5

MK 5をサウンドハウスでチェック

DPA4011が購入対象になる予算がある方にはMK5も紹介しておく必要があります。

もしも、音鉄以外にピアノの録音もしたい方は先述のDPA4011を選択。

もしも、音鉄以外に弦楽器やオーケストラの録音もしたい方はこちらのMK5を選択。

レコーダー

先述のサウンドデバイスやズームのレコーダーはもちろん最高。

SOUND DEVICES ( サウンドデバイス ) / MixPre-6 II レコーダー をサウンドハウスで見てみる

ショップスのCMIT 5Uも思う存分性能を発揮することができるかと思いますし、NEUMANN KM 184も新たな可能性を引き出すことができるかと思います。

しかし潤沢な予算がある方はRMEという選択肢も検討してください。

RMEを検討する場合はマイクアンプ、レコーダーとそれぞれ分けて機材を揃えるのが一般的。

まとめ

      
  1. モノラルじゃなくてステレオで録る。
  2.   
  3. 初心者は内蔵マイクが優秀なタスカムのレコーダー。
  4.   
  5. 中級者はマイキングで音が変わるマイクを選択する。
  6.   
  7. 上級者〜ハイアマチュアのショットガンマイクはCMIT 5U。

前半でもお伝えしましたが、中級者以降になると、状況や環境によって最適なマイクが変わってきます。

ここはもうレンズ選びなんかと同じ。

当記事でおすすめしているマイクは総合スコアの高いものになりますので、いろいろ試してみて自分の中でデータを取って体得していくしかありません。

音鉄はとにかくマナーが最優先です。

機材は自分の身体からはみ出さないセッティングにするのが大原則であるのと同時に一脚やスタンド等は身長の低い子供さんなどに当たったりするリスクもありますので移動中は特に注意するようにしてください。

ポイント撮影でもそうですが、基本的に移動時は荷物を抱っこするスタイルを癖にしておきましょう。
マナーを守って楽しい音鉄ライフを楽しみましょう!

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プロフィール

こうたろう
こうたろう
音大を卒業後ピアニストとして活動。
日本で活動後北欧スウェーデンへ。
アーティストLindha Kallerdahlと声帯とピアノによる即興哲学を研究。
その後ドイツ・ケルンに渡りAchim Tangと共にアルバム作品制作。
帰国後、金田式DC録音の第一人者:五島昭彦氏のスタジオ「タイムマシンレコード」にアシスタントとして弟子入り。
独立後音楽レーベル「芸術工房Pinocoa(現:Kotaro Studio)」を結成。
タンゴやクラシックなどアコースティック音楽作品を多数プロデュース。
大阪ベンチャー研究会にて『芸術家皆起業論~変化する社会の中、芸術家で在り続けるために』を講演。
その後、秋山庄太郎氏後継の写真スタジオ「村上アーカイブス」でサウンドデザイナー兼音響担当として映像制作チームに参加。
村上宏治氏の元で本格的に写真、映像技術を学ぶ。
祖父母の在宅介護をきっかけにプログラムの世界に興味を持ち、株式会社 ジオセンスの代表取締役社長:小林一英氏よりプログラムを学ぶ。
現在はKotaro Studioにて『あなたのためのアートスタジオ』音と絵をテーマに芸術家として活動中。
2023年より誰かのための癒しの場所『Curanz Sounds』をプロデュース。

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