【音のプロが解説】Tascam からDR-05XP, DR-07XP発売〜特徴などを徹底解説

TASCAMは、32bitフロート録音とUSB Type-Cに対応したステレオポータブルレコーダー「DR-05XP」と、可動式マイク型の「DR-07XP」を2025年2月15日から発売を決定しました。
価格は直販価格でDR-05XPが22,000円、DR-07XPが29,700円となっています。
本日はDR-05XP, DR-07XPそれぞれの特徴の解説と、選び方について解説していきます。

この記事を担当:こうたろう
1986年生まれ
音大卒業後日本、スウェーデン、ドイツにて音楽活動
ドイツで「ピアノとコントラバスのためのソナタ」をリリースし、ステファン・デザイアーからマルチマイクREC技術を学び帰国
金田式DC録音のスタジオにて音響学を学ぶ
独立後芸術工房Pinocoaを結成しアルゼンチンタンゴ音楽を専門にプロデュース
その後写真・映像スタジオで音響担当を経験し、写真を学ぶ
現在はヒーリングサウンド専門の音楽ブランド[Curanz Sounds]を立ち上げ、ピアニスト, 音響エンジニア, マルチメディアクリエーターとして活動中
当サイトでは音響エンジニアとしての経験、写真スタジオで学んだ経験を活かし、制作機材の解説や紹介をしています。
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【さらなる専門家の監修】録音エンジニア:五島昭彦
学生時代に金田明彦氏に弟子入り。
ワンポイント録音の魅力に取り憑かれ、Panasonic半導体部門を経て、退職後金田式DC録音の専門スタジオ:タイムマシンレコードを設立。
ジャズは北欧系アーティストを中心に様々な美しい旋律を録音。
クラシック関係は国内外の様々なアーティストのレコーディングを担当しており、民族音楽にも精通。
現在は金田式DC録音のDSDレコーディングを中心にアコースティック楽器の収録を軸に活動中。
世界で唯一、金田明彦氏直系の弟子であり、金田明彦氏自らが手がけた金田式DC録音システムを使用している。
気軽に32bit録音のDR-05XP
- 外形寸法: 60.5 x 142.3 x 27mm (W x H x D)
- 質量: 174g (電池を含む)
DR05シリーズはプラグインパワーのマイクアンプが非常に優秀で、ヘッドホンアンプも優秀なことから、音楽プレーヤーとしても使っていた方が多いのではないでしょうか?
当スタジオの音響顧問であり金田式DC録音の五島昭彦氏もDR-05は音楽プレーヤーとしても使っていました。
またスタジオオリジナルマイクとの相性が非常によく、DR-05で収録した音源も多数掲載しています。
【総額72万円機材 VS スタジオオリジナルマイク】DR-05は24bitまでだったので、ゲイン調整が必要でしたが、この度32bit対応ということで、プラグインパワーのマイクアンプ、ヘッドホンアンプが非常に優秀で且つ失敗しない録音ができるというわけで、かなり最強の一本が完成したと言えます。
無指向性マイク
搭載されているマイクが無指向性マイクとなっています。
無指向性マイクの魅力を簡単に語ることはできませんが、やはり音のロマンというのは無指向性マイクに宿る・・・と筆者は信じています。
指向性マイクはもちろんマイクを向ける向きや位置によって全く取れる音が変わりますが、無指向性マイクはもっと高いレベルで音響を変える、捉えることができるといえるわけです。
単三電池2本での駆動で、最大512GBのmicroSDXCカードに対応しているので、長期の旅行、取材にも十分対応できますね。
もちろんオーディオインターフェイスなどの昨今当たり前の機能も搭載し、モノラルではありますが、確認用のスピーカーもついています。
当スタジオとしては当然スタジオオリジナルマイクをプラグインパワーで使うことを推奨しています。
当スタジオのオリジナルマイクとの組み合わせでほぼどんなジャンルの音楽もCD制作発売レベルでレコーディングすることが可能になります。
オリジナルマイクご購入はこちらA-B/X-Y可動式マイク搭載〜DR-07XP
- 外形寸法: X-Y方式時 68 x 159.7 x 27.0mm、A-B方式時 90.3 x 159.7 x 27.0mm (W x H x D)
- 質量: 184g (電池を含む)
こちらは、可動式単一指向性ステレオコンデンサーマイク搭載モデルとなっており、A-BおよびX-Y方式の単一指向性可動式ステレオコンデンサーマイクを使ってマイクポジションを変えることにより、素材に合わせたマイキングが可能になるモデル。
A-B方式ではより広がりのあるステレオ感をとらえることができ、X-Y方式ではより音源にフォーカスしたワンポイント録音が可能になります。
昨今のTascamに搭載される内蔵マイクは非常に優秀なものも多く、それ単体でも充分な音質性能が得られることも特徴です。
そのため、DR-07XPも本体内蔵マイクだけでもマイクセッティング次第ではかなり高い水準の録音が可能であると考えます。
また、DR-07XPの場合は05XPとは違い、指向性マイクを搭載していますので、外部プラグインパワーマイクを無指向性マイクにすることにより柔軟な現場に対応することができます。
ただし、おそらく例によって外部プラグインパワーと内蔵マイクの同時収録はできないので注意してください。
これができるようになれば最高・・・なんですけどね。。。
例えばこちらは少し型落ちになりますが、TASCAM DR-40Xの内蔵マイクだけで収録した音源です。
やはり指向性マイクは外部マイクでセッティングすると、結構大変ですし、角度などを決めるのも一苦労なので、本体だけで完結したい方はDR-07XPもおすすめ!
どちらを選ぶべきか?
おすすめは、DR-05XPに当スタジオのオリジナルプラグインパワーマイクを組み合わせて使うこと。
この組み合わせだけであとはゼンハイザーのHD25を導入すれば世界トップクラスの録音が可能になりま。
オーディオは入口と出口が重要になってきますが、この組み合わせでほぼ入り口のオーディオ沼は脱出できます。
というのも筆者自身がオーディオ沼を脱出したくて自作マイクをはじめたからです。
世界トップクラスの無指向性マイクであるDPA4006などと比較するとさすがに劣りますが、他のほとんどの市販マイクと比較しても同等かそれ以上の音質を確保できます。
それはやはりDR05シリーズに搭載されているほどよくチューニングされたマイクアンプ性能の賜物であることはいうまでもありません。
類似の製品としてZOOMのH1essentialがありますが、こちらもDR-05XP同様プラグインパワー用のレコーダーとしては非常に優秀でおすすめします。
ただしZOOMのH1essentialの場合はお値段が少しお求めやすくなっているかと思いますが、その分内蔵マイクはタスカムの内蔵マイクのレベルには到達していません。
プラグインパワーで外部マイクを使う前提としては最高の選択肢となります。
ZOOMとタスカムはそれぞれ使い分けがはっきりしていますので、それぞれの意図に応じて適切に機材選びをしていってくださいね!