TwitterのDMで相談をもらいました。
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ZOOM H6を使っているんだけど、どうも音が良くならない。
KM184を使っているのに音が悪い。
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H6の出力:LINE OUTからカメラのオーディオインに刺して録音しないでください。

オーディオの録音には三種の神器が必要
- マイクロフォン
- マイクアンプ
- ADコンバーター
どれが欠けても成立しないんです。
例えば当スタジオでも度々紹介しているバイノーラルマイクロフォンなども、カメラに直接入れちゃう人もいるそうです。
【無指向性の決定版を完全ガイド】”TASCAM DR-05X + バイノーラルマイク”
このローランドのバイノーラルマイクをカメラに直接差すと、三種の神器のうち、二つは完全無視状態になってしまうわけです。
このマイクを買ったってこのマイクの音はでません。
DR-05XのマイクアンプとADコンバーターを使って初めて性能を発揮できるわけです。
高級マイクも同じ
このマイクロフォン三種の神器はどのマイクも同じです。
もちろんカメラに内蔵されている小さな素子も同じで例外はありません。
カメラの内蔵マイクの音がいまいちなのは、マイクの素子が問題なのではありません。
もちろんモノラルという点も大きいかと思いますが、マイクアンプとADコンバーターが最大の問題なのであり、通常カメラにはそこまでオーディオに特化したアイテムを入れることはできません。
それは車にエンジンがないと動かないのと同じです。
いくら最高のマイク(フェラーリ)を買ってもマイクアンプという名のエンジンが軽自動車のものが入っていたら真価を発揮できませんよね。
だからこそのカメラ用のレコーダーというわけです。
質問者様の場合はそのことをしっかりと意識されていて、カメラとは別にレコーダーを準備していました。
そこまではよかったのですが、肝心のADコンバーターというパーツをカメラのものを使っていてはこれもまた真価を発揮できないわけです。
これはフェラーリに最適なエンジンが積まれてはいますが、軽油を入れているような状態です。
ライン出力はメモのため
こういったフィールドレコーダーと呼ばれるものにライン出力がついているのは、もちろんカメラに差して使うわけですが、これはカメラにメモを入れているだけに過ぎません。
後からレコーダーで録音した音とカメラの音を動画編集ソフトを使って、オーディオマッチさせるためです。
ライン出力を使わずにカメラの内蔵マイクとマッチさせることもありますし、筆者はあんまりテイク数が多くない場合はライン出力でメモも取りません。
こちらはZOOM M4との組み合わせですが、このように完全無線で収録できます。
【M4 MicTrakレビュー】 M4 32bit ステレオリンクの問題点

ただし、オーディオというのは思いのほか遅いんです。
秒速340m程度しかありません。
100メートル走のスタートの合図などは遅れて聞こえるレベル。
このため、ライン出力を使わない場合、カメラとレコーダーとの間に一定の距離があったりすると、若干のずれが生じるわけです。
また、複数台のアングルで収録するケースになるとタイムコードジェネレーターという機材を使い、全体を同期させます。
タイムコードジェネレーターが現場になくても複数カメラにオーディオデータを送信する荒技などもありますが、そのあたりは別の機会に紹介しましょう。
まとめ:カメラに入っている音は最後にはなくなる
これが正解です。
オーディオマッチさせたあとにはカメラの音は切り離します。
FINAL CUTであれば、クリップを同期、または手動でオーディオを切り離すという項目があるので、切り離し、カメラの音声は完全に削除しちゃってください。
詳しいやり方はこちらの記事にまとめていますので参照してください。
FINAL CUT備忘録 レコーダーの音を映像と合わせる方法 “クリップの同期”
こちらの記事でグランドピアノの実験をシェアしましたが、このレベルの実験でも、サウンドデザイナーや録音エンジニアが見るのは最初にマイクのカプセルはなにか?
そして、何よりもマイクアンプは何を使うのか?
というわけです。
【名古屋芸術大学、ベルリン芸術大学、東京藝術大学 共同研究】ピアノ録音を教えられるのか?
RME?!
パーフェクトです。
RME ( アールエムイー ) / 12Mic 12chマイクプリアンプ をサウンドハウスさんでみてみるというわけで、サウンドデザイナーと一緒に行わない映像制作の際は面倒だとは思いますが、必ずレコーダーで録音した音声を後から編集ソフトでマッチする作業を行いましょう。
プロフィール

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音大を卒業後ピアニストとして活動。
日本で活動後北欧スウェーデンへ。
アーティストLindha Kallerdahlと声帯とピアノによる即興哲学を研究。
その後ドイツ・ケルンに渡りAchim Tangと共にアルバム作品制作。
帰国後、金田式DC録音の第一人者:五島昭彦氏のスタジオ「タイムマシンレコード」にアシスタントとして弟子入り。
独立後音楽レーベル「芸術工房Pinocoa(現:Kotaro Studio)」を結成。
タンゴやクラシックなどアコースティック音楽作品を多数プロデュース。
大阪ベンチャー研究会にて『芸術家皆起業論~変化する社会の中、芸術家で在り続けるために』を講演。
その後、秋山庄太郎氏後継の写真スタジオ「村上アーカイブス」でサウンドデザイナー兼音響担当として映像制作チームに参加。
村上宏治氏の元で本格的に写真、映像技術を学ぶ。
祖父母の在宅介護をきっかけにプログラムの世界に興味を持ち、株式会社 ジオセンスの代表取締役社長:小林一英氏よりプログラムを学ぶ。
現在はKotaro Studioにて『あなたのためのアートスタジオ』音と絵をテーマに芸術家として活動中。
2023年より誰かのための癒しの場所『Curanz Sounds』をプロデュース。
Daily2023年9月26日北海道札幌旅〜すすきのと琴似でジンギスカンとラーメン
Daily2023年9月20日こなやオーディオ祭:ヘンジントンスピーカーの試聴会
Lens library2023年8月26日NOKTON 21mm F1.4 Aspherical の実力 a7RⅡにて試写
Daily2023年8月12日【マイクアンプ比較テスト】Sound Devices のマイクアンプを試す