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RMEフラッグシップ録音機 Fireface UFX III

2023年5月17日発売。

Fireface UFX Ⅲ日本語公式ページ

Fireface UFX IIIは前作のFirefave UFX IIと比較しても、AD/DAの刷新やSteadyClock FSの採用、MADIの追加でチャンネル数が増加したりと大きく進化しています。

Fireface UFX Ⅲ オーディオインターフェイス&レコーダーをサウンドハウスでチェック

特徴や進化のポイント

94 入力 / 94 出力。

192 kHzに対応。

USB 3.0も搭載したオーディオ・インターフェイス&レコーダーとなっています。

DURecに対応

DURec(Direct USB Recording)機能はUSBポートからUSBメモリに直接録音データを記録することができる機能。

この機能によって、セッション録音の効率が飛躍的にアップします。

最大2TBのHDDにも記録可能なので大容量を挿れっぱなしにするもよし、テイクごとにUSBを差し替えて管理するもよし。

このDURecのお陰でフィールドレコーダーとしても使えるため、大自然や街中でのロケなども可能になります。

TotalMix Remote

TotalMix Remoteによって無線でリモート操作、コントロールが可能なので、人の多いライブハウス、広いホールや、プロデュースも兼任する録音エンジニアの強い味方になります。

Fireface UFX IIIの素晴らしさ

デジタル入出力やMADIによる高い拡張性はもちろんですが、本機単体でもアナログXLR4系統、TRS8系統とかなりのジャンル、録音業務がこれ一台で完結。

DURecのお陰でマスターレコーダーを別途用意する必要もありません。

注意点

フラッグシップレコーダーですので初心者が気軽に購入するものではなく、購入者はそれぞれ熟考されることと思いますが、筆者の個人的な考えを徒然と書いていきます。

まず、スペック自体ADATオプティカル(S/MUX)経由で24bit / 96kHz(8チャンネル)、24bit / 192 kHz(4チャンネル)録音・再生となっており、24bit止まり。

近年流行りの32bit録音ができないというのは、一度32bitの便利さを味わってしまうと不便に感じてしまいます。

24bit録音でしっかりと現場で調整するというのも楽しみの一つではありますが、それでも32bitで録音できるに越したことはないでしょう。

また、RMEのマイクアンプや各種コンバーターであれば、さすが納得のクオリティーを出してくれるかと思いますが、例えば数万円で購入できるZOOM F3のマイクアンプ・コンバーター性能を見ると、ワンポイント録音、ステレオペア録音を軸としたアコースティック録音エンジニアにとっては様々な疑問が残るのは事実。

フォルクローレにて無指向性マイクロフォンの3パターン比較

F3 Field Recorder / サウンドハウスで見てみる

先日ご紹介したRME 12Mic-D同様例えプロやハイアマチュアであっても使う人をかなり選ぶ存在であるといえます。

【RME】MADI & Dante対応12chリファレンス・マイク・プリアンプ「12Mic-D」発売〜注意点など

オーケストラの録音

例えばオーケストラの録音をマルチ録音する際などMADIで拡張しながらマルチ録音をするという手もありますが、こちらも当スタジオの考え方ではありますが、特別な意図があるオーケストラ音源以外はステレオペア録音のみで切り取った方が自然で、心を揺さぶるような録音ができると思っています。

とはいえ、F3だと2chしかありませんから、例えばディレイ用のステレオペアチャンネルを用意することはできません。

といってF6の場合F3と比較してもそのマイクアンプ性能は大きく落ちますから、F3であることは重要。

タイムコードジェネレーターを使って2台を同期してディレイトラックも用意することは可能でしょうが、そういった手間を考えるとFireface UFX IIIの方はアナログXLRが4chなので優位性が高いでしょう。

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ジャズ・民族音楽

おそらくこのジャンルが最もFireface UFX IIIを単体でも活かせるジャンルであると考えられます。

ジャズボーカル、フロント楽器にモノで割り当ててステレオペアで全体を、ドラムをマルチマイクで収録するという例えばのセッティング例でもちょうど良いバランスの入力系統になります。

タンゴやフォルクローレの録音でも同様、アルゼンチンタンゴの場合バンドネオンは左右の手元で指向性マイクを1chずつ用意するのが伝統的な録音方法になります。

コントラバジョのピックアップやピアノトラックと混ぜたインストもバランスよく録音できますし、ボーカル用にXLRを確保することもできます。

フィールドレコーダーとして

DURec機能のお陰でバッテリーさえ確保できれば自然界の収録やロケの収録も可能になりました。

ただし、自然界の収録は出かける前にイメージしているようなスマートな状況で録音することは叶いません。

そこは防水対策もしやすい形の機種などが便利かもしれません。

とはいえ、録音会場によっては録音エンジニアがあまり歓迎されていない現場ももちろんお仕事の現場としてはたくさん存在しています。

そんな肩身の狭い思いをする現場でバッテリーとDURecでこじんまりとセッティングして素早く撤収するという意味ではフィールドレコーディングに使える恩恵はかなり大きいと言えますよね。

おすすめな人

  1. 民族音楽を中心に録音する人。
  2. オーケストラのマルチマイク録音をする人。
  3. 毎回現場が変わるような出張タイプの録音エンジニア。
  4. ライブハウスのオーナー。
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こうたろう

音大を卒業後ピアニストとして活動。 日本で活動後北欧スウェーデンへ。 アーティストLindha Kallerdahlと声帯とピアノによる即興哲学を研究。 その後ドイツ・ケルンに渡りAchim Tangと共にアルバム作品制作。 帰国後、金田式DC録音の第一人者:五島昭彦氏のスタジオ「タイムマシンレコード」にアシスタントとして弟子入り。 独立後音楽レーベル「芸術工房Pinocoa(現:Kotaro Studio)」を結成。 タンゴやクラシックなどアコースティック音楽作品を多数プロデュース。 大阪ベンチャー研究会にて『芸術家皆起業論~変化する社会の中、芸術家で在り続けるために』を講演。 その後、秋山庄太郎氏後継の写真スタジオ「村上アーカイブス」でサウンドデザイナー兼音響担当として映像制作チームに参加。 村上宏治氏の元で本格的に写真、映像技術を学ぶ。 祖父母の在宅介護をきっかけにプログラムの世界に興味を持ち、株式会社 ジオセンスの代表取締役社長:小林一英氏よりプログラムを学ぶ。 現在はKotaro Studioにて『あなたのためのアートスタジオ』音と絵をテーマに芸術家として活動中。 2023年より誰かのための癒しの場所『Curanz Sounds』をプロデュース。