【永久保存版】プロが選ぶ本物の最高級マイク6選

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Googleで「最高級 マイク」を検索すると、シュアやAKGなどの一般的なブランドが紹介されている記事が上位に並びます。

確かにシェアやAKGは老舗ブランドとしての地位を確率し、高級マイクとしての認識もされています。

しかし、プロの制作チームやスポンサーがついているチームが使用する最高峰のマイクには、より専門的なブランドとモデルが存在するんです。

これらは個人で持つにはちょっとハードルが高いものが多く、気軽に導入できるものではありませんが、昨今ではレンタルサービスも充実していて、音を体験するという意味では手軽になりました。

本記事では、世界中の録音現場で信頼されるノイマン、DPA、ショップス、テレフンケンといったブランドに焦点を当て、各ブランドの代表的な最高級マイクとその目安価格を紹介します。

各ブランドの最高のおすすめマイク

各ブランドの紹介カテゴリーに個人的に使ってみてよかったマイク、セッテイングしやすいマイクなど名機を紹介します。
有名なものとか、値段が高いだけのものは除外しており、筆者が現場で実際に使ったことのあるマイクを紹介していますので、即戦力になる情報であると自負しています。

最高級マイクとは?

最高級マイクとは、録音や放送のプロ現場で使用されるハイエンドモデルのことで、一般的な製品とは比較にならない高い解像度と低ノイズ、信頼性を備えています。

設計や部品に妥協がなく、その分価格も非常に高く、数十万円から数百万円に達するものもあります。

Neumannの最高級マイク

やっぱりまずは外せないノイマン(Neumann)は、1928年にドイツ・ベルリンで誕生した世界最高峰のマイクロフォンメーカーです。

創業者ゲオルク・ノイマン(Georg Neumann)は、録音という技術がまだ黎明期にあった時代に「音を忠実に再現すること」に人生を捧げました。

今日、ノイマンのマイクはクラシック音楽、ジャズ、ポップス、放送、映画、さらには現代のポッドキャストやASMR制作に至るまで、あらゆるプロフェッショナルの現場で使用されています。

例えばU87といえば、SM58クラスに誰でも一度は聞いたことのある名機です。
ただし、名機と音がいいかは別に考える必要があります。
ほとんどのケースで名機は音がいいですが、他の選択肢や、コスト的な視点を常に考えてみるというのは大切なこと。

昨今だと、より低コストで近いクオリティー、またそれらを超えるクオリティーを出せるマイクロフォンやオーディオ機器、アイディアは山ほどあります。

そういったアイディアやテクニックを知りたい方はぜひKotaro Studioをフォローしてくださいね!

ノイマンの始まり ― 世界初のコンデンサーマイクの誕生

1928年、ゲオルク・ノイマンは世界初の商用コンデンサーマイクロフォン CMV 3 を開発しました。

この球状のフォルムから「ボトルマイク」とも呼ばれ、今日でもコレクターズアイテムとして高値で取引されています。

CMV 3は当時の放送局やスタジオに革命をもたらし、マイクロフォンという概念を「正確に音を記録する科学技術」から「音を美しく表現する芸術的ツール」へと変えたわけです。

第二次世界大戦後、ノイマンはベルリンの荒廃の中から再出発を果たし、スタジオ録音の黄金期を牽引します。

1950年代には代表作 U47 を発表。
このマイクは世界中のスタジオで愛され、フランク・シナトラやビートルズ、ナット・キング・コールなど数え切れない名盤に使用されました。

U47こそ、ノイマンを「録音史の象徴」としたマイクです。

ノイマンの象徴 ― U47から続く伝説

U47は、当時画期的だった可変指向性(カーディオイドと全指向性を切り替え可能)と、テレフンケン製真空管VF14を搭載したことで知られています。

TELEFUNKEN ( テレフンケン ) / U47〜サウンドハウスの価格チェック

その温かみのあるサウンドは「ノイマンサウンド」と呼ばれ、現代の音楽でも再現を求められ続けています。

この成功を受け、ノイマンは次々と新たな名機を生み出しました。

  • U67(1960):真空管を使用しつつも、よりスムーズでバランスの取れた中域を実現。クラシックからロックまで幅広く使われました。現在でも復刻版「U 67 Set」が販売され、ノイマンの音を現代に蘇らせています。
  • U87(1967):トランジスタ化によって安定性と低ノイズを両立。放送業界・音楽制作の「世界標準」とされ、あらゆるスタジオに1本は常設されているほどの定番マイクです。
  • M49(1951):リモートで指向性を変更できる革新的な設計を採用。滑らかで繊細な音が特徴で、ジャズボーカルやオーケストラ収録などに最適とされました。2022年には最新技術で忠実に再現された復刻モデル「M 49 V」が登場しています。

これらのモデルはいずれも、単に音を拾う道具ではなく、「音楽を描く筆」としての哲学が息づいています。

技術と文化の融合 ― ノイマンの哲学

ノイマンは工業製品でありながら、芸術作品のようにひとつひとつ手作業で組み立てられています。
ベルリンの工場では、熟練した職人たちがカプセルの膜を一枚ずつ手で貼り、検査を重ねます。

このクラフトマンシップが、90年以上経った今もノイマンが“唯一無二”と称される理由です。

また、ノイマンは録音文化そのものを形成してきました。

放送局のスタジオ設計には、ノイマンのマイク特性が基準として組み込まれるほどです。現代では、デジタル技術の発展に合わせ、USBマイク「TLM 103 USB」やAIによる自動音場補正技術など、新時代の製品開発にも積極的に取り組んでいます。

あまりにも多いですが、ここで代表的マイクロフォンを少しだけ紹介しておきます。

モデル名年代特徴用途
U471949年テレフンケンVF14真空管使用、温かみのあるトーンボーカル、弦楽器、クラシック録音
U671960年多指向性切替可能、滑らかな中域スタジオ全般、ピアノ、アコースティック
U87 Ai1967年~トランジスタ化、業界標準マイク放送、ボーカル、ナレーション
M149 Tube現行真空管+K47カプセル採用、現代版U47ハイエンドボーカル録音
KU 100現行ダミーヘッド型バイノーラルマイクASMR、VRサウンド制作

ノイマンのヴィンテージマイクは、単なるコレクターズアイテムではなく、「音の記録装置としての歴史資料」です。

U47やM49はその代表格で、今日でも世界の名スタジオでは現役で稼働しています。

これらのマイクは修理やチューニングを繰り返しながら、まるで楽器のように育てられてきました。

ノイマンのヴィンテージは単なる“古い機材”ではなく、「時代の音」を封じ込めた記録装置です。

ノイマンのマイクを手にした瞬間、多くのエンジニアやアーティストが「音の重み」を感じると言います。それは単なるブランド価値ではなく、90年以上にわたって人類の音楽史とともに歩んできた“文化そのもの”なのです。

ノイマンのおすすめマイク

KM184

指向性のマイクロフォンとしてはやはりKM184をおすすめします。
潜在的なポテンシャルは非常に高く、マイクセッティングによって録れる音の幅は非常に大きいです。

逆に初心者でいきなりKM184を使うには苦労するかもしれませんが、最初にこの最高の指向性マイクを手に入れるという喜びは何者にもかえがたく、加えてマイク位置やマイクアンプADCなどで本当に別次元の録音ができるようになりますから、自身の成長を感じやすく成功体験を得やすいと言えるでしょう。

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次にU87は非常に有名なマイクロフォンです。
かなりのスタジオで導入されており、なんというか、プロの標準マイク・・・のような位置付けです。

NEUMANN ( ノイマン ) / U87 Ai Studio Set〜サウンドハウスの価格チェック

例えばこちらのadieuさん、筆者は大ファンで、毎日聴いていますが、これはU87を使っているようです。

スタジオ経営するならとりあえずU87はステレオペアで持っておかないと「かっこつかない・・・」というマイクです。

NEUMANN ( ノイマン ) / U 87 Ai Stereo Set〜サウンドハウスの価格チェック

でも、個人で類似のマイクを選択するのであれば、U87じゃなくて、TLM 103をステレオで揃えた方がいい、絶対いいと思います。

NEUMANN ( ノイマン ) / TLM 103 Studio Set シルバー〜サウンドハウスの価格チェック NEUMANN ( ノイマン ) / TLM 103 Studio Set ブラック〜サウンドハウスの価格チェック

そして、TLM102と103の差はお値段以上のとんでもない差になります。

間違ってもTLM102は買わないようにしてほしい。
ちなみに価格はこちら⬇️

NEUMANN ( ノイマン ) / TLM 102〜サウンドハウスの価格チェック

TLM103の能力は非常に高く、ボーカルからウッドベース、ナレーションなどあらゆる録音に最高の能力を発揮し、大口径らしい余裕を見せてくれます。

NEUMANNの能力を存分に味わうのであればKM184とTLM103.
U87はみなさん気になるところだと思いますが、本当に必要かどうか用途をよく考えた方がいいです。

アリババの偽物

ノイマンの大口径マイクはアリババで探すと、数万円で購入できるようになっていますが、もちろん偽物ですし、面倒なことに巻き込まれないためにもそういう欲は出さないように注意してください。

ノイマンは偽物防止のため、工場の生産ラインを複数の地域に分散させているという話を聞いたことがありますので、某国1拠点の工場ラインだけで生産が完了するものではないと思います。

世界トップを走る超老舗ブランドですからそういうことが起こらないように徹底しているはずです。
実際それっぽい音が出るものもありますが、TLM103などは本物は全く別物のサウンドです。

DPAの最高級マイク

DPA Microphonesは、デンマークの老舗音響計測メーカー「Brüel & Kjær(ブリュエル&ケアー)」のスタジオ録音部門を母体として、1992年に独立したブランドです。

Brüel & Kjærは1940年代から航空宇宙・自動車・医療・音響研究の分野で使われる音圧測定マイクロホンや分析機器を開発しており、世界中の研究機関にとって欠かせない存在でした。

その高精度技術を音楽録音の世界に応用したのがDPAです。創業者の一人、Ole Brøsted Sørensen(オーレ・ブロステッド・ソレンセン)は、「録音とは科学的行為であり、同時に芸術的探求でもある」と語っています。

つまり、DPAは「マイクを作る会社」というより、音の真実を測定・記録・再現する科学者集団としてスタートしたのです。

デンマーク文化に根ざした「ナチュラルサウンド」の哲学

デンマークは、デザインとエンジニアリングの調和に優れた文化を持つ国です。

家具のヤコブセンや音響のBang & Olufsenなどに見られるように、「機能の美」を追求するDNAがあります。

DPAも例外ではなく、「何も足さず、何も引かない」自然な音を理想としています。

特定の周波数を持ち上げたり、音を“作る”ことを避け、耳で聴く現実そのものを再現することに重きを置いています。

この思想が、クラシック録音や放送、映画音響の現場で高く評価される理由です。

ノイマンが“音楽的なマイク”だとすれば、DPAは“科学的で透明なマイク”、ありのままをそのまま残すマイクです。

カプセル技術 ― 0.5インチの奇跡

DPAのマイクカプセルは、Brüel & Kjær時代からの測定マイク技術をベースにしています。
たとえば、当スタジオでも頻繁に使用している同社の代表的な4006(無指向性)カプセルは、もともと音響測定用マイク「B&K 4006」を録音用に最適化したものです。

DPA ( ディーピーエー ) / ST4006A ステレオペアをサウンドハウスでチェック

その感度特性は非常にフラットで、20Hz〜20kHzの範囲で±1dBという驚異的な直線性を誇ります。
つまり、空気中の音波を“加工せず”にそのまま電気信号へ変換することができるのです。
やはりDPA4006は無指向性マイクの王者と言えます。

4006-TL?4006A?何がどう違うの?

DPA4006シリーズは同じ無指向カプセルを使いながら、出力回路と構造が異なります。
初期の4006は出力トランスを内蔵し、温かみのあるアナログ的な音が特徴です。
4006TL(Transformer-Less)はトランスを廃し電子回路でバランス出力を実現、ノイズが少なく低域がより正確で現代的なサウンドになります。

4006Aはその改良版で、モジュラーデザインを採用し、カプセルやグリッドを交換できる構造になっています。

音質は非常にクリーンで拡張性が高く、ノイズ性能も最も優れています。つまり、4006=クラシカル、4006TL=ハイファイ、4006A=最新多用途型という関係です。

DPA4006TLと当スタジオのオリジナルマイクの音を比較したサンプルもありますので、ぜひ聴いてみてください。

🎧 ブラインド試聴体験

どちらがDPA4006TL?

どちらがDPA4006TL?かわかりましたか?
この二つの音源のすごいところが、実はBがDPA4006TL+Sound Devices 302を使って録音しているわけですが、Aの方は、スタジオのオリジナルマイク、なんとプラグインパワーとH1essentialとの組み合わせで録音しているんです。

もちろんDPAの音が素晴らしいことはわかりますし、よーく聞いてみると、弦、ハンマーの芯の音を的確に質感ごと捉えているのはDPAの方だと思いますが、当スタジオのマイクもここと近いレベル、いえ、互角に戦えるマイクであると言えるわけです。

50万円、60万円かけてももちろんいいですが、本質的なところは、どんな感情で、どこに素晴らしい性能のマイクを置くかです。

気になる方は以下のリンクから当スタジオのオリジナルマイクの他の音源も試聴してみてください。

DPAのマイクは「見た目がシンプルなのに、内部が緻密すぎる」と称されるほど構造的完成度が高く、高湿度環境、強い振動、極端な温度変化にも耐える設計で、野外フィールド録音や劇場・映画収録などの過酷な現場でも信頼されています。

実際、世界中の放送局、BBCやNHKなどでもDPAは標準マイクとして採用されています。

ここで代表的なモデルをみていきましょう。

モデルタイプ特徴主な用途
4006A / 4006C無指向性コンデンサーフラットで正確な音場再現。クラシック録音・アンビエンス収録に最適。オーケストラ、アンビエンス、クラシック
4011A / 4011C単一指向性ペンシル型ピュアで開放的なトーン。楽器のダイナミクスを忠実に再現。ピアノ、弦楽器、アコースティックギター
4015広単一指向性指向性と自然な広がりのバランス。合唱、ルームマイク、映画録音
4060 / 4061ラベリア型(超小型)映画・舞台・放送で定番。サイズからは想像できない高音質。映画収録、舞台、ポッドキャスト
4099シリーズ楽器取付型(クリップ式)各楽器専用設計。ライブやクラシック現場で高評価。バイオリン、チェロ、ドラム、ピアノ
5100サラウンドマイク放送・映画・スポーツ収録用の一体型5chマイク。放送現場、環境音収録、3Dサウンド

これらのマイクはどれも、DPAの「音の忠実再現」という根本思想を具現化したものです。

どのモデルを選んでも“DPAの音”が感じられます。

DAPのおすすめマイク

DPAのマイクは基本的にかなり高額です。
なかなか初心者が導入するにはハードルが高いものになりますし、シンプルで素直な録音故に、加工された音に慣れているとなかなかDPAの真価に気づきにくいというのも一つ。

道具としてのDPAは使い手もしっかり選ぶというわけです。

中でも無指向性の王者4006はやはり後述するショップスの無指向性と二大王者といえますので、選んで失敗することはまずありません。

DPA ( ディーピーエー ) / ST4006A ステレオペアをサウンドハウスでチェック

また、4006のライト版といってしまうと乱暴ですが、もう少し価格を抑えた2006というモデルがあります。

DPA ( ディーピーエー ) / ST2006C ステレオペアをサウンドハウスでチェック DPA ( ディーピーエー ) / ST2006A ステレオペアをサウンドハウスでチェック

AとCの違いとは?

DPA 2006Aと2006Cはどちらも同一のマイクカプセルを採用した高精度コンデンサーマイクですが、主な違いはボディサイズと用途にあります。

2006Aは標準サイズのボディを持ち、堅牢な構造と広いダイナミックレンジを備えたスタジオ録音向けのフルモデルです。

一方の2006Cはコンパクト設計で、音質は同等ながら軽量・短尺のため、狭い空間での設置や移動収録、放送用途に最適です。

2006Aは音質重視の固定録音用、2006Cは機動性重視のプロ現場用という使い分けができます。

しっかりと聴き比べると決して4006のライト版というわけではなく、4006にはない音の傾向性があります。

ここまでの機材になると感性の領域になるので解説は難しいですが、筆者は合唱の形態によって4006と2006を使い分けます。

気まぐれですが、朝比奈幸太郎のポッドキャストでは2006を使うことも多いのでぜひチャンネル登録お願いします。

また、測定用ということで無指向性のイメージが強いDPAですが、すごい指向性マイクも持っています。

それが、DPA4011

DPA ( ディーピーエー ) / ST4011A をサウンドハウスでチェック DPA ( ディーピーエー ) / ST4011C をサウンドハウスでチェック

こちらもCモデルがあり、用途に応じて選ぶことができます。

他にもモデルは多数ありますが、基本的にDPA買うなら妥協しないで4006か4011、2006は選択肢として4006の代替であり!!!という具合。

ブランド力があるからと、他のモデルに無闇に手を出さないことです。

4006と4011は飛び抜けていますが、他のモデルだと、他の選択肢も大いにありますので、選択を極める必要があります。

ちなみにDPAは2020年代に入ってからも、新しい挑戦を続けています。

  • 放送業界では4097 Core Micro ShotgunがENGやライブ配信の標準機となり、
  • 映画業界では6060シリーズが「見えないマイク」として衣装や髪に仕込まれるなど、圧倒的な存在感を示しています。

また、音楽だけでなく、VR・AR・バイノーラル分野でもDPAは先駆者として活動しており、KUシリーズやヘッドマウント型収録技術など新しい音響表現の可能性を広げています。

ショップス(Schoeps)の最高級マイク

多くの人が「ショップス=クラシック録音の定番マイク」という印象を持っています。

その背景には精密音響計測の伝統を継ぐ技術的文化があるわけです。

Schoeps(正式名称:Schalltechnik Dr.-Ing. Schoeps GmbH)は、1948年にドイツ・カールスルーエ工科大学(KIT)の音響研究者、Dr. Karl Schoeps(カール・ショップス博士)によって創業されました。

そのルーツは戦前の音響測定器開発にあり、初期の研究はマイクロホンを「音響信号の正確な測定器」として設計するものでした。

つまり、SchoepsもDPAと同じく“測定”の世界から生まれたマイクブランドなのです。

当時のドイツでは、音響技術が放送・通信・軍事などさまざまな分野で発展しており、Schoeps博士はその科学的知見を録音用マイクへ応用。
1950年代初期に、真空管コンデンサーマイク CM51/3 を開発し、クラシック録音の世界に新たな時代をもたらしました。

モジュラー方式 ― 科学的合理性の結晶

Schoepsの最大の特徴は、1950年代後半に確立された「モジュラーシステム」です。
この方式は、マイクアンプ(CMCシリーズ)カプセル(MKシリーズ)を分離し、自由に組み合わせることができる構造を採用しています。

例えば:

  • CMC6 + MK4 → カーディオイド(単一指向性)
  • CMC6 + MK2H → 無指向性(高周波補正あり)
  • CMC6 + MK8 → 双指向性(MS録音用)

この発想はまさに計測機器の思想に近く、「目的に応じてプローブ(測定ヘッド)を交換する」ような感覚です。

録音エンジニアは音響空間の特性に応じて最適な組み合わせを選び、精密に音場を再現するシステムとして構築します。

カメラの世界で考えるとわかりやすいですね。
カプセル=レンズです。

もちろんそれなりのボディと組み合わせることでレンズの真価を発揮するというわけです。

クラシック録音の象徴 ― Schoepsが愛される理由

Schoepsの音は「透明」「正確」「立体的」と表現されます。
特にクラシック音楽では、ホール残響や楽器の空気振動まで繊細に再現できるため、「録音というより“再現”」の領域に達しています。

そのため、Schoepsは以下のような現場で好まれます:

  • オーケストラのABまたはORTFステレオ収録
  • 合唱団や弦楽四重奏の空間録音
  • 映画・劇場でのアンビエンス収録
  • VR・バイノーラル録音などの立体音響実験

特にクラシック系エンジニアの中では、「ノイマンで彩りを、Schoepsで現実を録る」といわれるほど、録音の質感をコントロールする軸となっています。

ショップスのおすすめマイク

当スタジオとしてはショットガンマイクの活用はあまりしていませんので、ショットガンマイクのおすすめといえば、定番の416でOKという概念を持っています。

SENNHEISER ( ゼンハイザー ) / MKH416-P48U3 撮影用ショットガンマイクをサウンドハウスでチェック

416の場合、音がいいとか悪いとかそういう話じゃなくて、ショットガンマイクの基準音的存在ですので、議論の余地はありません。

しかし、ショップスのショットガンマイクは一味違います。

SCHOEPS ( ショップス ) / CMIT 5U Standard Blueをサウンドハウスでチェック

CMIT 5U Standard Blueはちょっと別次元過ぎて驚きますよ。
ただし、よくあるミスというのがこれをカメラに直接挿入しちゃう人。
これは絶対にやめてください。

マイクをカメラに直接挿すという行為はフェラーリを買ったのに原付のエンジンに載せ替えるのと同じくらいの行為だと思ってください。
もしなんでダメなのか意味不明!という方はこちらの記事を参照してくださいね。

何度でも言うよ!カメラにマイクを挿さないで!

ちなみによりコンパクトなバージョンもあります。
用途によって使い分けでください。

SCHOEPS ( ショップス ) / MiniCMITをサウンドハウスでチェック

なんで短いの?

ショットガンマイクは基本的に長いです。
ショットガンみたいでしょう。

しかしできるだけ短くするのはなぜでしょうか?

もちろん荷物が少なくというのも一つです。
しかし、こういうショットガンマイクを使うシーンというのは、やはり過酷な環境での収録が前提となっています。
これはカメラのレンズでも言えることですが、超望遠レンズをもっていって、戦場で間違って撃たれた・・・という話は実際にあるわけで、過酷な状況で取材をする場合は、以下にコンパクトに、そして取材員とわかってもらえるかというのは重要なポイントになります。

さて、ここからがショップスの本領発揮といいますか、クラシック音楽の録音に最適なマイクの紹介です。

ショップスで弦楽器録音すると、それはそれはもうとんでもない音で録れますよ。

弦楽器はショップス、ピアノはDPAと覚えておくと一つの基準になります。

ショップス買うならSCHOEPS ( ショップス ) / Stereo-Set MK 5(無指向/単一指向性の切り替え式)、以上!という感じです。

SCHOEPS ( ショップス ) / Stereo-Set MK 5をサウンドハウスでチェック

単一指向性のMK4

SCHOEPS ( ショップス ) / Stereo Set MK 4をサウンドハウスでチェック

超単一指向性のMK41

SCHOEPS ( ショップス ) / Stereo-Set MK 41 をサウンドハウスでチェック

また、無指向性のMK2というのもあります。
現在は入手困難となっていますが、MK2は金田式DC録音でもカプセルとして使っているため、サンプルが多くあります。

🎧 ブラインド試聴体験

Bの音(SCHOEPS MK2+金田式DC録音)は、音の立ち上がりが速く、輪郭が太い。
そして、音の減衰が多層的なグラデーションで消えていく——
まるでアナログテープのような温度と深みを感じられる録音技術です。

しかしこの金田式DC録音技術、誰でも扱えるわけではありません。
金田式DC録音は、世界でもごく限られた技術者しか扱えない特別な手法

Aのマイクで録音された音(Kotaro Studio Aria)は、
金田式DC録音の“透明感”と“空気のリアリティ”を、
誰でも扱える機材環境で再現することを目指しました。

音響の専門学校に通い、
数年間で数百万円の投資をして学ぶより、
このKotaro StudioのAria 1本(ペア)と
わずかな設備投資であなたの録音作品はただち世界一流の録音に変わります。

今すぐ購入

ショップスの工場は現在もドイツ・カールスルーエにあり、すべての製品が職人と技術者の手によって組み立て・測定・調整されています。

出荷前には全マイクが周波数特性・ノイズ・感度の測定データを取得し、製品ごとにシリアルレポートが付属します。

これは測定器メーカーとしての誇りでもあります。

ショップスは確かに高額で高級マイク、最高級のマイクと言ってもいいでしょう。
とりあえず、ショップスの指向性マイクを買えば、市販品のマイク探しはゴールと言えます。

テレフンケンの最高級マイク

テレフンケン(Telefunken)は、1903年にドイツ・ベルリンで設立された会社で、もともとは無線通信と電子計測の技術開発を担う国策企業でした。

創設は二大電機メーカー「Siemens(ジーメンス)」と「AEG(Allgemeine Elektricitäts-Gesellschaft)」による共同事業で、当時急速に発展していた長距離無線通信(Telefunk)技術の国家的研究拠点としてスタートします。

したがって、TelefunkenはDPAやSchoepsと同様に「測定器由来」の系譜を持ちますが、目的は音響測定ではなく“通信信号の精密伝達”にありました。

この通信技術こそが後にオーディオ機器、そしてマイクロフォンへと進化する土台となります。

放送・軍用通信を支えた技術

第一次世界大戦から第二次世界大戦にかけて、Telefunkenはラジオ放送・軍用通信・レーダー・真空管開発の分野でドイツを代表する企業に成長しました。

特に注目すべきは、Telefunkenが真空管技術の世界的リーダーであったことです。
1930年代には同社製の真空管(特にEF12、EF86、AC701kなど)は、世界中の放送局で標準規格として使用されました。

これらの管球技術は後にマイクロフォンの心臓部(カプセル増幅部)に転用され、Telefunkenが音響機器メーカーへと進化するきっかけとなります。

Neumannとの関係 ― U47を生んだ“ドイツ連合ブランド”

Telefunkenが録音機器の歴史に名を残す最大の理由は、ノイマン(Neumann)との協業です。

戦後のドイツでは、AEGがTelefunkenブランドを再編。
放送・録音分野での商標使用を拡大し、Neumannの製品販売を「Telefunkenブランド」として国際展開しました。

その象徴が名機 U47 です。

  • U47(1949年):開発はNeumann、販売はTelefunken。
    Telefunkenの営業網と真空管供給網によって世界中に普及。
    内部の真空管にはTelefunken製VF14Mを採用。
    この管球の性能が音のキャラクターを決定づけ、「Telefunkenの音」として記憶されました。

つまり、Neumannが設計し、Telefunkenが鳴らした
この二社の協業が、録音史における“ドイツ黄金期のマイク文化”を築いたのです。

同社のロゴ(菱形に「Telefunken」の文字を囲む意匠)は、当時のドイツでは「信頼と正確性のシンボル」として知られています。

この技術文化はマイク設計にも反映されました。
たとえば、U47やELA M 251に採用された増幅回路は、軍用通信機の設計手法を基礎にしており、極限までノイズを排除した回路構成を実現。

また、測定器メーカーとしての誇りから、全数検査・真空管の選別試験・温度特性の均一化など、当時としては異例の品質管理を行っていました。

1960年代以降、Neumannが独自に国際展開を進め、Telefunkenブランドは一時的に録音機器分野から退きます。

しかしその後、Telefunkenの遺産はアメリカで復興されることになりました。

1990年代後半、Telefunken Elektroakustik(USA)が設立され、オリジナルTelefunken社の技術・設計思想・真空管資産を正式に継承。

以来、クラシックマイクの復刻と現代版開発を両立するブランドとして再評価されています。

現代のTelefunkenは、以下の3つのラインを展開しています:

シリーズ特徴代表機種
Diamond Seriesオリジナル真空管マイクの完全復刻ELA M 251E / U47 / C12
Alchemy Series現代的設計とTelefunkenサウンドの融合TF29 / TF39 / TF47 / TF51
FET Seriesトランジスタ回路による低ノイズモデルM60 / M80 / M81 など

これらの製品は単なる“復刻”ではなく、Telefunkenの科学的伝統を現代音楽の文脈に再構築した試みといえます。

Telefunkenは、他のマイクブランドと比べて特異な文化を持っています。

  • Neumann が「音楽的精度」の象徴であるなら、
  • Schoeps は「音響空間の純度」、
  • そして Telefunken は「技術美と感情の融合」。

Telefunkenの音は、単に正確な音ではなく、温度・質量・人間味を伴います。
それは、もともと無線通信という“人と人をつなぐ技術”から始まった企業だからこそ、
音を通じて人をつなぐ文化」を根源的に宿しているのです。

それはドイツ科学技術の象徴であり、音の文化遺産そのものです。
精密機器メーカーとしての出自を持ちつつ、音楽の表現者たちの心を掴んできたTelefunkenは、
今もなお「技術が芸術に昇華する瞬間」を体現する存在といえます。

Sennheiser(ゼンハイザー)

ゼンハイザー(Sennheiser electronic GmbH & Co. KG)は、1945年、第二次世界大戦終結直後にフリッツ・ゼンハイザー博士(Prof. Dr. Fritz Sennheiser)によってドイツ・ヴェーデマルク(ハノーファー郊外)に設立されました。

もともとは「Laboratorium Wennebostel(略称:Lab W)」と呼ばれる研究所であり、通信機器・音響測定・無線技術の研究を行っていたのが始まりです。

この点で、TelefunkenやNeumannと同様、ゼンハイザーも測定・通信分野にルーツを持つ理工系企業であったといえます。

戦後復興とともに歩んだ音響技術

戦後のドイツでは、放送網・録音機材・通信技術が壊滅的な打撃を受けました。
フリッツ・ゼンハイザー博士はTelefunken社での研究経験を活かし、ラジオ用測定器やマイクの設計を再開。

1946年には最初のマイクロフォン「DM1」を開発、続く「DM2」で放送局からの信頼を得ました。

1950年代には、同社の研究所が指向性マイクと無線技術の統合に成功し、世界初のワイヤレスマイクシステム(1957年)をTelefunkenと共同開発します。
この時点でゼンハイザーはすでに「測定技術と芸術表現をつなぐ音響研究機関」としての地位を確立していました。

ゼンハイザーの歴史を語る上で外せないのが、数々の音響史に残る発明と製品群です。

  • MD421(1960)
    堅牢なダイナミックマイクとして登場し、ラジオ放送からロックドラム、ギターキャビネットまで世界中で使用。
    その設計思想は「音を誇張しない正確さ」であり、測定器メーカーらしい“ニュートラルな音の記録”を体現しました。
  • MD441(1966)
    ゼンハイザーの代表的プレミアム・ダイナミックマイク。
    内部構造にはリニアフェーズ制御技術が盛り込まれ、コンデンサーマイクに匹敵する精密な応答性を実現。
    ドイツ放送局では“エンジニアの理想形”と称されました。
  • MKHシリーズ(1958〜)
    独自のHF(高周波変調)方式コンデンサーマイクを採用。
    湿度や温度変化に強く、屋外録音や映画音響の世界で絶大な信頼を獲得しました。
    この「MKH60」「MKH416」は、現在でも映画業界標準マイクとして使われています。

🧠 技術文化 ― 測定器メーカーとしての哲学と科学的完璧主義

ゼンハイザーの企業文化は、創業以来の理念「The Pursuit of Perfect Sound(完璧な音の追求)」があります。

同社の研究所では、音響物理学・心理音響・電子工学が融合し、製品開発は常に学術的検証を伴います。

すべてのマイク・ヘッドフォンは個体ごとに測定され、リファレンス測定曲線と照合されるという徹底ぶり。

こうした科学的品質管理の精神は、DPAやSchoepsと共通しつつも、ゼンハイザーは「産業規模での学術的精度の量産化」という点で際立っています。

また、ノイマン社を子会社として傘下に収め(1991年)、マイク設計の学術と芸術を統合するグループ体制を築きました。

さらに2000年代には、ライブ・ステージや劇場のワイヤレスオーディオインフラを構築するなど、“見えないところで音文化を支える企業”として活動を拡大。

その結果、今日の放送局・映画スタジオ・ステージ現場の多くは、ゼンハイザー製品によって支えられています。

研究開発部門は今もハノーファー郊外にあり、音響測定技術を芸術表現へ転用する哲学は創業当時と変わりません。

ゼンハイザーは「エンジニアの科学」と「ミュージシャンの感性」の架け橋として、音響文化の根幹を支え続けています。

ゼンハイザーのおすすめマイク

AKG

AKG(アー・カー・ゲー)は、1947年にオーストリア・ウィーンで創業された音響メーカーです。
正式名称は “Akustische und Kino-Geräte Gesellschaft m.b.H.”(音響および映画機器有限会社)

その名の通り、創業当初は映画館向けの音響・拡声・測定機器を製造していた、理工系の測定技術企業でした。

創業者の ルドルフ・ゲルケ(Dr. Rudolf Görike)エルンスト・プレス(Ernst Pless) は、音響物理学と機械工学の専門家であり、芸術と科学を融合させる理念を掲げていました。

AKGの原点は、戦後の映画館音響システムの再構築にありました。
当時のウィーンでは再建中の映画館が多く、音響測定とスピーカー設計の需要が高まっていました。

AKGはその中で、精密測定器をベースにしたマイクとトランスデューサー開発を行い、その高精度が放送局・録音スタジオの目に留まります。

1950年代には、放送用コンデンサーマイク「C12」を発表。
TelefunkenがNeumannのU47を販売したのと同時期に、AKGは“ウィーン派の回答”としてC12を送り出します。

このマイクは、可変指向性を実現する革新的なCK12カプセルを搭載し、後に世界中の録音スタジオで愛用される伝説となりました。

AKGの歴史を語る上で欠かせないのが、以下の伝説的マイクたちです。

年代モデル特徴
1953年C12真空管マイクの名機。CK12カプセルによる広帯域・滑らかな高域。Telefunken ELA M 251の基礎にも。
1969年C414C12の後継として誕生したトランジスタマイク。可変指向性と高S/Nで放送・レコーディング両用。
1980年代C451B / C460小型コンデンサーマイクとして定番化。クラシック録音やピアノ、ドラムのオーバーヘッドに最適。
1990年代C4000B / SolidTubeトランジスタと真空管の両アプローチを継承。デジタル録音初期の時代にアナログ的温かさを提供。

特に C12とC414の系譜 は、今日に至るまで数え切れないほどの録音現場で使用されており、
AKGの音=ウィーンの響き」として、ヨーロッパ音響の象徴的存在となりました。

後述するオーストリアンオーディオはAKGのビンテージサウンドをそのまま再現した非常に興味深い企業であります。

放送・舞台・音楽制作への拡張

1960年代から70年代にかけて、AKGはマイクだけでなくヘッドフォンとワイヤレス技術にも参入します。

特に「Kシリーズ」ヘッドフォン(K240, K701など)は、録音・ミキシングの世界標準として知られ、
“AKG=プロフェッショナル・サウンド”というブランドイメージを確立しました。

また、放送局向けワイヤレスマイクやインイヤーモニターシステムを開発し、
ステージ音響とスタジオ音響を統合的に支える稀有なブランドへと成長していきます。

【組織の変遷】LEWITTとAustrian Audioへ

1994年、AKGはアメリカのHarman International Industries(後のSamsung傘下)に買収されます。
これにより、グローバル展開が加速しつつも、ウィーン本社での研究開発体制は縮小。

2017年、長年のウィーン本社工場が閉鎖され、ブランドは米国管理のもとに移行しました。

この出来事は多くの音響エンジニアにとって象徴的な喪失でした。
なぜならAKGは、単なるブランドではなく、「ウィーンの音響文化」そのものだったからです。
しかし、この閉鎖が後にLEWITTAustrian Audioといった新たな潮流を生むきっかけにもなりました。

LEWITT(ルイット)

2009年、元AKGのエンジニア Roman Perschon によって設立。
AKG時代の技術資産を再構築しつつ、現代的なエレクトロニクスと生産合理性を両立
LCT 940 / 640 TS / 540 SUBZERO など、測定精度の高さと音楽的表現を両立する製品群を展開。
LEWITTは、後述するAustrian Audioとは違い、全く新しいサウンドを模索しています。

LEWITTは筆者も540を愛用していますし、当スタジオの音響顧問:五島昭彦氏もPCM録音の際は、640を二本ステレオペアで愛用しています。

高い技術のおかげで、ペアマッチで購入する必要はなく、すべての個体でペアマッチするように作られています。

さて、LEWITTは筆者はすべてのモデルを使ったことがあります。
なので超詳しいです。
詳しくは、こちらの記事でも触れていますので参照してください。

【保存版】LEWITTっていいマイクですか? 大口径マイクシリーズの音質と選び方

ポイントは、LCT 240 PROは安物買の銭失いになるということ。
このモデルだけは避けるようにしてください。

一番AKGサウンドに近いのが、LCT 441 FLEXです。

LEWITTの凄さを思いっきり体験できるのは540から先のマイクになります。

LEWITT ( ルーイット ) / LCT 540 Sをサウンドハウスでチェック

540のステレオペアで録音する音は本当に素晴らしいですし、640の無指向性も、ただの無指向性ではなく、ちゃんと個性のある、無指向性サウンド、単なる多機能マイクではありません。

LEWITT ( ルーイット ) / LCT640 TSをサウンドハウスでチェック

真空管マイクもありますが、ここまで来ると他の選択肢が個人的にはいいかもしれません。

LEWITTはとにかく540の破壊力、640の完璧性、この二本が最もLEWITTの素晴らしさ、コスパの良さを感じられるモデルだと思います。

Austrian Audio(オーストリアン・オーディオ)

2017年、AKG本社閉鎖の際、元AKGの技術者22名が独立して設立。
拠点は再びウィーンに置かれ、C12やC414の設計思想を継ぐ新ブランドとして登場。
代表作「OC818」「OC18」は、オリジナルのCK12を再解釈した自社開発カプセルを搭載し、
クラシック音楽・放送・ポップスまで幅広い現場で高い評価を得ています。

これら二つのブランドは、いわばAKGが残した“ウィーン音響学派”の現代的継承者です。

実際LEWITTとは全く別方向のブランドで、AKGのサウンドをかなり忠実に再現できています。
OC

OC818はステレオのペアでジャズのビッグバンドを録音したことがありますが、商品説明にも「伝説的なCK12カプセルと同じクリティカル・ディメンションでデザイン」とあるように、ほぼ伝説時代のAKGのマイクそのものであると言えます。

もうジャズの録音専門だ!というエンジニアや、ジャズ屋さんはOC818を購入すればその後沼にはまることはないでしょう。

Austrian Audio ( オーストリアン・オーディオ ) / OC818 Dual Set Plusをサウンドハウスでチェック

KM184と同じくピアノ録音用に黒色モデルもあります!

Austrian Audio ( オーストリアン・オーディオ ) / OC818 Dual Set Plusをサウンドハウスでチェック

モノラル用に一本売りもされていますが、モノラルでナレーションやポッドキャストをする場合はこちらの単一指向性にフォーカスしたOC18を選択するか、個人的には、やはりLEWITTをおすすめしたいです。

OC18 Studio Setをサウンドハウスでチェック

AKGのおすすめマイク


AKGはもはや一企業の名前ではなく、**「音を科学し、音楽を芸術にする哲学」**そのものです。
C12の透明な高域、C414の精緻な立体感、CK12カプセルの有機的響き——
それらすべてが、音響という学問と芸術の理想的交差点を体現しています。

そしてその魂は、今日もウィーンの技術者たちによって静かに受け継がれています。
AKGとは、「音響の古典派」として永遠に語り継がれる存在なのです。


その他の高級ブランドまとめ

ブランド 創業 創業国 創業者 代表機種 特徴
Neumann1928年ドイツGeorg NeumannU47, U87, M49録音史を築いたスタジオ定番
Schoeps1948年ドイツDr. Karl SchoepsCMC6, MK4透明で自然な音像、クラシック録音の定番
DPA1992年デンマーク旧B&K音響部門4011, 4006測定器由来の高精度・高S/N
Telefunken1903年ドイツSiemens & AEG共同ELA M251, U47真空管と音楽的温度感の象徴
Sennheiser1945年ドイツFritz SennheiserMD421, MKH416測定精度と放送品質の融合
AKG1947年オーストリアR. Görike, E. PlessC12, C414ウィーン音響学派の象徴
RCA1919年アメリカDavid Sarnoff44, 77DX米国放送の音、リボンマイクの原点
AEA1976年アメリカWes DooleyR44CE, R84RCA伝統を現代に継承
Coles1964年イギリスBBC派生4038BBCリボンサウンドの代名詞
Beyerdynamic1924年ドイツEugen BeyerM160, M130堅牢で立体的なリボンサウンド
B&K1942年デンマークBrüel & Kjær4007, 4133音響測定の世界標準
Brauner1995年ドイツDirk BraunerVM1, VMA真空管の温かみと精密さ
Manley1988年アメリカEveAnna ManleyRef C, Gold Ref真空管の艶と音楽的厚み
Josephson1988年アメリカDavid JosephsonC716, C700S科学的精度と芸術的音像
LEWITT2009年オーストリアRoman PerschonLCT 940, 540AKG哲学の現代継承
Austrian Audio2017年オーストリア元AKG技術者22名OC818, OC18CK12系統の再設計と革新
Countryman1970年代アメリカCarl CountrymanIsomax, B3舞台・放送用小型高性能マイク

まとめ

本物のプロが選ぶ最高級マイクは、一般的なマイクとは桁違いの価格となりますが、品質も桁違いのクオリティーを提供してくれます。

これらのマイクは数十万円からスタート、という価格帯に位置しますが、その音質と耐久性は投資に見合う価値があります。

自分の用途や音の好みに合わせて、これらのブランドの中から理想の一本を選んでみてください。

最高級マイクとは、一般的なマイクよりも高い解像度と信頼性を持ち、プロが求める音質を実現するハイエンドモデルのことを指します。

もっとも大切なことは、そのマイクに見合った最高のマイクアンプを選ぶということ。

何度も言って申し訳ないですが、やはりいくらフェラーリを買っても、軽自動車のエンジンではフェラーリの機能では走れません。

接続方式(XLRとUSB)

マイクの接続方式には大きく分けてUSBとXLRがあり、それぞれ用途が異なります。USBマイクはパソコンやタブレットに直接接続できる手軽さが魅力ですが、音楽制作にはあまり向きません。プロの現場で使われる最高級マイクの多くはXLR端子を採用しており、オーディオインターフェイスやミキサーを介して高品質な信号伝送ができます。

マイクの種類(ダイナミックとコンデンサー)

最高級マイクにはダイナミックマイクとコンデンサーマイクがあります。ダイナミックマイクは頑丈で湿度や衝撃に強い一方、音の解像度は一般的です。コンデンサーマイクは感度が高く広い周波数帯域を収録できるため、繊細な表現が得意ですが、ファンタム電源が必要で環境変化に弱い側面があります。高級モデルではハンドリングノイズやハウリングを抑えるチューニングが施され、ライブやスタジオ収録の両方で使用できるものも多くあります。

指向性と周波数特性

マイクが音を拾う方向性を示すのが指向性です。単一指向性(カーディオイド)は正面の音を中心に収音するため、余計な環境音を抑えられます。最高級モデルではスーパーカーディオイドやハイパーカーディオイドなど、より狭い範囲を狙って収音するものもあります。また、周波数特性はマイクがどの音域をどの程度再現できるかを示す指標です。フラットな特性を持つマイクは原音に忠実な録音ができ、ボーカルや楽器のニュアンスを正確に再現することができます。

った接続方式やマイクの種類を理解し、信頼できるブランドの中から選ぶことが成功への近道です。本記事を参考に、あなたにぴったりの最高級マイクを見つけ、より豊かな音の世界を楽しんでください。