昭和時代の音響を彷彿とさせるSonyのPBR-400パラボラ集音器。
レコーディング・エンジニア河村大さんがHIBINOのPR動画で使用していたのを見て、どうしても使ってみたくなり中古で探し、テストしました。
河村さんの使用例はこちら。
フィールドレコーディング・エンジニア河村大さんによるDPA 4011A(単一指向性マイク)活用法<パラボラ収音>
DPA4011という指向性マイクとしてはオーディオマニアが喉から手が出るほど欲しい最高のマイクロフォンの一つです。
予算が許す方でDPAのフラット特性が好みの方は指向性マイクのステレオペアの選択肢として間違いないです。
やっぱりステレオペアで買わないともったいない・・・
とは思いますが、モノラルとして一本でも買えますので用途に合う方はこちらもチェック。
DPA4011一本だけをサウンドハウスで見るパラボラ集音器
モノはこんな感じ。
こちらはジャンク購入で、マイクを固定する部分が壊れており、ゴムで補修して使いました。
新品同様品もたまに見かけますが、数万円以上と実験するにはちょっと痛い価格となっており、ジャンク品で8000円ほどで落札。
マイクの固定部分はかなり太く、おそらく市販されているマイクであればどんなものでも挟めると思います。
雷の音比較
まずはEM158の無指向性マイクAB方式で普通に録音しただけの雷の様子を聞いてみましょう。
ちなみにサウンドクラウドの無料版が時間いっぱいになった方はDropboxなどでハイレゾ配信できるのでこちらの記事を参考にしてください。
【保存版】WORDPRESSにDROPBOXの音声, 動画ファイルを埋め込む方法
編集なしの雷の音
これだけでも臨場感があるのですが、やっぱりシネマティックなサウンド作りとしては少し寂しい感じですよね。
映画館の巨大アンプで鳴らすにはもう少しパンチが欲しいところ。
続いて雨の音だけをピックアップして聞いてみましょう。
雨の音だけピックアップ
ノーマライズ処理でゲインを持ち上げていますが、細かい調整などはしていません。
この雨と先ほどの雷を足すだけでもかなりのシネマティックサウンドになるかと思います。
次にこの二つをミックスした音と、いよいよパラボラ集音器で地面や壁に飛び散る雨の音を編集したサウンドを聴いてみてください。
シネマティックサウンド〜パラボラでの地面の音
地面でぴちゃぴちゃしっかり跳ね返っている音が入っているのがわかるでしょうか。
お気づきのように12秒あたりからは地面の音を消しています。
わずかですが、パラボラで集音した音を足すだけで一気にシネマっぽくなりました。
PBR-400パラボラ集音器には手持ちの指向性コンデンサーマイクAKGのC5を装着しています。
AKG ( アーカーゲー ) / C5 コンデンサーマイクをサウンドハウスでチェックショットガンマイクとの違い
さて、やはり近年高性能なショットガンマイクの登場によりパラボラの登場シーンがなくなってきたかと思います。
やはりでかいし、持ち運びにはしんどいところがありますからね。
個人的に大きな違いはEQのかけやすさ。
ショットガンマイクは超指向性といえども音の角がふんわりしていますので、尖った掛け方ができない点がありますが、パラボラで集音した場合、その素材そのものは使い物にならないほどエフェクト的なサウンドにはなりますが、音の角が尖っているためEQや編集が非常にしやすいという特徴を感じました。
さらに、4011の例でもそうですが、手持ちのマイクで超指向性よりもさらに尖った指向性で録音素材が取れるという点は大きいですよね。
例えば河村さんもおっしゃっていますが、波の音でも砂が乾いていく音。
これは通常のショットガンマイクでは角がふんわりしすぎて加工しずらいんです。
こちらはAB方式WM-61A相当品素子とF4で録音していますが、砂の乾く音は全然感じられないですよね。
こういうシーンでパラボラを駆使できたら嬉しいと思いました。
まとめ
パラボラ集音器はならではの音は存在しているが、用途をしっかり選んで、加工編集前提で使用するのがGOOD!
今回はZOOM F3で収録しましたが、F3自体が非常に優秀なマイクアンプを搭載していて、そのままでも結構がっつりシネマティックサウンドになってきます。
ZOOM ( ズーム ) / F3 Field Recorder をサウンドハウスでチェック今回雷の音を収録したEM158とDPA4060との簡単な音声比較テストも参考にしてみてください。
【視聴あり】DPA4060 VS EM158 音声テスト比較
プロフィール

-
音大を卒業後ピアニストとして活動。
日本で活動後北欧スウェーデンへ。
アーティストLindha Kallerdahlと声帯とピアノによる即興哲学を研究。
その後ドイツ・ケルンに渡りAchim Tangと共にアルバム作品制作。
帰国後、金田式DC録音の第一人者:五島昭彦氏のスタジオ「タイムマシンレコード」にアシスタントとして弟子入り。
独立後音楽レーベル「芸術工房Pinocoa(現:Kotaro Studio)」を結成。
タンゴやクラシックなどアコースティック音楽作品を多数プロデュース。
大阪ベンチャー研究会にて『芸術家皆起業論~変化する社会の中、芸術家で在り続けるために』を講演。
その後、秋山庄太郎氏後継の写真スタジオ「村上アーカイブス」でサウンドデザイナー兼音響担当として映像制作チームに参加。
村上宏治氏の元で本格的に写真、映像技術を学ぶ。
祖父母の在宅介護をきっかけにプログラムの世界に興味を持ち、株式会社 ジオセンスの代表取締役社長:小林一英氏よりプログラムを学ぶ。
現在はKotaro Studioにて『あなたのためのアートスタジオ』音と絵をテーマに芸術家として活動中。
2023年より誰かのための癒しの場所『Curanz Sounds』をプロデュース。
Camera2023.06.03【スタジオ厳選】旅行に持っていくべきカメラ13選
Web2023.05.311ヶ月千円で世界最高のデザイナーを雇うたった一つの方法
Audio2023.05.30【2023年最新】失敗しないおすすめのヘッドホン特集
Audio2023.05.292023年失敗しないおすすめマイクロフォンまとめ