Menu
NEUMANN(ノイマン)は、ドイツの音響機器メーカーです。
1928年創業者のゲオルグ・ノイマンがベルリンに初期の頃のノイマン社を設立しました。
その後世界初の量産型コンデンサーマイクCMV3を開発。

CMV3はナチス党の講演やスピーチ、放送などにも採用され、ほぼすべてのドイツ国民がこのCMV3マイクロフォンの音を耳にすることになります。
その後、東西分裂の際は、それぞれノイマンも分裂してしまいました。
現在残っているNeumannは当時の西側の会社です。
ちなみに東側のノイマン社は現在でも、マイクロテック・ゲフェル社として、 ラインランドプファルツ州に残っています。
シリーズ180
KM184は180シリーズとして、他にも
- KM183 → 無指向性
- KM185 → 超指向性
とシリーズとなっています。
その中でもKM184は指向性マイクロフォンとして、他二本の設計の基礎になっています。
元々はKM84というアナログ時代に作られていたベストセラーモデルのものをデジタル時代ように再設計されたシリーズとなっており、KM84とKM184で使われているマイクカプセルは同じものとなります。
音の特徴
- ドイツらしい音しかし、脂っこくない
- 低域から中域にかけての滑らかなレンジの切り替わり
- うるさくない高域
と非常にまとまりのよい、質実剛健ドイツらしいマイクロフォンです。
音質チェック
まずはピアノ音源での音質チェックといきたいところですが、同条件同ピアノにて、それぞれの位置確認を行った検証音源がありますので、チェックしてみてください。
S400Bをモデルにマイク位置比較
条件
- YAMAHA S400B
- ZOOM F4
- NEUMANN KM 184
ピアノサウンドホールの穴の上
中距離
奏者の頭上
低弦のみへのオンマイク
ピアノのお尻
それぞれの音を収録し音質の違いをチェック。
NEUMANN KM 184 →「約20万円(2021年5月時点最安値)
ZOOM F4 →「約5万 (2019年10月最安値)
合計 : 21万円
いかがでしょうか?
低弦のみへのオンマイクが意外にいい結果だったことに驚きです。
また、ピアノのお尻は、ピアノサイズがワンサイズアップするのも実感していただけると思います。
ヨーロッパ圏のスタジオでは重厚感を出したい時、ピアノのサイズ感を上げたい時に、補助マイクとしてよくこの位置に指向性マイクを設置しミックスする手法はよく使われます。
中距離:ピアノから約1.5メートル に関しては全く同じ位置同じ条件かでQTC30の音源もありますので、比較してみてください。
チェンバロ音源
NEUMANN KM 184 →「約20万円(2021年5月時点最安値)
ZOOM F4 →「約5万 (2019年10月最安値)
合計 : 21万円
16万円 vs 100円 マイクロフォン比較 チェンバロ音源(Youtube Vlog)
民族楽器:馬頭琴
NEUMANN KM 184 →「約20万円(2021年5月時点最安値)
ZOOM F4 →「約5万 (2019年10月最安値)
合計 : 21万円
フィールドレコーダー ZOOM F6 ビデオグラファー必須の一台(サイト内記事)
無指向性マイクQTC30との比較
NEUMANN KM184 vs Earthworks QTC30 西洋室内楽での比較音源(Youtube Vlog)
こちらは教会でのサンプル音源というのと、無指向性マイクとの比較なのでマイク性能の比較にはなりませんが、無指向性マイクでのワンポイントと指向性マイクでのワンポイントと、どちらを主力武器にしたいかを選択する際には非常に参考になるかと思います。
シルバーとブラックどちらを買うべきか?
よくマイクロフォンのラインナップには色違いのものが売られていたりします。
こちらのKM184もシルバーとマットブラックの二種類が用意されています。
もちろんどちらも性能も価格も同じ。
迷ってしまう方、是非「何を録るのか?・どういう現場で録るのか?」を基準に検討してみてください。
筆者が購入した際は、
- ライブ会場でのライブ録音
- ピアニストの顧客が多かった
という二点でブラックを購入しました。
サウンドハウスさんでの購入はこちら
NEUMANN ( ノイマン ) / KM 184 mt stereo setピアノ+ライブ収録の場合は黒
やはりお客さんからの景観などを意識しなくてはいけません。
中には、マイクが気になってライブに集中できないという方もいらっしゃいますし、何よりクライアントであるピアニスト自身が、マイクが立っていると集中できない。。。というケースも想像以上に多いのが現状です。
そのため、特にピアニストのライブ録音の場合、とにかく目立たないようにするためには、黒は確定です。
また、音を意識しつつ景観を損なわないような配置を心がける必要がでてきます。
そのために、前半で紹介したピアノ録音の際のマイキングテストなど参考にしながら、会場でどの位置に置けば、景観を損なわずに良い音で録れるか??を研究してみてください。
箱の大きさや残響にもよりますが、Km184の場合指向性マイクですので、無指向性マイクと比べてもそこまで残響の影響は受けにくく、楽にセッティングができます。
ビックバンドやブラスバンドはシルバー
一方でビックバンドやブラスバンドなどの金管楽器が多数入るような現場では、シルバーが同色で目立ちにくいです。
何をどこで録るのか?をイメージしてカラーを選択してみてください。
サウンドハウスさんでの購入はこちら
NEUMANN ( ノイマン ) / KM184 STEREO PAIRまとめ
レンジが切り替わる部分の滑らかさ、安定感は他の指向性マイクでは感じられない部分でもありますし、特に価格と性能が一致しやすい指向性マイクロフォンの世界において、価格以上の性能が期待できるマイクロフォンではないでしょうか。
- 無指向性マイクとの組み合わせに
- 指向性マイクでのワンポイント録音に
- ドイツ音楽を収録する場合に
- 小型コンパクトなので、持ち運びがしやすい
みなさんの参考になれば幸いです。

-
服部 洸太郎
音大を卒業後ピアニストとして活動。
自身のピアノトリオで活動後北欧スウェーデンにてシンガーアーティストLindha Kallerdahlと声帯とピアノによる即興哲学を研究。
その後ドイツへ渡りケルンにてAchim Tangと共に作品制作。
帰国後、金田式電流伝送DC録音の名手:五島昭彦氏のスタジオ「タイムマシンレコード」にアシスタントとして弟子入りし、録音エンジニアとしての活動開始。
独立後、音楽レーベル「芸術工房Pinocoa(現在はKotaro Studioに統合)」を立ち上げ、タンゴやクラシックなどのアコースティック音楽作品を多数プロデュース。
その後、秋山庄太郎氏後継の写真スタジオ「村上アーカイブス」でサウンドデザイナー兼音響担当として映像制作チームに参加。
村上宏治氏の元で本格的に写真、映像技術を学ぶ。
祖父母の在宅介護をきっかけにプログラムの世界に興味を持ち、介護で使えるプログラムをM5Stackを使って自作。
株式会社 ジオセンスの代表取締役社長:小林一英氏よりプログラムを学ぶ。
現在はKotaro Studioにてアルゼンチンタンゴをはじめとした民族音楽に関する文化の研究、ピアノ音響、さらに432hz周波数を使った癒しのサウンドを研究中。
スタジオでは「誰かのためにただここに在る」をコンセプトに、誰がいつ訪れても安心感が得られる場所、サイトを模索中。