映像の基礎知識

Sony α6400 でのシネマティック動画撮影の設定方法

簡易紹介:こうたろう

1986年生まれ
音大卒業後日本、スウェーデン、ドイツにて音楽活動
その後金田式DC録音のスタジオに弟子入り
プログラミング(C)を株式会社ジオセンスのCEO小林一英氏よりを学ぶ
現在はヒーリングサウンド専門のピアニスト、またスタジオでは音響エンジニア、フォトグラファーなどマルチメディアクリエーターとして活動中
当記事ではプログラマー、音響エンジニアとして知識とスキルをシェアしていきます

APSサイズのミラーレスカメラとしてα6400は最高の選択肢の一つです。

当スタジオでもアルゼンチンの取材担当が現地で使っています。

その他ドキュメンタリー映像の制作のための素材撮りなどでメインカメラ顔負けの活躍をしてくれています。

今回はα6400のシネマティック撮影で使っている設定、実際にアルゼンチンのチームに指示している設定項目を公開し、みなさんの参考にしていただければと思います。

ピクチャープロファイル

α6400のピクチャープロファイルは初期設定だと次のようになっているかと思います。

  • PP1:Movie
  • PP2:Still
  • PP3:ITU709
  • PP4:ITU709
  • PP5:Cine1
  • PP6:Cine2
  • PP7:S-Log2
  • PP8:S-Log3
  • PP9:S-Log3
  • PP10:HDR1/2/3

この中でもほぼ使わないのがPP7まで、S-Log2までですね。

基本的に使うのはPP8以降の設定になります。

ポイントS-Log3があるのにわざわざS-Log2を選ぶ理由はないという理解でOKです!

HLG(Hybrid Log Gamma)

S-Log3の場合は普段撮影慣れしていなかったり、取材スタッフがさっと撮影するにはある程度のカラグレの知識や、編集を想定しないと難しい場面があるため、今回の設定例ではPP10のHLGを使用します。

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HLGとは、イギリスのBBCと日本のNHKが放送用に開発した規格です。

PP10の細かい設定

PP10の中でも内部処理させるための詳細設定があります。

これはもちろん状況などによって様々変えていけばいいですが、当スタジオでアルゼンチンスタッフに指示している内容をメモしておきます。

  • ブラックレベル:+1
  • ガンマ:HLG3
  • ブラックガンマ:中 0
  • ニー:マニュアル 100%(スロープ+5)
  • カラーモード:709
  • 彩度:-2
  • 色合い:0
  • 色の深さ:0
  • ディティール:-3

シャッタースピードは1/60

ホワイトバランスは5500K

ポイント

SMPTE 196M規格は、フィルム投影の色温度として5400Kで指定しています。
デジタル時代にはあまり関係ないですが、伝統的な一つの基準値としてこの5400Kを覚えておきましょう。

もちろん4K / 30P

ポイント

F6やサウンドデバイスなどフレームレートを設定できる録音機材の場合は29.97Dに合わせてください。
(カメラ設定に対して適切に同期する)

ただしレコーダーとカメラの音を同期させるためにコンバーターを通さずにアナログでカメラ側に記録するのはやめてください。

それはカメラのADCであって、どんなに高級なマイクロフォンを使ってもそのマイクの性能を引き出すことはできません。

他はISOと絞りで調整するように指示しています。

ポイントこのように設定しておけば、撮影者が動画編集やカラグレの知識がほぼゼロでも絞りとISOで明るさや見え方が変わると教えておけばFIXでの素材収集はばっちりですね!
そのためカラーモードも709にしてあります。

HLG3

HLG3はノイズレベルが高い反面、HLGの中では最もダイナミックレンジが広く撮れます。

ダイナミックレンジとはこちらの記事のデッサンでの比喩のように、影の部分もしっかり撮る能力という例えで差し支えないでしょう。

S-Gamut3.Cine

ただし、FX30と合わせたい場合や、意図がある場合は遠隔でもPP8でS-Gamut3.Cineを設定してもらうこともあります。

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こうたろう

音大を卒業後ピアニストとして活動。 日本で活動後北欧スウェーデンへ。 アーティストLindha Kallerdahlと声帯とピアノによる即興哲学を研究。 その後ドイツ・ケルンに渡りAchim Tangと共にアルバム作品制作。 帰国後、金田式DC録音の第一人者:五島昭彦氏のスタジオ「タイムマシンレコード」にアシスタントとして弟子入り。 独立後音楽レーベル「芸術工房Pinocoa(現:Kotaro Studio)」を結成。 タンゴやクラシックなどアコースティック音楽作品を多数プロデュース。 大阪ベンチャー研究会にて『芸術家皆起業論~変化する社会の中、芸術家で在り続けるために』を講演。 その後、秋山庄太郎氏後継の写真スタジオ「村上アーカイブス」でサウンドデザイナー兼音響担当として映像制作チームに参加。 村上宏治氏の元で本格的に写真、映像技術を学ぶ。 祖父母の在宅介護をきっかけにプログラムの世界に興味を持ち、株式会社 ジオセンスの代表取締役社長:小林一英氏よりプログラムを学ぶ。 現在はKotaro Studioにて『あなたのためのアートスタジオ』音と絵をテーマに芸術家として活動中。 2023年より誰かのための癒しの場所『Curanz Sounds』をプロデュース。