ドイツのプロ用オーディオ機器メーカーRMEから新製品の発表がありました。
RMEは透明感のある音として当スタジオでもフラッグシップ機としていくつかおすすめをシェアしています。

簡易紹介:こうたろう
1986年生まれ
音大卒業後日本、スウェーデン、ドイツにて音楽活動
その後金田式DC録音のスタジオに弟子入り
写真・映像スタジオで音響担当を経験し、写真を学ぶ
現在はヒーリングサウンド専門のピアニスト、またスタジオでは音響エンジニア、フォトグラファーなどマルチメディアクリエーターとして活動中
当記事ではプロのピアニスト、音響エンジニアとしての知識とスキルをシェアしていきます
RME製品は相性の良いマイクロフォンがはっきりしているため、RMEサウンドが合う人はシステムを組みやすいという特徴があります。
ただしハイアマチュアの方やプロの方でも使う人を選ぶ機種でもあります。
まとめの部分にて上級者向けの注意点などもまとめていますので是非最後まで読んでいってください。
12Mic-Dは2023年4月25日に発売。
Danteシステムとは
DanteシステムはAudinate社が開発しました。
これまでバラバラだった送受信のケーブル類をイーサネットケーブルに置き換えることにより、長距離でのノイズ発生リスクなどを極端に抑えることに成功しています。
こちらは初期のプロトタイプ金田式DC録音の100m以上の伝送試験の様子。
【金田式DCマイク】 ショップス MK2, DPA2006カプセルで実験レポート:マイクに対する考え方
特徴など
12Mic入力でハード面もシンプルな構成。
1Uに収まるコンパクト性能にデジタル拡張性が高くADCやDACも内蔵されているので、ドイツらしい非常に合理的な製品。
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12Mic入力なので、ワンポイント録音や、ステレオペア録音をベースとする方には少しスペックオーバーかもしれません。
12Mic-Dの用途としては、純粋なレコーディング業務というよりもステージボックスやDanteシステムを駆使したネットワークオーディオインターフェイスとしての立ち位置が強いです。
Danteシステムの恩恵を受けやすいコンサートホールでの音響システムの構築や数百メートル規模のマイクケーブルを混線しなければいけない現場で優位に機能します。
純粋なレコーディング業務で言うと例えばDURecを搭載したFireface UFX IIなどの優れた製品が他にもありますので、用途をしっかりと考察して設備投資しなければいけません。
Fireface UFX II オーディオ・インターフェイス&レコーダーをサウンドハウスでチェック12Mic-Dの機能面でいえば入力1から4チャンネルまでは、TRS入力に対応しており、ハイ・インピーダンスに切り替えられるためバンド収録などもスムーズ且つコンパクトなシステムで収録可能です。
MADI入出力、ADAT出力も備えているため拡張性は問題なし。
ZOOM F3のマイクアンプが非常に優秀で昨今はサウンドデバイスとの差もわからなくなるほどですが、さすがにそこはRME。
ZOOM ( ズーム ) / F3 Field Recorder をサウンドハウスでチェックRMEクラスになると一段別のレベルに連れて行ってくれます。
12Mic-Dと相性の良いマイク
RME製品全般に言えることですが、RMEといえばDPAとの相性が抜群であると筆者は感じています。
透明感と透明感の融合。
DPAだと4006(無指向性フラッグシップ)や4011(指向性フラッグシップ)などは最高の組み合わせではないでしょうか。
DPA ( ディーピーエー ) / ST4006A ステレオペア をサウンドハウスで見てみるモニターヘッドホンはもちろんゼンハイザーのHD25。
ゼンハイザーHD25 密閉型モニターヘッドホンをサウンドハウスでチェックオーディオの世界でいうとRMEは世界トップクラスの音を提供してくれることは間違いありませんが、マイクを選び、マスターレコーダーも必要になるため、プロオーディオ機器だけに上級者向けの機種になります。
初心者の方は初心者向けカテゴリーで情報を集めてください。
また、ワンポイント録音やステレオペア録音でシンプルに空間を切り取る録音をしたい方はもう少しチャンネル数の少ないものでOK。
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上級者向けのまとめ:注意点など
マイクアンプとしてリリースされていますが、一般的に言う純粋な単体マイクアンプとしては使えないのかな?
設計上アナログのマイクアンプ部からADCされ、一度デジタル処理されたものをDACで出力されます。
もちろん一般的にはデジタルで送受信しますので何も問題はないですが、例えばオープンリールでのアナログ録音をする方にとっては大きな問題点になります。
加えて当スタジオの音響顧問:五島昭彦氏にも意見をうかがったところ、この懸念点に加え、DSD録音もできないよねと言う見解。
純粋にマイクアンプとして使いたい方は注意してください。
Danteシステムでの管制塔としての役割が非常に強いので、ハイアマチュアの方やオーディオマニアの方、プロエンジニアの方はレコーディング業務にシステムとして機能するのかどうかしっかり考察しましょう。
- アナログ出力周波数特性 @ 44.1 kHz、-0.5 dB:9 Hz ~ 22 kHz
- アナログ出力周波数特性 @ 96 kHz, -0.5 dB:9 Hz ~ 45 kHz
- アナログ出力周波数特性 @ 192 kHz、-1 dB:8 Hz ~ 75 kHz
スペックにもあるように帯域も制限されているのも特徴。
ホールでの管制塔の他にモニタールームと録音ルームが分かれている場合(Kotaro Studioの手法では同じ場所でモニターする)には便利に機能します。
MADIもしくはDanteを使って構築すれば演者もエンジニアも非常に快適にレコーディングが進められます。
プロフィール

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音大を卒業後ピアニストとして活動。
日本で活動後北欧スウェーデンへ。
アーティストLindha Kallerdahlと声帯とピアノによる即興哲学を研究。
その後ドイツ・ケルンに渡りAchim Tangと共にアルバム作品制作。
帰国後、金田式DC録音の第一人者:五島昭彦氏のスタジオ「タイムマシンレコード」にアシスタントとして弟子入り。
独立後音楽レーベル「芸術工房Pinocoa(現:Kotaro Studio)」を結成。
タンゴやクラシックなどアコースティック音楽作品を多数プロデュース。
大阪ベンチャー研究会にて『芸術家皆起業論~変化する社会の中、芸術家で在り続けるために』を講演。
その後、秋山庄太郎氏後継の写真スタジオ「村上アーカイブス」でサウンドデザイナー兼音響担当として映像制作チームに参加。
村上宏治氏の元で本格的に写真、映像技術を学ぶ。
祖父母の在宅介護をきっかけにプログラムの世界に興味を持ち、株式会社 ジオセンスの代表取締役社長:小林一英氏よりプログラムを学ぶ。
現在はKotaro Studioにて『あなたのためのアートスタジオ』音と絵をテーマに芸術家として活動中。
2023年より誰かのための癒しの場所『Curanz Sounds』をプロデュース。