ゼンハイザー、双指向性マイク「MKH8030」とMKHシリーズの完結

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Profile

この記事を担当:こうたろう

1986年生まれ
音大卒業後日本、スウェーデン、ドイツにて音楽活動
ドイツで「ピアノとコントラバスのためのソナタ」をリリースし、ステファン・デザイアーからマルチマイクREC技術を学び帰国
金田式DC録音のスタジオにて音響学を学ぶ
独立後芸術工房Pinocoaを結成しアルゼンチンタンゴ音楽を専門にプロデュース
その後写真・映像スタジオで音響担当を経験し、写真を学ぶ
現在はヒーリングサウンド専門の音楽ブランド[Curanz Sounds]を立ち上げ、ピアニスト, 音響エンジニア, マルチメディアクリエーターとして活動中
当サイトでは音響エンジニアとしての経験、写真スタジオで学んだ経験を活かし、制作機材の解説や紹介をしています。
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「MKH8000シリーズ」の最新モデルとして、双指向性マイク「MKH 8030」を2024年6月27日より発売。

MKH 8030 は、Sennheiser の RF コンデンサーマイクロホン MKH 8000シリーズを完結させるものであり、オーディオ録音のプロフェッショナルが必要とする標準的なポーラーパターンをすべて含んでいます。

MKH8030公式サイト

双指向性マイク

双指向性マイク(Bi-directional microphone)は、マイクの正面と背後に指向性をもち、側面の感度が低いのが特徴。

ゼンハイザーにとっては数十年ぶりの新製品になります。

双指向性マイクのMKH8030はMS方式やダブルMS方式、Blumlein録音などに活用できるものとなる。

ダブルMS方式

ダブルMS方式(Double Mid-Side)は、音響録音技術の一つであり、特に映画やテレビ、野外録音などの分野で使用されます。

この方式は、伝統的なM-S(Mid-Side)録音技法を拡張したもので、より立体的で広がりのある音像を得ることができます。

ダブルMS方式は、3つのマイクロフォンを用いた配置を特徴とします。

ダブルMS方式の概要

ダブルMS方式の概要

項目 詳細
方式名 ダブルMS方式(Double Mid-Side)
構成マイク
  • ミッド(Mid)マイク:単一指向性マイク(通常はカーディオイド)
  • サイド(Side)マイク:双指向性マイク
  • リア(Rear)マイク:単一指向性マイク(通常はカーディオイド)
動作原理
  • ミッドマイク:中央の音源を収音
  • サイドマイク:左右の音源を収音し、ステレオイメージを形成
  • リアマイク:後方の音源を収音し、3Dサラウンド効果を提供
利点
  • 柔軟なポストプロダクションが可能
  • 自然な音場再現
  • 広い応用範囲(映画、テレビ、野外録音、音楽録音など)
使用例
  • 映画・テレビ制作
  • 野外録音
  • 音楽録音
技術的な実装
  • マイクロフォン配置:ミッドとサイドマイクは同軸に配置、リアマイクは後方に向ける
  • 信号処理:録音信号はデコードされ、ステレオまたはサラウンドサウンドとしてミックス

Blumlein録音

Blumlein録音(Blumlein Pair Technique)は、Alan Blumleinによって1931年に発明されたステレオ録音技法です。

この方式は、2本の双指向性(フィギュア8)マイクロフォンを使用し、自然で広がりのあるステレオイメージを得るために非常に効果的です。

Blumlein録音の概要

Blumlein録音の概要

項目 詳細
方式名 Blumlein録音
発明者 Alan Blumlein(1931年)
マイクの配置 2本の双指向性マイクを90度の角度で交差させ、ダイアフラムが同じポイントに位置するように配置
指向特性 双指向性(フィギュア8)
利点
  • 自然なステレオイメージ
  • モノラル互換性
  • 忠実な音場再現
使用例
  • クラシック音楽の録音
  • アコースティック音楽の録音
  • 環境音の録音
技術的な実装
  • 双指向性のコンデンサーマイクやリボンマイクを使用
  • マイクのダイアフラムが正確に90度で交差するように配置
  • 録音後の編集やミックスでステレオイメージの調整が可能

MKHの立ち位置

型番の「MKH」は、ドイツ語の頭文字からとっています。

マイクロフォン(Mikrofon)、コンデンサー(Kondensator)、高周波(Hochfrequenz)。

RFコンデンサーマイクと呼ぶのは英語で高周波をRadio Frequencyというため頭文字をとってRFコンデンサーマイクと一般的には呼ばれています。

RFコンデンサーマイク

RFコンデンサーマイク(Radio Frequency Condenser Microphone)は、従来のコンデンサーマイクと異なり、ダイアフラムの電圧変動を直接音声信号に変換するのではなく、高周波(RF)信号を利用して動作します。
この方式により、ノイズ耐性が高まり、信頼性が向上します。

RFマイクとしては、他にSchoeps CMCシリーズも有名ですね!

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他のMKHとの組み合わせ

双指向性マイクは単一指向性マイクと組み合わせて録音する方式が多いです。

その際はやはり正確性を再現するために、MKHとの組み合わせがベスト。

MKHシリーズには、他にも無指向性の「MKH 8020」やカーディオイドタイプの「MKH 8040」などがラインナップされていますので、今回のMKH 8030も様々なセッティング、録音方式の組み合わせを前提とされています。

MKHシリーズ

MKH 8020もMKH 8040もそれぞれ最高の個性を持ったマイクロフォン。
ステレオペアかシングルか目的や用途に応じて使い分けてください。

ゼンハイザーは裏切らない

高品質のマイクロフォンと高品質なレンズは似ていて、唯一無二の存在だったりします。

MKHシリーズはまさに唯一無二。

無指向性のMKH8020だって相当な個性を持った無指向性マイクに仕上がっています。

ゼンハイザーは一環してオーディオユーザーを裏切らない。

往年のベストセラーであるHD25を見ても明らかでしょう。

HD25はモニターヘッドホンとしても視聴用ヘッドホンとしても最上級におすすめです。