これなら分かる!Log撮影とはなにか?!絵画で理解
Log撮影って何?
いいカメラについてる機能だけど、なんかめっちゃ薄いじゃん。
本当に高画質なの?
という初心者のお悩みはこの記事で終わりです。
広いダイナミックレンジが〇〇〜
色域が・・・〇〇〜
説明されてもその説明がわからない・・・
って方もこの記事を読むだけでスッキリ理解できます。
むつかしい専門用語は抜きにして右脳的に理解していきましょう。
今回は筆者が絵の勉強をしていた頃を思い出しながら、デッサンや絵画を制作するときを想定してお届けしていきます!
デジタル世界で解説されるからわかりにくい・・・脳内アナログ解説なので実際の様子をイメージしながら進めてください。
実際にデッサンしてみてもいいですね!
デッサンをしてみよう
さて、写真(映像)とはデッサンの延長です。
昔は肖像画といえば、画家を雇って書いてもらうしかなかったのが1800年代終わりには写真機で自動描写できるようになりました。
機械化、自動化で職を追われる典型例ですね!
デッサンの手順
デッサンの手順をシンプルにみていきます。
- 光源を決める(探す)
- ハイライトを定める
- コントラストの濃度を選別する
- クロスハッチングでドット数を決める
というわけです。
最初の光源を決めるとはライティングのことですが、達人になってくると脳内ですべて完結するため、絵の上手い人というのは、現物がそこになくてもデッサンができます。
つまり、それだけ論理的構造の積み重ねであり、そこに感性とか、センスとかは関係ないわけです。
手順とやり方を覚えれば誰でもデッサンはできるようになります。
次に対象物のハイライトを決めます。
さて、こちらはAdobeで購入したロイヤリティーフリー素材ですが、いかがでしょうか?
光源がどこにありますか?
どれくらいの強さの光でしょうか?
ハイライト、つまり一番明るい面はそれぞれどの面ですか?
このデッサンからこの部屋の様子をイメージしていきましょう。
では、それぞれ最も暗い部分はどこでしょうか?
二十面体なんてのはほぼ黒。
デッサンでも最も濃い部分というのは一番濃い鉛筆で塗りつぶすように進めていきます。(正確には潰したらだめですよ)
これをLog撮影すると
ここからが重要。
さて、これは性能があまりよくないカメラ、Log撮影ができない映像機で撮影すると、最も濃い部分は真っ暗でなにも見えなくなります。
これをLog撮影すると、ハイライトが白飛びせずに影の部分まで鮮明に記録できるわけです。
だからLog撮影はプロが表現するために使う技術というニュアンスが定着しました。
音響の世界も同じでローカットができる機材はありますが、私たちは絶対に機材のローカットは使いません。
同じようにSpotifyがMP3にしか対応していなくても録音は基本192khzで収録します。
ここまでで初心者の方のLog撮影のイメージ『なんだか薄い』という意味がわかるでしょうか。
決して薄いわけではなくて、影の部分まで鮮明に記録されているのでそう感じるというわけなんです。
では、次に色の部分についてみていきましょう。
俗に言われる色域という部分。
絵画作品で色を解説
さて、色ってなに?
を解説するのは、音ってなに?
と同じでこの記事一個で解説するのは不可能ですし、そもそもちゃんと解説できる人がいるのかも謎です。
なので、ざっくり右脳で理解していきましょう。
油絵を書くことにしましょう。(適当に)
あなたに与えられた絵の具は5色と机に画用紙、一個のアルコールランプに油彩筆は一個。
というのと、あなたに与えられた絵の具は50色、本格的なイーゼルとキャンパスに加えて油彩筆は10種類、最高のライト完備というのとではどちらが表現の幅は広がるでしょうか?
正確に色域の解説としてはふさわしくないので、ちゃんと勉強したい方は専門的な記事や解説を読んでくださいね。
ちなみにWikipediaの色域の解説をリンクしておきます。
色の情報もよりたくさん収録できるため自分の好きな世界観にカラーグレーディングができるというわけです。
カラーグレーディングはガラケーで撮ったムービーだってできるんです。
しかし(かなり極端にいえば)その幅は暖色系か寒色系かの二種類くらいのものでしょう。
Log撮影することで、この大量の絵の具が与えられたパレットを与えられているようなものです。
ちなみに油絵系の画家さんは、パレットが変わると大変です!
もう2度と出せない色がそこに残っていたり、『あの色と調合しよう・・・』と隅の方に置いておいたりしているわけです。
それほど色表現というのは膨大な組み合わせの上に成り立っており、幅が増えれば増えるほどカラーグレーディングで個性を出していけます。
絵画鑑賞でカラーグレーディングを解説
是非美術館に絵の鑑賞をしにいきましょう。
歴史的な芸術作品は見る角度、光源からの反射光で色が変わったり、見え方が変わったりしていきます。
筆者の絵の先生は二人いましたが、一人の先生はアトリエでこんな指導をしてくださいました。
先生『おー、お前ちょっとここに寝てみろ。』
私『はい。』
先生『お前この天井何色に見える?』
私『白です。』
先生『おー、そうか、じゃあ色が変わるまでみとけ』
私『はい。』
9時間後・・・
私『先生、ずっと白です。』
先生『そうか、じゃあ明日も色が変わるまでずっとみてろ』
翌日・・・
私『先生、赤っぽくなりました』
先生『嘘つけ、みてろ』
というやりとりは当時中学生でしたが、のちに写真を勉強するようになって理解できました。
もう一人の先生からはデッサンの基礎や、構図の取り方まで美大受験のための勉強をがっつり教えてもらいました。
ちなみに筆者が進学したのは音大です。
そんな水田耕平氏は筆者のファーストアルバム『noumenon(ヌーメノン)』のジャケット絵を提供してくださった方。
まさに天才的な絵です。
つまり、カラーグレーディングは本来そんな適当なモニターでできるものではなく、部屋のライトやモニター環境に大きく左右されますし、そもそもちゃんとモニターを揃えないとできません。
私たち音響エンジニアがMacbookの内蔵スピーカーでマスタリングするわけないのと同じ。
できないし、不可能なのです。
まとめ
- Logは薄いんじゃなくて、全部ちゃんと写ってる!
- 色域は三次元なので、撮影中には色が薄くてもちゃんと残ってる!
- まだわかんないという方もLogで撮れるなら撮っておく!
初心者の方にとってみたら、Logじゃない方が綺麗に見える場合もあります。
それは色域を二次元に落とし込んで表示させているからであり、Log撮影の方が持っている情報量は圧倒的に多いです。
Logで撮影しておけばあとは編集を覚えるだけ。
わからなくてもとりあえずLog撮影で残しておきましょう。