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バイノーラル録音用イヤホン型マイク:ラディウス radius RM-ATZ19レビュー&音質テスト

この記事はAmazonをはじめとした各種広告を含みます。

RM-ATZ19を発表。

2023年5月に発売されました。

プリモ製の小型コンデンサマイクロホンを搭載となっていますが、写真を見てみるとおそらくEM288Z1という素子かもしれません。

EM288Z1のスペック情報(PDF)

ステレオミニプラグのバイノーラルマイク

パッケージなどかなりしっかりしています。

ウインドスクリーンが付属品として付いてくるので、重宝します。

バイノーラルマイクを購入する方のほとんどが、やはり無指向性とどう違うのか?

という点であると思います。

ダミーヘッドがなぜ100万円もするのか?

バイノーラルマイクのポイントはやはりアーチ型のヘッド(人間の)構造と、耳による制御にあります。

耳の制御を忠実に再現しようとするとあのような値段になるというわけですね。

しかし、人間に装着すれば無料ですので、問題ないですね。

人間の能力は、カメラスタンド、マイクスタンド、あらゆる超高級スタンドも超えることはありません。

故に、カメラを構えると時、録音する時というのは自分がしっかりスタンドになっているという意識を持って収録する必要があるわけです。

音質性能

プリモのコンデンサーマイク自体は本当に素晴らしい性能です。

当スタジオでは、このバイノーラルに搭載されている素子ではなく、EM158という素子でステレオペア録音することが多いですが、かなり高い水準。

例えばこちら、EM158 VS DPA4006と比較していかがでしょうか?

フォルクローレにて無指向性マイクロフォンの3パターン比較

DPA4006と比較しても、細かい部分に関しては4006には及ばないのは当然としても、かなり高い水準であることがわかると思います。

簡単な日常音テスト

radius RM-ATZ19の音質をかなり簡単なものですが、日常生活音で聞いてみてください。

洗い物の様子。

ちなみにこちらのYoutube動画ではローランドの有名なバイノーラルマイクを使っています。

M4に関しては下記の記事でかなり多数の音源を掲載しながら解説しています。

【M4 MicTrakレビュー】 M4 32bit ステレオリンクの問題点

RM-ATZ19のスペック

  • マイク感度が-43dB
  • 録音周波数特性が30Hz~40000Hz
  • インピーダンスが1.1kΩ
  • 最大入力音圧が127dB
  • S/N比が70dB

イヤホンの仕様

ダイナミック型
ドライバーが12.5mm径
出力音圧レベルが116±3dB
再生周波数特性が10Hz~20000Hz
インピーダンスが16Ω±15%
最大入力が100mW

となっています。

プラグインパワー(3.5mm 金メッキステレオミニプラグ)での駆動ですのでプラグインパワーに対応したレコーダーが必要。

最近であれば、ZOOM H1essentialがあれば、かなり安価で最高のバイノーラル環境が完成します。

ZOOM H1essentialは32bit収録ですので、耳につけて録音ボタンを押すだけ。

ただし、こちらののDR05Xは24bitなので、ゲイン調整が必須になるものの、プラグインパワーのマイクアンプ性能が非常に高く、こちらも安価なのに、プラグインパワーマイクの運用には非常に重宝します。

フォルクローレの比較テストでも紹介しましたが、安価でとんでもないマイクアンプ性能を発揮してくれます。

DR-05X ハンディレコーダー をサウンドハウスで見てみる

イヤホンモニター性能

イヤホン部分のモニター力がどうなのか?という点は非常に気になるところだと思います。

例えばローランドのCS-10EMは最大の弱点がこのイヤホン部分でした。

バイノーラルマイクですので、そこまで精密なモニター環境は必要ないので、気にならない方にとってはそこまで気になりませんが、やはり体験しながら録音もしたいという方にとっては、CS-10EMは致命的でした。

その点、RM-ATZ19はイヤホン部分が想像していたよりも(CS-10EMを基準に)音が良く、モニターとしても機能するかと思います。

ただし、音がいいからといってモニター部分の音量を上げすぎるとハウリングが起こりますので、ほどほどにしてください。

細かい音質については、筆者の個人的な見解としては、「バイノーラル録音でしっかりモニターしたところでそこまで微調整ができるわけがない」ので、割り切って考えてOKだと思います。

RM-ATZ19は市場想定価格は25,500円前後と、SOUND PROFESSIONALSなんかと悩むお値段SOUND PROFESSIONALSなんかも実はプリモの素子が使われたりしていることが多いので、プリモがあんまり好きじゃないという方は素直にROLAND / CS-10EM ASMRがベストバイかな?と思います。

ROLANDバイノーラルマイクロホンイヤホンをサウンドハウスで見る

一点注意してほしいのが、商品ページなどでもシェアされているこちらの写真。

これは大問題です。

カメラにマイクは刺さないでください。

初心者の方が最も陥りやすい罠ですので、要注意。

当スタジオでも何度もお伝えしていますが、マイクをカメラに直接刺さないでくださいね。

もう一度言うよ!何度でも言うよ!カメラにマイクを挿さないで!

バイノーラルマイクのXLR端子化

さて、RM-ATZ19や、CS-10EMなどのバイノーラルマイクをF3や、他のフラッグシップ系のレコーダーで使いたいと思う方も多いのではないでしょうか?

筆者もその一人。

プラグインパワーとファンタム電源の違い

「プラグインパワー方式」とは、録音機からマイクロホンへ電源を供給する方式のことです。
※「プラグインパワー方式」のマイクロホンを使用するときは録音機にも「プラグインパワー方式」の機能が必要です。
※「プラグインパワー方式」の規格はメーカーによって異なり、互換性がありません。

Sony

・ファンタム電源は、バランスオーディオ信号と同じワイヤー上に、DC12~52Vを乗せます。
・プラグインパワーでは、安価なコンデンサーマイクロホン内部のJFET電源用にDC5Vを供給します。電圧とオーディオを乗せるワイヤーが別けられている場合もあれば、オーディオと同じワイヤー上に電圧を乗せる場合もあります。

Shure

との技術的な解説がされており、基本的にはプラグインパワーで配線されたマイクロフォンはファンタム電源で動かすことができません。

仮にDC+12-48Vの供給でプラグインパワーのマイクロフォンを動かしたところで、致命的なダメージを与えかねないため注意が必要です。

また、プラグインパワーでは電源の供給方法また、接続する端子そのものの配線がファンタム電源のケーブルとは異なるため、変換コネクタだけでは、供給することはできません。

配線そのものをXLRに繋ぎ変える必要(素子そのものからの配線)があります。

ステレオミニプラグは3極で、先端から黒い絶縁部分を挟んでT, R, Sと割り当てられています。

BUB BU-48Vというアダプタで改造しておられる方もいらっしゃいますし、改造アダプターを個人で販売している方もおられますが、こういうジャンルは自身で再現性のないものは使わないほうがいいと思います。

また、「パーツが手に入らない」といった状況に直面するケースも多々ありますので、できるだけ市販品かつメーカーもので対応していく必要があります。

現状ではバイノーラル録音用のマイクはほとんどがステレオミニプラグとなっているかと思います。

筆者の知る限りでは、DPA4560がマイクロドットコネクタを採用しています。

どうしてもバランスケーブルで使いたいという方や、特定のマイクアンプを使いたいという方は、DPA4560もしくは、他の改造選択肢となります。

繰り返しになりますが、ステレオミニプラグからXLR端子への変換コネクタを用いても、電送方式がそもそも違いますので使えません。

ご注意ください。

総評

プリモの素子を使っていますので、バイノーラルマイクとしてはDPAなどと戦える非常に優秀なマイクロフォンであると思います。

2万5,000円という価格に関してはもう少し頑張って欲しいところではありました。

付属のウインドスクリーンはローランドのCS-10EMと同様のものであり、CS-10EMの仕上がりが素晴らしいのもあり、CS-10EMの倍の値段と考えると、やっぱり悩ましい価格帯ではあるかと思います。

  1. 旅行などで手軽に高音質でフィールド録音したい。
  2. 子供の音楽発表会の録音を頼まれた。
  3. セクハラ、パワハラの記録を残したい。
  4. 無指向性が好き。

これらの方はこのマイクロフォンはおすすめです。

子供の音楽発表会の場合は、素直にZOOM H1eとこのマイクを購入すればKotaro Studioのような業者に依頼するよりも遥かに安く、素人離れした音質で録音できます。

セクハラ、パワハラの記録をお探しの方はこちらの記事も参考にしてください。

プロ音楽家が選ぶ!絶対にバレない最強ボイスレコーダーTOP10【パワハラ・セクハラ・浮気調査対策版】

また、プリモの素子は無指向性の素子として非常に優れているため、無指向性マイクの選択肢としてシンプルにあり!

モニター音は拘らないという方は、CS-10EMもGOODです!

こうたろう

音大を卒業後ピアニストとして活動。 日本で活動後北欧スウェーデンへ。 アーティストLindha Kallerdahlと声帯とピアノによる即興哲学を研究。 その後ドイツ・ケルンに渡りAchim Tangと共にアルバム作品制作。 帰国後、金田式DC録音の第一人者:五島昭彦氏のスタジオ「タイムマシンレコード」にアシスタントとして弟子入り。 独立後音楽レーベル「芸術工房Pinocoa(現:Kotaro Studio)」を結成。 タンゴやクラシックなどアコースティック音楽作品を多数プロデュース。 大阪ベンチャー研究会にて『芸術家皆起業論~変化する社会の中、芸術家で在り続けるために』を講演。 その後、秋山庄太郎氏後継の写真スタジオ「村上アーカイブス」でサウンドデザイナー兼音響担当として映像制作チームに参加。 村上宏治氏の元で本格的に写真、映像技術を学ぶ。 祖父母の在宅介護をきっかけにプログラムの世界に興味を持ち、株式会社 ジオセンスの代表取締役社長:小林一英氏よりプログラムを学ぶ。 現在はKotaro Studioにて『あなたのためのアートスタジオ』音と絵をテーマに芸術家として活動中。 2023年より誰かのための癒しの場所『Curanz Sounds』をプロデュース。