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この記事だけでOK!ハッセルブラッドの使い方や注意点などざっくりまとめ

この記事についてハッセルブラッドの儀式とも言われる所作。
ハッセルブラッドのカメラはいきなりカメラを渡されてはいパシャリ!というわけにはいきません。
使い方を間違えるとカメラを入院させることに・・・なんてことにならないように使い方や注意点などをまとめていきます!
ポイント

この記事を見るだけでざっくりポイントを抑えることができるので、これからハッセルブラッドを手にする方もすでに手にした方もハッセルブラッドの所作をチェックしていきましょう。

簡易紹介:こうたろう

1986年生まれ
音大卒業後日本、スウェーデン、ドイツにて音楽活動
その後金田式DC録音のスタジオに弟子入り
プログラミング(C)を株式会社ジオセンスのCEO小林一英氏よりを学ぶ
現在はヒーリングサウンド専門のピアニスト、またスタジオでは音響エンジニア、フォトグラファーなどマルチメディアクリエーターとして活動中
当記事ではプログラマー、音響エンジニアとして知識とスキルをシェアしていきます

全体のルール

撮影の前に必ず抑えておく必要のあるルールをチェックしていきましょう。

全体の様子を動画にまとめていますので、動画の分数に沿って解説していきます!

0:14 レンズの取り外しと取り付け

重要な項目から順に見ていきます。

レンズの取り付けと取り外しは超重要。

これ間違えると最悪入院です。

レンズの取り外しは必ずシャッターをチャージした状態で行うようにしてください。

ハッセルブラッドの500シリーズのボディにはレンズシャッターをチャージするための金具がマウント部についており、基本的にこの部分がレンズ側と一致しないと取り外しや取り付けができない仕組みになっています。

Voigtlander MACRO APO-LANTHAR 65mm F2 Aspherical

しっかりチャージした状態で適切に取り外されたレンズはこのように赤い点と溝が並行になっています。

逆に取り付けの際も必ずシャッターをチャージした状態で取り付けするようにしましょう。

ボディマウント側はこんな感じ。

こんな感じでボディ側もチャージされた状態の時にはここが赤い点と並行になっているのがわかります。

この赤い部分を目印にしてボディとレンズそれぞれ並行になっているか必ず確認してください。

ちなみにシャッターチャージしていない場合のボディはこんな感じで斜めになっています。

赤い点と並行になっていませんよね。

この状態だとレンズの装着は無理なので、無理に取り付けようとするとここのパーツが曲がってしまったり、壊れてしまったり、噛んでしまったりすると最悪の場合入院ということになってしまう可能性がありますので注意してください。

レンズのチャージも確認

中古でレンズを購入した際はもちろん、ご自身のレンズの装着時も必ずレンズ側シャッターのチャージが完了しているかどうか確認してから装着するのが安心です。

もしチャージされていない場合は、10円玉でレンズ側のシャッターをチャージして、ボディ側もチャージした状態で取り付けましょう。

注意

特にレンズ取り付けの際はボディ側のチャージを忘れてしまうことが多いので要チェックです!

0:24 マガジンの取り外し

マガジンの取り外しにはこの銀色の蓋が必須になります。

この蓋をはめないと取り外しができない構造になっています。

ポイント間違えて外してしまって露光してしまわないような工夫だと言えますね。
こういった人的ミスやトラブルが起こりにくい構造になっている点も失敗が許されない宇宙カメラとして採用されたポイントなのでしょう。

0:37 ボディだけの状態

さて、レンズとマガジンが取り外されてボディだけの状態になったらあとはルールはありません。

ファインダーなどは引くだけ。(マガジンの取り付けでロックされます)

アキュートマットの爪も中に押し込むだけで簡単に取り外せます。

フィルムの取り付け取り外し

ブローニーフィルムを装填していきます。

1:38 フィルムを入れる

銀色の蓋は全部取り外す必要はありません。

ちょっとだけ引いて中身を取り出しましょう。

上部にネジがついている部分にスプールを入れ替えて新しいフィルムを今までスプールが入っていた場所に挿入します。

ポイント初めてハッセルブラッドやブローニーカメラを使う場合はこのフィルムの向きに気をつけてくださいね。
黒い方が露光する部分ですので黒い方が見えていなければいけません。

で、反対側まで持ってきましてスプールにかませるのですが、この動画のように入れようとすると入れにくいというシーンを撮ろうと思っていましたが、ちょっと収録のミスで入れにくい方のみ採用しています。

つまり、動画のようにピチピチの状態でスプールに噛ませるのではなくてある程度フィルムを引っ張ってから噛ませて巻いた方がスムーズに装填できます。

これは他のブローニーカメラでも同じかというとそうではなく、ピチピチの状態で巻いた方がスムーズなカメラもあります。
ハッセルブラッドのマガジンではフィルム結構引っ張った方が入れやすいということです。

無事に噛ませたら巻いていきます。

ブローニーフィルムのスタートラインを矢印に合わせたらセット完了。(2:39)

コツあまり神経質になる必要はありません。
どうせ撮影に使う部分はもうちょっと先だ〜くらいの余裕を持って装填していきましょう。

装着したら自動で止まるまでレバーを回してセットすればOKです。(3:08)

この時、引き蓋を外してしまうとマガジンをセットできませんので注意。

マガジンがボディに装着されていない状態の時は常に引き蓋はかぶさっています。

というよりも、撮影するその瞬間まで蓋はセットされているものだと考えてOKです。

3:25 フィルムの取り出し方

12枚全部撮影できたら取り外します。

メモちなみに動画で使っているマガジンはA12マガジンといって66のブローニーサイズですが、A16マガジンを使えば、645サイズとなり、16枚撮影可能です。
645の16枚ブローニーは小西六Pearlやペンタックス645などが有名。

A16マガジンだと縦位置の撮影も可能になりますが、ハッセルブラッドのウェストレベルファインダーを使っての縦位置撮影はかなり厳しい・・・

取り外しは特に困ることはないかと思います。

フィルムがざーと広がったりしないように注意しながらしっかりとフィルム止めで止めましょう。

先端を少し折り曲げるのも忘れずに。

今でもブローニーのネガ(動画で使っているのもネガです。)などは先を少し舐めて糊を湿らせて止めますが、富士のポジ120は最後の部分にテープが付いていて両面テープのように剥がしてつけられるようになっています。

メモこういう部分もあまり神経質にならないで最悪別に輪ゴムで止めてもOKなので、とにかくフィルムが広がらないようにだけ注意してください。

撮影

撮影ですが、フィルムの巻き上げは引き蓋が刺さっていても抜かれていても可能です。

メモ1995年から2006年に発売されたFlex Bodyというアオリ撮影ができるモデルは毎回引き蓋を入れないとチャージできないようになっています。

シャッターは引き蓋を外さないと切れないように設計されています。(1:08)

ポイント引き蓋を無くすと大変なことになります。
先述したルールの通り、引き蓋を入れないとフィルムマガジンは外れないように設計されているため紐をつけたりしてロケでも落としたりしないように注意しましょう。
フィルムマガジンの中でもA12の最終型であるⅣ型はこの引き蓋を収納しておくことができます。
ちなみに万が一なくしてしまったら、中古市場で引き蓋だけがだいたい5000円くらいから購入することができます。
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絞りはレンズで

動画には収録していませんでしたが、絞りとシャッターの調整はレンズ側で行います。

絞りはレンズについているロック部分を下におろすとロックがかかり、ロックボタン部分の下側を軽く押してあげることでロックが外れ全開放になります。

このような仕様になっているのはファインダーの視認性を確保するため。

絞れば絞った分だけハッセルブラッドに入ってくる光量は落ちますよね。

なのでファインダーで構図やピントを確認するときはロックを外して全開放で、撮影するときにロックボタンを下におろして適切な絞りにして撮影します。

ポイント

最後にまとめでおさらいしますが、この絞り、最初にうちは結構忘れます。
構図やピントに意識が向いていてついつい撮影の際にロックボタンをおろすのを忘れて全開放で撮ってた・・・なんてことも。
撮影の前には引き蓋を外し、絞りロックとシャッター速度ダイヤルが適正になっているか必ずチェックしましょう。

長時間露光

バルブ撮影はもちろんですが、低速シャッターであっても、どうしてもミラーショックは大きくなるのがハッセルブラッドの構造上仕方のない点。

長時間露光はもちろん低速シャッターでも三脚を使いながら撮影するのが基本になります。

筆者が低速シャッターで使っているレリーズボタンはこちら。

このレリーズケーブルはハッセルブラッドの純正である必要はありません。

基本的にレリーズケーブルが使えるカメラは形状は同じで統一されています。

ネジをねじ込んでレリーズボタンを押すと針が出るだけのシンプルな構造になっているのでハクバにこだわる必要もありません。

ハッセルブラッド503CXにはプレシャッターボタン(巻き上げノブの下部分)というものがあり、バックシャッターを事前にバルブ状態にしておき、レンズシャッターだけを切るという仕組みでバックシャッターショックを最小限に抑える仕組みも搭載されています。

ポイント503CXまではシャッターボタンの部分にTモードが搭載されており、このダイヤルをTに合わせてシャッターを切るとシャッターを押しっぱなしにしてくれるという機能があります。
ただし、このTモードからOモードに戻す際は手動になるため、戻す際にブレます。
ほぼ確実にブレるシステムのため、どういう状況で使うか謎だったのですが、やっぱり謎だったのか、503CXiからはこのモードが廃止されています。
そのため基本的には長時間露光は通常でレリーズボタンを使って行うのが最も安全であると考えられます。

ここの赤い部分をTの方にずらします。

まとめ

  1. レンズの取り外しは必ずシャッターをチャージしてから。
  2. 引き蓋を差し込まないとマガジンは外せない。
  3. 引き蓋を抜かないとシャッターは切れない。
  4. 構図とピントを合わせた後にレンズの絞りをおろすのを忘れない。

この4点が軸となるポイントです。

通常の保管方法

さて、ハッセルブラッドといえば、保管時はシャッターをチャージしておくのか?

引き蓋はつけておくのか?外しておくのか?問題があります。

一応公式としては引き蓋に関していえば保管時は外しておく方がいいそうです。

引き蓋のスリット部分はモルトやテレンプで遮光しており、抜いた状態で保管しておいた方がテレンプの劣化が抑えられると言われています。

シャッターに関してはいろんな意見がありますが、上記4つのポイントにもあるように、シャッターをチャージしない状態を忘れるとレンズ周りにトラブルが起こることを考えると基本的にチャージしておいていいかもしれません。

二眼レフとは違ってシャッターをチャージしないとファインダーは見えないようになっていますし、「何か撮ろうかな?」とファインダーを見るだけでもどうせチャージしないといけませんので、チャージしておいてもいいかもしれません。

個人的には二重露光防止機能のついていないカメラなども持っているため、撮影寸前にフィルムを巻き上げるというのをルールにしていることもあり、ハッセルブラッドでも保管時にチャージはしていません。

空打ちでも止まる・・・?

最後に伝え忘れてはいけないので重要な点を。

ハッセルブラッドはバックシャッターの音がもう最高です。

何回聴いても癒されますよね。

そのため、フィルムを入れずに空打ちして楽しむという時間もあるかと思います。

しかし、マガジンをセットした状態で空打ちを続けると、カウンターが12になった時点で(12枚撮影完了)自動的にシャッターが切れなくなります。

あれ、引き蓋も抜いているのにシャッターが切れなくなった・・・と慌てないで、そのときはフィルムボックスを外してカウンターをリセットすれば大丈夫です。

永遠に空打ちしたい場合はマガジンを外せばカウントされずにいくらでも空打ちできますが、ハッセルブラッドのバックシャッター音はマガジンあってのサウンドですよね。

みなさんの参考になれば幸いです。

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こうたろう

音大を卒業後ピアニストとして活動。 日本で活動後北欧スウェーデンへ。 アーティストLindha Kallerdahlと声帯とピアノによる即興哲学を研究。 その後ドイツ・ケルンに渡りAchim Tangと共にアルバム作品制作。 帰国後、金田式DC録音の第一人者:五島昭彦氏のスタジオ「タイムマシンレコード」にアシスタントとして弟子入り。 独立後音楽レーベル「芸術工房Pinocoa(現:Kotaro Studio)」を結成。 タンゴやクラシックなどアコースティック音楽作品を多数プロデュース。 大阪ベンチャー研究会にて『芸術家皆起業論~変化する社会の中、芸術家で在り続けるために』を講演。 その後、秋山庄太郎氏後継の写真スタジオ「村上アーカイブス」でサウンドデザイナー兼音響担当として映像制作チームに参加。 村上宏治氏の元で本格的に写真、映像技術を学ぶ。 祖父母の在宅介護をきっかけにプログラムの世界に興味を持ち、株式会社 ジオセンスの代表取締役社長:小林一英氏よりプログラムを学ぶ。 現在はKotaro Studioにて『あなたのためのアートスタジオ』音と絵をテーマに芸術家として活動中。 2023年より誰かのための癒しの場所『Curanz Sounds』をプロデュース。