フィールドレコーダー

Zoom H1essential / 32bit 低価格レコーダーの革命

32bitフロート録音を、すべてのクリエイターに

がテーマのH1essentialが発表されました。

ZOOM H1nなどのシンプルな低価格シリーズの流れの名前。

H1essentialの魅力

H1nといえば内蔵マイクの性能が驚きの音質だったのが記憶に新しい。

世界一簡単なレコーダーがさらに簡単にというキャッチフレーズがZOOMの公式サイトでもあるように、32bitになり、失敗がないため、本当にさらに簡単になっているわけです。

ミュージシャンはもちろんポッドキャスター、映像作家など、コンテンツクリエイターにとって強い味方となるでしょう。

H1nからさらに進化していると想像できる『H1essential』なら、RECボタンを押すだけで、簡単に高音質なステレオ録音が行えます。

これが11900というからさらに驚きです。

(2024年3月発売)

H1 essential ハンディレコーダー / サウンドハウスでチェック

機能性やマイク性能

耐音圧120dB SPL、ステレオ指向角90°のXYマイクとなっています。

dB SPL

これはマイクロフォンに入力される音の大きさの限度を表しています。
この数値が大きければ大きいほど、大きな音が入っても音が割れないようになっています。

32bitフロート収録はダイナミックレンジがかなり広くとっているため、音割れがしないような仕組みになっているわけですが、マイクロフォン自体も許容レンジ幅というのがあるわけで、dB SPLの規定数値を超えると、32bitでは割れないけど、マイク自体が割れて収録されるということが発生します。

その点H1essentialは許容範囲が120dB SPLのステレオXYですので、ほとんどのシーンでマイク性能による音割れも防ぐことができます。

音の大きさ (dB SPL)音の例
0ほとんど聞こえない、聴覚の閾値
20図書館のささやき声
40静かな部屋の背景音
60通常の会話、オフィスの背景音
80騒がしい都市の通り、掃除機の音
100近くでの電車の通過、大型トラックのエンジン音
120コンサートの前列、サイレンの近く
140銃の発射音、ジェット機の離陸音
120dB SPLとは、例えばライブコンサートの最前列にいるような状況や、サイレンが近くで鳴っている状態に相当します。
非常に強い音圧レベルであり、長時間露出すると聴覚損傷のリスクがあるほどの音量といえます。
例えばジェット機の離陸音などを収録したい場合はプロ仕様のレコーディングセットを組む必要があるわけです。

ステレオミニ仕様の外部マイク

これがやはり最高なんです。

ステレオミニ入力がついていると、バイノーラルマイクの接続が可能になります。

おそらく内蔵マイクとの同時収録はできないでしょうが、やはり優秀なマイクアンプとDAC、32bitをバイノーラルで使えるというのは優位性が高いです。

同製品ではないですが、過去のZOOM製品であるM4のステレオミニプラグとローランドのバイノーラルマイクの組み合わせを体験してみてください。

バイノーラルマイクは基本的にローランドのものが最もコスパよく、音質はかなりのもの。

ローランドバイノーラルマイク

最近であればローランドのバイノーラルマイクに加えて他の選択肢も増えてきています。

例えば、プリモ社製の素子を使ったものが音質の面では最高峰でしょう。

RM-ATZ19R バイノーラルマイク

ノーマライズ機能

これがありそうでなかった神機能。

M4から搭載された本体内部でノーマライズ処理をする機能で、ZOOMのような素直なコンバーターが搭載されているレコーダーは録ったままの音でいいケースが多い。

逆に音声編集をしなければいけない録音というのは失敗と考えていいわけですが、32bitなのもあり、失敗はない。

実機単体でノーマライズ処理および24bit、16bit WAVへの書き出しに対応している点は動画制作者にとってかなり効率的な機能であるといえます。

オーディオマニアさん向けに、このノーマライズ処理はPythonのpydubというライブラリで実装できるので、自作レコーダーを作りたい方はこの機能を是非盛り込んで欲しい。

初心者の方向けにはノーマライズ処理とラウドネス処理の違いについて是非知っておいてほしいのでこちらの記事を参照してください。

Win/Mac/iOS/Androidで動作するUSBマイク機能があり、ライブ配信しながら本体への同時録音が可能となっているので、かなり気軽にライブ配信も行えます。

XLR端子はないので、外部マイクで使いたい方は同時期にリリースされたH4 essential ハンディレコーダーやH6 essential ハンディレコーダーを利用してほしい。

H4 essential ハンディレコーダー / サウンドハウスでチェック H6 essential ハンディレコーダー / サウンドハウスでチェック

こうたろう

音大を卒業後ピアニストとして活動。 日本で活動後北欧スウェーデンへ。 アーティストLindha Kallerdahlと声帯とピアノによる即興哲学を研究。 その後ドイツ・ケルンに渡りAchim Tangと共にアルバム作品制作。 帰国後、金田式DC録音の第一人者:五島昭彦氏のスタジオ「タイムマシンレコード」にアシスタントとして弟子入り。 独立後音楽レーベル「芸術工房Pinocoa(現:Kotaro Studio)」を結成。 タンゴやクラシックなどアコースティック音楽作品を多数プロデュース。 大阪ベンチャー研究会にて『芸術家皆起業論~変化する社会の中、芸術家で在り続けるために』を講演。 その後、秋山庄太郎氏後継の写真スタジオ「村上アーカイブス」でサウンドデザイナー兼音響担当として映像制作チームに参加。 村上宏治氏の元で本格的に写真、映像技術を学ぶ。 祖父母の在宅介護をきっかけにプログラムの世界に興味を持ち、株式会社 ジオセンスの代表取締役社長:小林一英氏よりプログラムを学ぶ。 現在はKotaro Studioにて『あなたのためのアートスタジオ』音と絵をテーマに芸術家として活動中。 2023年より誰かのための癒しの場所『Curanz Sounds』をプロデュース。