マスタリングとは何か?!【じゃがりこ飯的マスタリング】

本日はいよいよ音響の真骨頂!?
とはいっても、とりあえず音響ができるようになるのが目的としており、本格的なマスタリングの方法を伝授するわけではありません。
『そもそもマスタリングって何?』という部分からマスタリングのやり方をやさしく見ていきたいと思います。

簡易的に使えるスキルだけピックアップしました!

そもそもマスタリングって何?

さて、映像関係の方やミュージシャンの方が苦労するのがこのマスタリングというイメージがあるかと思います。

そもそもマスタリングって何なんでしょうか?!

それは、ズバリ、「マスターテープ」を創る作業と言えます。

デジタル世代の方にはなんのこっちゃさっぱりわからない存在であるマスターテープ。

ポイント

これは、カッティング作業の一歩手前の最終工程のもので、ミックスダウンしたあとの音を整えたり、カッティングの時に音が飛んだりしないようにノーマライズしたり、曲と曲の間、ギャップを作ったりするのがマスタリングの主な役目。

デジタルソフトでの編集も「はさみツール」なるものがありますが、マスターテープ作成時代のアナログ全盛期、リアルにはさみでテープを切っていたんです。

切る場所間違えたらそこでおしまい。

当たり前ですが、コントロール+Z(一つ前の作業に戻るショートカットキー)で復元はできません。

マスターテープはその昔まさに制作者の血と汗と涙の結晶というわけです。

CDの時代

CDの時代になると、このアナログ時代のマスターテープの役割を果たすのがDDPファイルでした。

このDDPファイルというのがマスタリングソフトでしか作成できないファイルであり、DAWには備わっていないため、CDを制作する側の人はわざわざマスタリングソフトを設備投資として導入しなければいけませんでした。

ちなみにCD時代でもこのDDPファイルを取り扱えるのは、CDをプレスする工場と、工場を仲介する仲介業者と、マスタリングエンジニアくらいで、オーディオマニアですら取り扱うファイルではありませんでした。

当然現代では、ほとんどの配信業者や配信プラットフォームではそのままマスターWaveファイルを受け付けているため、DDPファイルが必要になるケースはほとんどありません。

当然この講座でも取り扱うことはありません。

じゃがりこ飯的マスタリング

さて、昔テレビ番組の企画で、一流シェフにコンビニだけで買えるモノでどれだけの料理を作れるか?

一流のシェフはじゃがりこだけでどんな料理を作るのか?

などの企画があったりしました。

じゃがりこ飯というそうで、ネット上でもじゃがりこ飯のレシピが大量に出てきます。

ココナラなどでフリーランスの音響エンジニアがマスタリング(ミックスなども)を承りますというお仕事依頼があるかと思いますが、ああいった作業はまさにこのじゃがりこ飯なわけです。

スマホの録音アプリで録ったんだけどなんとかならないか?

カメラの内蔵マイクだけど音が悪いからなんとかならないか?

裁判の証拠に使いたいんだが、ノイズがひどくてなんとかならないか?

こういった依頼が実に多く、現代のフリーランスが受けるマスタリング依頼の3割くらいがこういったコンビニ素材を高級料理っぽく変えてくれ!という依頼だったりします。

最高の料理はシェフが食材を調達する

さて、最高の逸品であれば料理は感性だけで完成します。

音響も同じで、しっかりした素材を用意すれば現代のマスタリング作業はほぼ整えるだけで済んでしまいます。

例えば、筆者が実際に受けた依頼に、「カラオケを流しながら楽器演奏したものをスマホで録音したんだが、それを舞台で使いたい」というものがありました。

このとき何をするか?!

まずはDAWソフトで複数トラックにて別々にかけたイコライザーとコンプなどの編集をミックスし、マスタリングソフトへ。

そこから、全体のイコライザー、リバーブ、コンプレッサー、ピッチ補正、ディレイ、ノイズリダクションとフル装備で編集します。

まさにじゃがりこ飯。

100円のじゃがりこを使ってどこまで1万円コースの高級料理っぽく見せられるか?!が勝負です。

ところが、豊洲で競り落としてきた最高級の本マグロだとどうでしょうか?

熟練の職人が最高級の刺身包丁で切る、そして盛る。

これだけです。

もちろんこの「これだけ」が、超簡単であり、難しい部分でもあります。

現代のマスタリングはこういった背景があるため、当講座の最初の方で紹介した、良いマイクアンプと、良いADCを使い、最高級の本マグロを自分で調達しましょうということなのです。

とっても大事な話・・・

POINT
大事な話!

そうすることで、覚えるスキルを絞って短期間でマスターすることができるようになります。
さらに編集時間も節約になります。

音響を学ぶということは結局のところ自分で録音する(豊洲で魚を目利きできる能力)能力を磨くことが最優先であり、最も重要なスキルになってくるわけです。

ぶっちゃけた話良いマグロはスプーンですくって塩かけて食べるだけでも感動しますよね。

筆者はイコライザーはこの塩の部分だと思っています。

じゃがりこ飯職人になるわけではない

これまでじゃがりこで高級コース料理を作る方法を検索したりして挫折してきた方もいらっしゃるのではないでしょうか?

「各種プラグインの使い方や、効果効能・・・覚えられないよ。」

「もうこんなに大変だったら外注しよう。。。」

となってしまっているのではないでしょうか。

全くそんな必要はございません。

豊洲で最高級のマグロを目利きし、手に入れればあとは包丁で最高のカットを入れるだけ。

カットの仕方は経験を積めばできるようになります。

当サイトで覚える3つのスキル

1、ノーマライズ

音を数値化して、整えます。

Youtubeなどでは音が極端に小さかったりすることがありますが、これはノーマライズが出来ていないため。

だいたいどのデバイスで視聴しても同じようなボリューム感で聴こえるようにしなければいけません。

これを覚えるだけでもあなたの映像やコンテンツはワンランクアップすること間違いありません。

2、イコライザー&(ノイズ処理)

EQと呼ばれる処理で、ミキサーにもセットになっているほど、ほぼどんな状況下でも使用します。

実はノイズ処理もこのイコライザーを駆使するとそれで済んでしまうこともあり、それで済んでしまえばそれに越したことはないわけです。

最高級の本マグロはあれやこれやと手を加えれば加えるほど本来の味からは遠くなっていってしまいますよね。

3、リバーブ(空間演出)

俗に言われるエコーと呼ばれる効果です。

これで空間の体積を表現します。

使い方を間違えると大変なことに。。。

寿司で例えると「炙り」のような存在でしょうか。

これら3つのスキルは最高の魚を料理するときに必要なスキルです。

もし、じゃがりこ飯職人になって、ココナラやファイバなどでマスタリングとミックスでいろんな人からいっぱい受注して作業自体を仕事としてやっていきたい!

という方向けではありませんので、この点の趣旨をしっかりご理解いただき、ご理解いただけた方は次回「イコライザーの使い方」に進んでください。

まとめ

ポイント1

一般的にマスタリングは音を調整する作業だと思われがちですが、実際はマスターテープ(デジタルならDDP)を作成する作業が本筋となっています。

ポイント2

実際に音を調整して映像と合わせたりする場合はDAWソフトで充分です。

実際ダビンチリゾルブなどのフリーの映像編集ソフトでも充分可能です。
(ダビンチリゾルブで録音はできません。)

ポイント3

当サイトで使うのは3種類、多くても5種類以内に絞って解説。

この作業のみを仕事にしたい(プロになりたい)のであれば、今、そこにある素材をありとあらゆる手を尽くして「なんとかするプロの技」が必要です。

しかし、「良い音響」を目指す場合、制作しているコンテンツのクオリティーをただ純粋にアップしたいのであれば、良い魚を見る目を養うことと、良い包丁の入れ方を覚えること。

ただそれだけで大丈夫なんです!

では次の記事で実際にイコライザーという包丁の入れ方を学びましょう!

【イコライザーとは針である】音響調整編(サイト内記事)

【EQ実践編(ノーマライズまで)】DaVinci Resolveでの使い方(サイト内記事)

【EQ実践編(ノーマライズまで)】Cubaseでの使い方(サイト内記事)

【ノーマライズ哲学?】ノーマライズはわさびである(サイト内記事)

【オーディオの編集方法:導入編】編集作業の前に知っておきたいこと(Youtube Vlog)

この記事を書いた人

こうたろう

元ピアニストでフォトグラファー&サウンドデザイナー
ミュージシャンだった父の音楽スタジオと、モデルだった母の仕事場であるフォトスタジオの現像ルームが子供時代の遊び場という恵まれた環境で育つ。
音楽大学を卒業後ピアニストとして活動を開始。
自身のピアノトリオで活動後北欧スウェーデンにてヨーテポリを拠点に活動するシンガーアーティストLindha Kallerdahlとセッションを重ね声帯とピアノによる即興哲学を研究。
その後単身ドイツ・ケルンへ渡独。
ドイツから帰国後ピアノソロ作品アルバムと共に同時リリース。
金田式電流伝送DC録音の第一人者である五島昭彦氏のスタジオ「タイムマシンレコード」にアシスタントとして弟子入りし、活動を開始。
独立後、音楽プロデューサーとして音楽レーベル「芸術工房Pinocoa(現在はKotaro Studioに統合)」を立ち上げ、タンゴやクラシックを中心としたアコースティック音楽作品を多数プロデュース。
現在は元ピアニストの経験を生かしたミュージシャンのライブフォトを得意としながら、肖像写真、動物写真、自然写真を中心にミュージックビデオの制作などオーディオ技術も得意とするフォトグラファーとして活動中。