【音源あり】Sennheiser MKE 2 徹底レビュー|業界標準の「音」をX-86Sと比較試聴
この記事の目次
本日は費用対効果が非常に高いとも言えるMKE2
音質チェックも兼ねて過去の録音を試聴してみてください。
音楽家:朝比奈幸太郎 Kotaro Studio/Curanz Sounds代表
1986年神戸生まれ。
音大卒業後、ピアニストとして関西を中心に活動、その後渡欧(スウェーデン・オランダ・ドイツ)。
ドイツにてAchim Tangと共に『ピアノとコントラバスのためのソナタ』をリリースし、ケルンの名門ライブハウス:ロフトにて、ステファン・デザイアー氏よりマルチマイク技術を習得。
帰国後、ピアノソロアルバム作品制作を機に金田式DC録音の巨匠・五島昭彦氏に弟子入りし、ステレオペア録音や音響学の真髄を学ぶ。
現在はCuranz Soundsにてヒーリング音響を研究しながら、「演奏家の呼吸」まで切り取る自作マイクP-86Sを開発。
2025年よりビンテージオーディオのRevoxのレストア技術を習得し、オーディオ文化の保全継承にも尽力している。
Sennheiser(ゼンハイザー)

ゼンハイザーは1945年創業のドイツのオーディオ機器メーカーです。
フリッツ・ゼンハイザー博士(Dr. Fritz Sennheiser)によって創立された当初は”Laboratorium Wennebostel”という社名でした。
1956年に現在のゼンハイザーとなります。
ブロードウェイのミュージカル、劇団四季のステージ、そして世界の放送局。
「失敗が許されない現場」において、サウンドエンジニアが最も信頼を寄せるラベリアマイク(ピンマイク)。
それがドイツの名門ゼンハイザーが誇る「MKE 2」です。
直径わずか4mmの極小ボディから放たれる音は、驚くほど太く、そしてリアルです。
しかし、MKE 2が長年にわたり業界標準(デファクトスタンダード)であり続ける本当の理由は、音質以上にその「異常なまでのタフネス」にあります。
本記事では、なぜMKE 2だけが過酷なプロの現場で生き残れるのか?
その技術的背景と音質の秘密を深掘りします。
1. なぜプロは「MKE 2」を選ぶのか?
数あるラベリアマイクの中で、なぜMKE 2だけが別格の扱いを受けるのか。
その秘密は、特許技術である内部構造にあります。
① 汗と涙を弾く「アンブレラ・ダイヤフラム」
舞台上の役者は、激しく動き、大量の汗をかきます。
一般的なコンデンサーマイクにとって湿気は天敵であり、ノイズや音切れの原因となります。
しかし、MKE 2は振動板(ダイヤフラム)の上に傘のような保護層を持つ「Umbrella Diaphragm(アンブレラ・ダイヤフラム)」構造を採用しています。
物理的な防御壁:
この構造により、汗や湿気がマイク内部の心臓部に浸入するのを物理的に防ぎます。
「どんなに汗だくになっても音が途切れない」という絶対的な安心感。
これこそが、エンジニアが大金を払ってでもMKE 2を選ぶ最大の理由です。
② ゼンハイザー特有の「芯のある音」
同じ無指向性でも、DPAが「空気のような透明感」だとすれば、ゼンハイザーは「密度の高い実在感」といえます。
MKE 2は音が散漫にならず、中低域に独特の「粘り」と「コシ」があります。
これにより、大音量のオーケストラの中に混じってもバイオリンの音が埋もれず、役者のセリフが客席の隅々まで明瞭に届くのです。
(混戦の中でも、確実に抜けてくる音)
2. 実機検証と音質レビュー
それでは、MKE 2の実力を実際の現場視点で検証していきましょう。
- ドイツ二か所
- アイルランド一か所
- アメリカ(ニューメキシコ州)一か所
Sennheiser MKE2 + ZOOM F4 + YAMAHA CFⅢ

こちらの収録は同じ現場にて同時にQTC30とDPA4006のマイクロフォンでも収録しています。
こちらの動画では、4種類の無指向性マイクをブラインドで聴き比べできます。
みなさんはどれがスタジオのオリジナルマイクかわかりますか?
DPA 4006も含まれています。
※ 公平性を保つため、音量差やEQなどの後処理は行っていません(可能な限り同条件で収録)。
Microphone A : DPA4006(約80万円)
Microphone B : Sennheiser MKE-2(約14万円)
Microphone C : スタジオオリジナルマイク:miniXLR版のX-86S(3万6900円)
Microphone D : Earthworks QTC30(約28万円)
DPA4006に関しては、当スタジオでも特集させていただいております。
豊富なサンプル音源を多数ご用意していますので、4006の実力をぜひ堪能してください。
Sennheiser MKE2 + ZOOM F4 + チェンバロ

Sennheiser MKE2 + ZOOM F4 タンゴアンサンブル
バリオシノ日本公演の際のリハーサル風景。
こちらの映像はこのバンドを収録した際のピアノソロでのリハーサル収録風景です。
まとめ:現場に「安心」を買うか、「音」を買うか
ここまで見てきた通り、Sennheiser MKE 2は間違いなく世界最高峰のラベリアマイクです。
その「絶対に音が途切れない」という信頼性と、分厚い中低域の実在感は、劇団四季や放送局の現場において代えがたい価値を持ちます。
しかし、ここで一つ冷静な問いを。
あなたがマイクを使う現場は、役者が激しく汗を流す舞台でしょうか?
それとも、静かな室内で、楽器の響きを美しく録るための環境でしょうか?
もし後者であれば、MKE 2の価格に含まれる「強力な防水・防塵コスト」は、あなたにとってオーバースペックな出費かもしれません。
「汗対策はいらない。その分、純粋に音質だけにコストをかけたマイクが欲しい」
そんな楽器演奏者やレコーディングエンジニアの声に応えるために、私たちは過剰な防護機構を削ぎ落とし、音の純度だけを磨き上げました。
「現場のタフネス」か
「純粋な音質」か
汗や湿気に強い「アンブレラ構造」。過酷な現場で「絶対に音を止めない」プロのための道具。
防水機構を省く代わりに「音の純度」を極限まで追求。
MKE 2と同等の極小ダイヤフラムが生む、繊細で空気感のあるサウンド。
激しい動きを伴う演者に装着するような舞台現場なら、迷わずMKE 2を選んでください。
それはプロの保険です。
しかし、もしあなたが「純粋に良い音で楽器を残したい」と願うなら、P-86Sはその期待に1/4の価格で応えます。
また、舞台の録音だけであれば、当スタジオのマイクロフォンを使い、バウンダリーマイクの設置という方法で乗り越えることも可能です。
浮いた予算で、良いケーブルやマイクプリアンプを揃える。
それが賢い機材選びの正解です。
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