金田式DCマイクから感じる録音哲学

こんにちは。
音楽家のこうたろうです。
というはじまりではじまるブログをnoteの方で投稿しておりますが、本日は音楽・音響に関する話題に特化しているのでこちらに投稿します。
本日のテーマはずばり金田式DCマイクについて。
現在当スタジオの音響顧問であり、師匠でもある五島昭彦氏のサポートにより、金田式DCDSD録音をはじめたことをきっかけとして、システムについてこちらの書籍で学ばせていただいております。
五島昭彦氏の音源や、金田式DC録音の音源についてはこちらのページを参照してください。
金田式DC録音を体験する 五島昭彦作品集この記事では、当スタジオの録音に関する考え方について今一度みなさんとシェアするとともに、オーディオについてみなさんと考えていきたいと思います。
入り口と出口
筆者はカメラマニアでもあるわけです。
20代の頃は、実はピアニストの仕事よりもカメラマンの仕事の方が多かった時期があるほど。。。
そんな視点、つまり写真、映像、オーディオという人間の五感を司るマルチメディアを多角的に考察することができるわけですが、これらマルチメディアに共通して重要な点というのが、入り口と出口となるわけです。
非常に面白いのが、多くのカメラマニアというのは、入り口だけにフォーカスしている。
そしてオーディオマニアの人は出口にフォーカスしている。
ということ。
つまり、カメラマニアの人は、何十万、時には数百万もするようなレンズを平気で購入し、撮影に使うのに、出口の部分、どんな紙にプリントするのか?使うインクは?色の出方はあっているか?
紙とインクの組み合わせ、加えて反射角次第では実際に印刷したときに出てくる色は全く違っているはずです。
昨今だとそもそも印刷はしない、デジタル現像だけぱぱっとやって色が定義できていないよくわからないモニターで鑑賞するだけという人もいるでしょう。
しかし、オーディオになってくると、これまた何十万、何百万もするアンプにスピーカー、時には自宅にオーディオ専用の電柱を建てたりする方がいる一方で、録音は一切やりません、マイクロフォン?どれがいいのかわからないという方も多いのではないでしょうか?
やはり、カメラもオーディオも入り口と出口はセットで考えなければいけないと考えるわけです。
書籍『電流伝送方式オーディオDCアンプシステム パワーアンプ&DC録音編: 音楽ファンのための自作オーディオ』にも金田式DCマイクのカテゴリーや、電流伝送ADコンバーターのカテゴリーでもやはり録音と再生はセットで考える金田式の哲学がメッセージとして伝わってきます。
ポジティブかネガティブか
ここもやはり録音アーティストによって考え方は様々であるわけです。
音に対してポジティブな視点で見るか?ネガティブな視点で見るか?
みなさんはどちらでしょう?
これは、結構ライブ版は好きか嫌いか?によって見えてくるかもしれません。
ここをもう少しマクロに拡大していくと、音を通してストーリー、シークエンスを見ているかどうか?というところに繋がってくるわけです。
昔どのレコードか忘れてしまいましたが、有名なリヒテルというピアニストのライブ版録音がありました。
そのライブ版では、前方に座っているお客さんの体調が悪かったのでしょう、咳が止まらず、とにかく止まらず、リヒテルの間、そして美しいピアニッシモをそのお客さんの咳で打ち消すという状況がコンサートを通して録音されていました。
これをネガティブと捉える人もいるでしょう。
しかし、筆者は最高にストーリーを感じるわけです。
シンプルな2点撮りの録音で会場の空気感やシークエンスがしっかり録音されていて、そのお客さんの感情の奥の奥まで感じることができ、結果リヒテルのメンタリティーまで細かく感じることができて、まるで会場にタイムスリップしているかのような感覚でした。
例えば録音現場においても、奏者の椅子の音がノイズとして気になるから絨毯を敷きましょう・・・だったり、究極に音にネガティブな思考を持ってしまうと、例えばノイズを一切入れないために最悪の場合録音ブースに演奏家を閉じ込めてしまうこともあるでしょう。
お互い顔も呼吸も波動も見えない、感じない環境で音楽をやるわけです。
それはもう音楽とはいえず、ただのプログラミングです。
少なくとも当スタジオの録音に対する考え方は超ポジティブです。
さきほど録音アーティストという言葉を使いましたが、これも金田流語録であり、DCマイクの解説で使われているわけです。
よい録音、感動的な録音を録る最も大事なことを伝授しよう
それはただ一つ、録音する人がその音楽に心から共鳴していることだ
録る人が感動しなくて、どうして人を感動させる録音が録れるだろう
だれにでもわかる簡単な原理ではないか
写真家が見る人を感動させる写真を撮る場合でも、同じことが言える
この意味で録音エンジニアという言葉は音楽録音に関しては適切ではない
録音アーティストと呼ぶのが適切だろう
引用:電流伝送方式オーディオDCアンプシステム パワーアンプ&DC録音編: 音楽ファンのための自作オーディオ
録音とは振動である
音は振動であり、振動であるということはこの世界の構成そのものであるとも言えるわけです。
それは金田先生のおっしゃる録音アーティストが心から共鳴する録音というのに通じてくるわけです。
録音アーティストが目の前の音、音楽というアートに対してポジティブにストーリーとシークエンスを捉えるか?あるいはネガティブに、特に定義をすることなくストーリーを語る上で至上のスパイスとなる要素をノイズとして排除していくか?の違いにあるわけです。
マイクロフォンという振動を通して共鳴し、心と魂を震わせる・・・
過程があっての再生であると思います。
故に当スタジオの読者の方々にもお伝えしたいことが、市販されている音楽CDやレコードに関しても録音アーティストがどんな思考、哲学で録音しているのか?ということを常に考えながら再生を考察してもらいたいということ。
それは映画作品においても言えることです。
例えばソビエトを完全再現した作品として世界に衝撃を与えた「DAU. ナターシャ」という作品は全編を通して無指向性マイクのAB方式のみで構成されており(推察です)まさに完全再現されていて、視聴者をソビエトのその時代へとタイムスリップさせてくれます。
おそらくDAU. ナターシャの録音アーティストは音に対して超ポジティブなのでしょう。
DAU. ナターシャは2025年2月時点ではAmazonのプライムビデオにラインナップされているのでプライム会員の方は是非チェックしてみてほしい。
他にも関心領域という映画があります。
こちらも録音アーティストが独自の哲学を持って録音した映画作品になります。
音楽だけでなく映画という視点においても、録音、音響を楽しんでみると世界が広がり、作品によってはこの物理次元的な没入感という枠を超えた別次元の没入感を体験できるアートに出会うことができるでしょう。
カメラもオーディオも映画とともに進歩してきたわけです。
超解説!オープンリールレコーダー入門~名ブランドから名機、個人輸入まで徹底解説金田式DCマイク
これはまさに先ほど申し上げたストーリーやシークエンスが、そのままの形で録音することができます、ただし録音アーティストが意図的に排除しなければ・・・の話。
とりあえずは聴き慣れた家族の声などを録音してみよう
再生音を聴いて、腰を抜かさぬように気をつけてほしい
家族の声があまりにもリアルなだけでなく
部屋の空間そのものを丸ごとそっくり録音しているからだ
部屋はもちろん、部屋の外、屋外の音まで克明に記録している
世の中にはこれほど音が溢れているのかと呆れるばかりだ
中略
音楽録音では録音レベルが特に大事だ
演奏者からの距離とか、方向とか、部屋の音響特性とか、DC録音にとってはあまり関係ないことだ
どんな悪条件でも必ずよく録れる
録音レベルには録音者の性格が現れる
控えめな性格の人の録音は、録音レベルを控えめに設定し、活気の足りない控えめの演奏に録られてしまう
録音レベルの設定のコツは、演奏者の人数や曲に関係なく、フルスケールいっぱいまで活用することだ
曲のffでフルスケールをオーバーしても別に歪むわけではない
むしろフルスケールをオーバーするくらいで、エネルギッシュで情熱的な演奏に録れる
引用:電流伝送方式オーディオDCアンプシステム パワーアンプ&DC録音編: 音楽ファンのための自作オーディオ
この記事でいくつか金田先生の言葉を引用させていただきましたが、やはりこういう思考、哲学を持ったアーティストだからこそ、人の感情まで録音できる録音システムを生み出すことができるのであります。
このような録音哲学に共感してくださる方は是非当スタジオの録音サービスを利用してみてください。
録音を依頼したいまた、金田式DCマイクの紹介で使用された無指向性のAB方式のマイクロフォンも当スタジオオリジナル制作で販売しております。
音楽家朝比奈幸太郎が一つ一つ丁寧に半田付けしております。
オリジナルマイクロフォン