【クラシックギター録音方法の正解】プロが教える、空気ごと切り取る『無指向性AB方式』完全ガイド
この記事の目次
アコギを録音してみたけど、なんか音がこもる……」
「プロのCDのような、包み込まれるような広がりが出ない」
もしあなたがそう悩んでいるなら、それは「マイクの選び方」と「立て方」が間違っている可能性が高いです。
多くの入門サイトでは「単一指向性マイクでサウンドホールを避けろ」と教えます。
しかし、私はあえて言います。その方法は忘れてください。
今回は、ギターの胴鳴り、弦の煌めき、そして部屋の空気感までを「ありのまま」に記録する、プロの秘伝「無指向性ABステレオ録音」にてギターを録音する最高の方法について解説します。
難しいEQやコンプはいりません。
マイクを変えて、ポンと置くだけ。
それだけで、あなたのギター音源は「記録」から「作品」に変わります。
なぜギター録音が失敗するのか?

まず、多くの市販品マイクのテストに使われる代表楽器というのが、ギターです。
新しいマイクが出たらまずはギターでテストする。
これは、ギターの録音が他の楽器に比べて比較的簡単であることと、周波数特性をコントロールしやすいからです。
なので、ギタリストはセルフレコーディングを当たり前にできるようになってほしい。
だって、かなり簡単なんですよ。
さて、そんな簡単というギター録音ですが、初心者が最初にやってしまう大きな失敗、それが、「単一指向性(カーディオイド)」を一本購入し、モノラル録音してしまうということ。
どの楽器収録のコースでも申し上げていますが、音楽は必ずステレオで録音してください。
どんな場合も、どんな環境でも必ずステレオ、マイクは最低2本で録音するようにしましょう。
失敗理由①:近接効果(Proximity Effect)の罠
また、単一指向性マイクを単体で使用した場合は、音源に近づけると低音が勝手に増幅される「近接効果」という物理現象が起きます。
ギターに近づけると「ボワボワ」した締まりのない低音が録れてしまい、後でEQで削る羽目になります。
これでは素材が台無しです。
失敗理由②:「点」でしか録れない
ギターは、サウンドホール、ボディ、ネック、弦全体が共鳴して鳴っている楽器です。
単一指向性は基本的には「点」を狙うマイクなので、例えば12フレットを狙えば「弦の音」ばかりで「胴鳴り」が足りず、ボディを狙えば「こもる」というジレンマに陥ります。
先述した近接効果と点で狙うやり方を続けていると、2000年代初頭の古いサンプリング音源のような、つまりMIDIでいいんじゃな?的な録音になってしまうでしょう。
「無指向性(オムニ)」が最強である理由
筆者は無指向性使いの録音アーティストであるということもありますが、やはりギターにおいても「無指向性(Omni-directional)」マイクは最高です。
ボディの響き、そして、指の質感、全体からなる空間音響、すべてが調和された最高のポイントが必ずあります。
まるで宝探しをするかのように、見つけてみてください。
これが正解。誰でもできる「AB方式」マイキング完全ガイド
では、どうやって録るか?
答えはシンプルです。
マイクを2本用意し、「AB方式(ステレオ)」で立てるだけです。
【セッティングの黄金比】
- マイクの間隔: 40cm 〜 50cm くらい離す(人間の肩幅くらい)。
- ギターとの距離: 30cm 〜 50cm くらい離す。
- 高さ: サウンドホールと同じか、少し高いくらい。
チェロの録音でもそうですが、f字ホールの下から狙うのは、かなりリスキーなマイキングになりますので注意!
【イメージ】
あなたの目の前に「透明人間」が立って、ギターを聴いていると想像してください。
その透明人間の「右耳」と「左耳」の位置にマイクを置くのです。
これだけで、左のマイクはネック側の繊細さを、右のマイクはボディ側のふくよかさを捉え、再生した瞬間に「目の前で弾いているような立体感」が生まれます。
無指向性マイクなら、多少位置がズレても音色は破綻しません。
実は初心者ほど扱いやすいのです。
ギター録音に最適なマイク選定
無指向性マイクを軸に紹介すると、DPA2006や4006を検討してください。
DPA ( ディーピーエー ) / ST4006A ステレオペアをサウンドハウスでチェック2006は4006のライト版?という印象を持ってしまうこともありますが、実は両者は明確に音のキャラクターの違いを感じることができます。
ギターには、2006がいいでしょう。
他の楽器も収録予定がある方は4006が正解です。
ただし、2006にしても少し予算が嵩みます。
無指向性の場合は、当スタジオのクラフトマイクが最高です。
音質は同等かそれ以上、価格は20分の1という奇跡のようなマイクロフォンです。
ぜひ一度試してみてください。
その音に、
まだ見ぬ「静寂」と「熱」を。
記事で紹介している音をよりグレードアップするために
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あなたの録音を、ワンランク上の世界へ。
指向性の選択肢は?
もちろん指向性の選択肢も検討してください。
当スタジオでは指向性のラインナップはないので、市販品を紹介する形になります。
指向性の場合は、オランダ方式または、XY方式を採用するのがいいでしょう。
ただし、XY方式は実はマイクセッティングが難しく、初心者は失敗しやすいので、まずはオランダ方式から実験していくことをお勧めします。
指向性の場合は、ノイマンのKM184が最高。

また、184の代わりとして、AT4050もおすすめです。
国産の指向性マイクならAT4050でしょう。
ルイットも忘れてはいけません。
個人的には21世紀最高のマイクロフォンメーカーだと思っています。
ルイットの場合は、540を選択してください。
もっと安いモデルがありますが、ルイットは540からその真価を発揮します。
実践ステップ:X-86Sと指向性のマルチマイク
ここから実践ステップといきましょう。
実際に、当スタジオの無指向性マイクのステレオペア録音だけでクラシックギターソロの収録は完結します。
これ以上を特に求める必要はないというほど、素晴らしい音で録音できるので、まずは試してみてください。
当スタジオの無指向性マイクは、P-86S(プラグインパワー)だとプラグインパワー対応レコーダーであれば、一本刺すだけで完成します。
32bit対応フィールド録音におすすめのプラグインパワー対応レコーダー8選X-86S(ミニXLR版)であれば、専用のアダプターをつければ通常のXLRマイクとして利用可能。
ここからはXLRマイクを前提としたマルチマイク収録をイメージしていきましょう。
この先は、音表現の領域になります。
個人的にギターの録音をマルチマイクでするとすれば、当スタジオのX-86Sをメインマイクとして、ルイットの540を補助マイクとして要素を録音していくと思います。
実は無指向性マイクはオフマイクで使うものだという先入観を持っている方も多いのですが、オンマイク気味に使う効果も一定数あるわけです。
なので、X-86Sをオンマイクで、540をオフマイクで補助というのが一つ。
もう一つが、540を指板を狙うマイクとして補助するのが一つ。
これらを上手にミックスすることでさらなる音表現が可能になっていくでしょう。
マルチマイクレコーディング
マルチマイクは、フィールドレコーダーなら、F4やF8などで可能ですし、オーディオインターフェイスとPCを使っても可能。
PCをベースにする場合は、Windowsの方は、バンドラボとAudacityでばっちりです。
最小限の設備投資で最高の結果を生み出してください。
チェンバロとギターに共通する攻め方
最後に、チェンバロにも言えることですが、ギターの録音というのは、マックスが決まってきます。
もちろん途中でボディを叩くような奏法をする場合などは事前に打ち合わせが必要にはなりますが、基本的にゲインはかなり攻めて録音するようにしてください。
このゲインの攻めに関しては、実は録音エンジニアの性格が最もでやすいところでもあります。
保険をかけて攻めすぎないタイプ、割れ、歪みかかってこいなイケイケタイプ。
筆者は割と後者が好きですし、そういう攻めた姿勢で録音された音楽には躍動感もあり、なによりパワフルで聞き返しても感動します。
特にチェンバロとギターは攻めやすいので、ガンガン攻めていきましょう。
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