【M4 MicTrakレビュー】 M4 32bit ステレオリンクの問題点

今回はZOOM M4 MicTrakシリーズを購入しましたので、購入開封レビューということで、先入観なし、忖度なしにお届けしていきます。
作例などもいろいろ用意していますので是非最後までチェックして購入の際に参考にしてくださいね。
音質について

これまでZOOMのマイクといえばカプセル交換式を採用していることが多く、XYもショットガンも交換が可能なものが多数発売されていました。
ZOOM ( ズーム ) / M4 MicTrak マイクロフォン型オーディオレコーダー をサウンドハウスで見る今回は交換ができないものであるということで、その新しいXYマイクがどれほどすごいのか?!
という楽しみが非常に強かったわけです。
おまけに近年流行りの32bit / 192khzまで対応しているので技術的な音質は問題なさそうです。
問題はマイクアンプとADC部分になります。
購入前の懸念点
交換式からの脱却というのもあり、今回のXYマイクはかなり自信があるのだろうと思っていましたが、同時に懸念点としては外部入力のマイクアンプが非力なんじゃないか?という点。
例えばTascam のDR-40Xなんかも内蔵マイクは素晴らしい質感でしたが、外部入力になると途端に力を抜いた感じになり、おまけ程度に感じてしまう機材が多かったわけです。
つまり内蔵マイクがよければいいほど、外部入力に手抜きが生じるじゃないだろうかという懸念。
あとは、ZOOMさんの場合はF4のトラウマがあるヘッドホンアンプ部。
ヘッドホンアンプに関してはやはりDR-05Xが安価で一枚上手!
【無指向性の決定版を完全ガイド】”TASCAM DR-05X + バイノーラルマイク”
簡単な音チェック
この機材の場合やはり内蔵のXYマイクをどう使うか?というのがユーザーの最重要ポイントであるといえます。
この部分がしっかりしてくれているかどうか。
開封時に簡単な音声テストをしてみました。
内蔵XYマイク(オンマイク)
一般的なポッドキャスト配信であれば、オンマイクから最適な距離をさぐって、これ一本で完結しちゃうと思います。
内蔵XYマイク(オフマイク)
中域や低域が削れることもなく生きていますので、自然界の収録にも助けになることでしょう。
また、後述します社外ウインドスクリーンを使用するとかなりの強風でも耐えられますし、編集で削れた部分は復旧できますので外での撮影にこのM4は非常に重宝します。
こちらは神戸ハーバーランドで船底の掃除にたまたま出くわしたので急ぎ収録しました。
こういうときに32bitは本当に助かります。
このような展開が予想できないシーンでは24bitだと、かなり低感度で収録するか、常にゲインに意識を使わなければいけませんが、32bitだと録音ボタンを押してほったらかしです。
映像はFX30と16-35のGMレンズで収録しています。
ただし当スタジオの記事でも何度も書いていますが、M4のラインアウトからカメラのマイクインに刺さないでくださいね!
Sony FE 16-35mm F2.8 GM 実写での描写力レビュー
もう一度言うよ!何度でも言うよ!カメラにマイクを挿さないで!

高級レンズはレンタルがおすすめです。
こちらの16-35のGMレンズはRANK4となっており、定額で同ランクの機材が借り放題で1週間限定だと2ランク上の機材も試せます!
GOOPASSさんは、ボディをマップカメラさんで購入し(買取アカウントも設定)ボディを所有しながら購入に踏み切るには勇気のいる価格のレンズを借りまくるという使い方が最強でおすすめです!
マイクロフォンの世界ではこういうサービスがないため、レンズの世界では思いっきり高級レンズを使いまくりましょう!

外部入力のモノラル
外部入力のマイクアンプの性能を検証しています。
内蔵XYマイク+外部モノラル(ポッドキャストにおすすめ)
【プロが直伝】ポッドキャストの音質をワンランクアップさせる2つのアイテム
このパターンですと、アンビエントを内蔵マイクに任せて、ショットガンマイクやパラボラ集音なんかを組み合わせるのが最適です。
ショットガンマイクとパラボラ集音器の違いやサンプルについてはこちらの記事にて!
この記事ではDropbox経由で掲載しています。
Dropbox経由での音声配信の方法はこちらの記事を参考にしてくださいね!
【保存版】WORDPRESSにDROPBOXの音声, 動画ファイルを埋め込む方法
プラグインパワーでのステレオテスト
ローランドのバイノーラルマイクなどが使用できます。
【無指向性の決定版を完全ガイド】”TASCAM DR-05X + バイノーラルマイク”
バイノーラル録音
プラグインパワーの性能を見るという意味で生活音。
とっても簡単なテストですが、バイノーラル録音とWM-61A、そして内臓のXYを比較したテスト動画です。
こちらは電車の音。
M4内臓のXYマイクと、バイノーラルマイクを比較テストしています。
こちらはさらに参考音源としてM4内蔵とバイノーラルの比較収録のあと、そのまま電車に乗り込んで一駅乗った時の音。
さすがにかなりリアルです。
ここまでリアルなのに外からは有線イヤホンで音楽聴いてる人にしか見えません。
バイノーラルマイクはローランドのものを使用しています。
プラグインパワーで動作するのでM4につける時は赤いプラグをステレオミニプラグに、黒いプラグをヘッドホン端子に刺して使ってください。
ROLAND ( ローランド ) / CS-10EM ASMRをサウンドハウスで見てみるバイノーラルマイクの海外製品だとこちらもプラグインパワーですので使用可能です。
SOUND PROFESSIONALS ( サウンドプロフェッショナルズ )をサウンドハウスで見てみるただしF3の記事で紹介しているDPAのバイノーラルマイクDPA4560に関してはプラグインパワーのマイクではありませんので注意してくださいね。
さらに、このZOOM M4の外部入力端子は(現時点では)ステレオペアリンクできず、モノラルになっていますので、どうがんばってもDPA4560は接続できません。
注意です!
【F3 + DPA4560】バイノーラルの最高峰セットを考える
外観やデザイン+操作性
一目でわかる通り、外観、デザインはかなり大胆な変更が行われています。
これまでのZOOMのレコーダーから完全にデザイナー変わった?というほど。
ただし、海外ではこちらのデザインの方がウケがいいかと思います。
欧米のサウンドデザイナーはこのデザイン好きだと思います。
これまでのZOOMと一長一短あり、どちらがいいとは言えませんが、外部入力の端子が左右に分かれて出ている点は個人的にはGOOD。
デザインはGOODですが、これは外部端子はモノラルでしか使用できないためのデザインです。
後述しますが、このM4はステレオペアリンクできないモデルなので重ねてご注意ください。
また、F6やF3ではメニューの操作が若干しにくいのは難点でしたが、M4になると握った状態で操作できますので、操作感は素晴らしいです。
ちょうど下に向けて細くなっているあたり、このデザインは若干の昭和性もあり、かなり一か八かの会議が行われたと思いますが、個人的には吉と出るとみています。
非常に細かい点ですが、ヘッドホン端子とプラグインパワーの入力端子の2点はシンメトリーにして欲しかったのは個人的意見。

この黄色い線のところ。
細かいですが、ここが若干ハの字になっているのはマイナス点。
GUI
GUIはF3からの流れとなっていて、起動やシャットダウンも早く非常に使いやすいです。
忖度なしまとめ:このレコーダーがオススメな人
- 軽装で発信したいノマドポッドキャスター。
- ビデオグラファーさん。
- ドラム・打楽器の配信者さん。
- 高級USBマイクが必要な方。
ビデオグラファーさん御用達になりそう。
ショットガンモデルはすでに取り寄せ多数なので、在庫があればゲットするといいでしょう。

タイムコードが使えて入力系統が多い。
これだけの機能性なのにポケットにギリギリするっと入る。
そして何より軽いです。
めっちゃくちゃ軽い。
デザインは好みが分かれるかもしれませんが、個人的にGOOD。
軽装のノマドポッドキャスターさんであれば、この記事の内蔵XYマイクの音が好みであればこちらの内蔵マイクだけモデルもGOODです!

内蔵のXYマイクは音楽や自然音などこれからいろいろ録っていかないとわからないところはありますが、ビデオ音声の補助としては最高得点。
S/N比に関してはFシリーズなどの上位機種で慣れてしまっていると少しがっかりすることはあるかと思いますが、AKGのC5でのテストを聴いてわかるようにマイクロフォンを選べば充分に及第点であるといえます。
AKG ( アーカーゲー ) / C5 コンデンサーマイクをサウンドハウスでチェック全体的に全部盛り感がすごいですし、性能も素晴らしいですが、初心者から中級者までの機種であることは間違い無く、ZOOMの中の人と話しましたが、ターゲットもそのあたりに設定されています。
より本格的なレコーディングやマイクアンプを使いたい場合はFシリーズ、F3などを使ってマイク選びから行う必要があります。
【ZOOM F3と我が音楽道】人生をかけて追求していく録音システムを定めました
一緒に買っておきたいアイテム
ウインドスクリーンは同封されていますが、筆者はこちらを購入。
やっぱり風対策はせっかくのフィールドレコーダーなので重要です。
サイズ的にはジャストフィットというわけにはいきませんでしたが、なかなかいい感じです。
というのもこの記事でのサムネイルにしているのが純正なんですが、純正がなんだか水泳キャップみたい。
僕はやっぱりオンマイクなんかで使う場合にこの水泳キャップはテンションが下がるのでやめました。
奥までしっかりはめると外部マイク端子が被ってしまうので3chや4chで使う場合はちょっとめくって使う必要があります。

ケースは別に必要ではないかもだけど、やっぱり旅支度をするにはあった方がいいですよね。
こちらで代用しています。
セミハードとかのものではないので、しっかり守ってくれるものではありませんが、M4自体が傷が目立ちやすい材質になっているため、ケースがあるだけでも傷防止につながると思います。
プラグインパワーのマイクや、イヤホン、単三電池などもまとめて梱包できるので便利に使っています。
ちょっとななめに入れて使ってます。

あとはマイクロSDカードであることと単三電池なのでまだお持ちでない方、M4購入を機に揃えたい方はこちら。
マイクアンプ
当然ですがフラッグシップラインのF3と比較すると、マイクアンプは別物。
自作マイクを使ったプラグインパワーでのテストもDR-05Xと同等か、少しDR-05Xに負けている印象です。
ただしローランドのバイノーラルマイクを使うとDR-05Xよりもいい感じに感じましたので、相性によって左右されるレベル(高い水準)のマイクアンプであるといえます。
ROLANDバイノーラルマイクロホンイヤホンをサウンドハウスで見る仮にDR-05Xと同等かそれ以上のプラグインパワーの収録が可能だとするとバイノーラルマイクにおいて32bitというのはあまりにも圧倒的な優位性がそこにあります。
ヘッドホンアンプ
DR-05Xのような音楽プレーヤーとしても使いたいと思えるほどではないため、星4つ。
素直でストレートなZOOMらしい音ではあるものの、F3のヘッドホンアンプがあれだけの仕上がりであることを考えるとお値段高くなってもいいのでいいものを入れて欲しかった。
ただし、ネイチャー収録が前提なのであれば、環境の確認、指向性の確認などのモニターは充分に及第点であるといえます。
総合
ターゲット層も違うため比較するものではないが、F3のような開封時から『文句なしの最高得点』とはいえない。
内蔵のXYマイクは完成度は高いが音源とのベストな距離感を探るのは意外に難しい。
外部入力端子がモノラル限定なので音楽収録などでは自由度は限定されますが、自然界の収録やポッドキャストなどで使い勝手が高い機種だと言えます。
追記:M4 MicTrakステレオリンクについて
さて、M4では外部入力端子がステレオリンクができない仕様になっており、ZOOMさんの方に電話で尋ねてみました。
筆者:仕様についての確認なんですが、M4は外部入力端子はモノラルのみでステレオリンクはできないという理解であってますか?
担当者Uさん:こちらで実機にて確認してみますので、少々お時間ください。
筆者:わかりました。
折り返しの電話
担当者Uさん:本当ですね・・・できないみたいですね。一度技術部の方に確認したいのでもう少しだけお時間いただけないでしょうか。
筆者:はい、それは構いません。これは悪い意味でとらないでほしいんですが、ステレオリンクってできないで困ることはあっても、できて困ることはないはずですよね?
担当者Uさん:おっしゃるとおりですね。
筆者:だとすれば、なぜあえてリンク設定ができない仕様にしたのかについての意図をZOOMファンの好奇心として知りたいので技術部の方に合わせて尋ねていただけませんか?
担当者Uさん:はい、わたしもそのつもりでいましたので、そちらの件も合わせて回答させていただければと思います。
筆者:わかりました。では◯時〜◯時の間にまた連絡お願いします。
一度切る。
担当者Uさん:確認取れましたが、やはりモノラルでの仕様となっています。
担当者Uさん:意図としては初心者の方にも使いやすくするためにとのことです。
筆者:わかりました。
デザイン的にも左右に向けて出ている点がモノラルのヒントだったのかもしれませんが、やはり非常に重要な項目なので強調して広報してほしかったということを伝えました。
そのあたりはこちらのラジオでも配信しています。
手持ちのマイクをステレオペアで使うことを想定している方は注意してください。
【入門向け】プラグインパワーも対応でしっかり録音 / TASCAM DR-60D MKIIPCベースで録音環境を整えている方はこちらの記事も参考にしてくださいね。