音響聴き比べ

【音響を学ぶ】SEIDE PCM-1 処理済み VS 未処理

録音はもちろん映像や写真でも基本的には処理が必要になってきます。

ただし、収録するもの、例えばレコーディングエンジニアや写真家でも腕が高ければ高いほど処理をする時間は短くなっていきます。

やはりあまり優秀ではないマイクロフォンや、システム、設備を使って録音したものは処理に大変な時間がかかるわけです。

こういった理由からマイクロフォンというのは非常に高額ではありますが、スタジオに帰ってからの処理の時間を極端に削れることから時間への投資であると筆者は考えているわけであります。

今回テストしたSEIDEのPCM-1はすでに廃盤となっており、新品で購入することはできませんが、たまに程度のいいものが中古市場で出回っていますので見つけたら是非ゲットしてほしいコスパ最上級の最高のマイクロフォンとなっています。

今回は筆者の音楽作品ブランドであるCuranz Soundsの器楽曲の企画で、フルートとのデュオ制作を行っており、フルートの録音マイクを決定するためのテスト収録としていました。

オランダ方式での収録

百聞は一見にしかず、、、まずはこちらの動画でその音を体験してみてください。

冒頭のリバーブは432hz用のものを使っていますので、オーディオのテストとしてはふさわしくない量になっていますが、途中から未加工のものを掲載しています。

未加工のものの威力といいますか、透明感は凄まじいものになります。

密度の表現

使用しているフルート自体が純金製のとんでもないクオリティーの楽器になっていますし、奏者自体も音楽院までみっちり音楽を極めたプロフェッショナル。

楽器から出る音自体がそもそもいいというのもありますが、フルートならではの管を通った時の密度、そして奏者によって変化していく密度までしっかりとマイクロフォンで表現されています。

艶感と音のスピードの微妙な変化まで捉えるその能力はDPAの性質もしっかり感じますし、ドイツ車のようなしつこさはノイマンを彷彿とさせます。

これまで音声のみのテストではありましたが、SEIDEの能力の高さを再認識したテストになりました。

重要なケーブル

モガミ2549に変えたことはかなり大きいと思います。

モガミのケーブルの比較音声はこちらの記事で紹介していますので、是非チェックしてみてください。

【保存版】聴き比べあり〜マイクケーブルのおすすめと選び方

モガミ2549の性能もSEIDEの能力を存分に引き出していると言えます。

EM158と比較すると

今回はCuranz Soundsでの制作企画でフルートのマイクロフォンを選定する打合せでしたので、EM158もテストしています。

まずはゴリゴリの加工状態から。

次に全く無加工のノーマライズのみの音源。

今回は現場にモニターヘッドホンを持って行っていなかったので勘を頼りにおいています。

無指向性のAB方式ですと、この位置では少しまずい位置に置いてしまっています。

特にピアノのEQ面ではかなり劣悪な場所となっており、失敗例として参考にしていただければと思います。

この比較でわかるもう一つのことが、やはり全方位で集音する無指向性のマイクのほうが、現場でのマイク位置は厳格に設定する必要があるということ。

指向性の方がマイキングが難しいと思う方も多いかもしれませんが、実はあとでなんとでもなるのが指向性マイクだったりします。

それはなぜかというと、やはり広がった音波、跳ね返った音波、そこから派生する倍音、までモニターしなければいけないということ。

指向性マイクではその必要性が低いため、簡単(言い方はよくないですが)であると言えるわけです。

そういう意味では無指向性マイクというのはそれだけ極めがいがありますし、一度極めてしまえば、あなたにしか出せないあなただけのマイキングというのが仕上がります。

管楽器の録音はどちらがベストなのか?

今回の比較でわかったことは、制作中の企画に関してはやはりSEIDEを使おうかというところ。

ただし、純粋な生ピアノとのデュオという視点で見た時はおそらくしっかりしたモニター環境にてEM158を選択するのがいいかもしれません。

制作中のものはフルートの432hzチューニングの生録とサンプリング音源で432hzに調整された音源を使用しますので、指向性の相性というものがあります。

やはり生録のみという視点で見るとPCM-1に比べてフルートのもう一歩先の艶やかさというのがEM158には感じられます。(今回の位置ではなくうまく置けばという意味です)

木管の質感を重視するという目的であればあれば、PCM-1がいいでしょう。

今回のフルート奏者が使っているような純金製の最高級フルートの場合は艶やかさも重要じゃないか?と思うわけであります。

みなさんはどちらが好みでしょうか?

筆者が展開するヒーリング音響ブランド『Curanz Sounds』はこちらから。

ヒーリング音楽ブランド

こうたろう

音大を卒業後ピアニストとして活動。日本で活動後北欧スウェーデンへ。 アーティストLindha Kallerdahlと声帯とピアノによる即興哲学を研究。 その後ドイツ・ケルンに渡りAchim Tangと共にアルバム作品制作。 帰国後、金田式DC録音の第一人者:五島昭彦氏のスタジオ「タイムマシンレコード」にアシスタントとして弟子入り。 独立後音楽レーベル「芸術工房Pinocoa(現:Kotaro Studio)」を結成。 タンゴやクラシックなどアコースティック音楽作品を多数プロデュース。 大阪ベンチャー研究会にて『芸術家皆起業論~変化する社会の中、芸術家で在り続けるために』を講演。 その後、秋山庄太郎氏後継の写真スタジオ「村上アーカイブス」でサウンドデザイナー兼音響担当として映像制作チームに参加。 村上宏治氏の元で本格的に写真、映像技術を学ぶ。 祖父母の在宅介護をきっかけにプログラムの世界に興味を持ち、株式会社 ジオセンスの代表取締役社長:小林一英氏よりプログラムを学ぶ。 現在はKotaro Studioにて『あなたのためのアートスタジオ』音と絵をテーマに芸術家として活動中。 2023年より誰かのための癒しの場所『Curanz Sounds』をプロデュース。