【DAW中級者必見】マスタリングをおまかせ?AIマスタリングの決定版「LANDR Studio」で楽曲クオリティを劇的に上げる方法
この記事の目次
「ミックスまでは納得いくものができたのに、書き出してみると市販の曲より音が小さい…」
「マスタリング用プラグインを挿してみたけど、正解がわからず沼にハマっている」
DTM中級者にとって、最後の難関である「マスタリング」。
ここをプロのエンジニアに毎回依頼するのは予算的に厳しく、かといって自分で完結させるには高度な技術とリスニング環境が必要です。
そこで今、世界中のクリエイターが導入しているのが、AIマスタリングサービスのパイオニアである「LANDR(ランダー)」、そしてその進化系プランである「LANDR Studio」です。
今回は、なぜDAW中級者にこそLANDR Studioが最適なのか、自動マスタリングの実力と、制作環境を一変させるその中身について徹底解説します。
この記事を担当:朝比奈幸太郎
1986年生まれ
音大卒業後日本、スウェーデン、ドイツにて音楽活動
ドイツで「ピアノとコントラバスのためのソナタ」をリリースし、ステファン・デザイアーからマルチマイク技術を学び帰国
帰国後、金田式DC録音専門レーベル”タイムマシンレコード”て音響を学ぶ
独立後芸術工房Pinocoaを結成しアルゼンチンタンゴ音楽を専門にプロデュース
その後写真・映像スタジオで音響担当を経験、写真を学ぶ
現在はヒーリングサウンド専門の音楽ブランド[Curanz Sounds]を立ち上げ、音楽家, 音響エンジニア,として活動
五島昭彦氏より金田式DC録音の技術を承継中
当サイトでは音響エンジニアとしての経験、写真スタジオで学んだ経験を活かし、制作機材の解説や紹介をしています。
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そもそも「LANDR Studio」とは?ただの自動マスタリングではない
LANDRはもともと、ドラッグ&ドロップするだけで楽曲を解析し、最適な処理を施してくれるAIマスタリングツールとして登場しました。
しかし、現在主力となっているプラン「LANDR Studio」は、単なるマスタリングツールではありません。
一言で言えば、「AIエンジニアと契約し、さらにプロ用プラグインと配信権まで手に入るオールインワン・プラットフォーム」です。
信頼できる企業なの?
LANDR(ランダー)というサービスが、ぽっと出のAIベンチャーではなく、音楽とテクノロジーの研究から生まれた実力派企業であることを解説します。
社名: LANDR Audio Inc. は本拠地 カナダ・ケベック州 モントリオールで設立は2013年(サービス開始は2014年)
モントリオールは、ゲーム会社(Ubisoftなど)やAI研究機関が集まる世界的ハブであり、同時に「シルク・ドゥ・ソレイユ」発祥の地でもあるなど、「最先端テクノロジー」と「アート」が融合する都市として知られています。
LANDRはその土壌から生まれました。
LANDRの歴史は、単なるビジネスではなく「学術研究」からスタートしています。
2012年頃LANDRのコア技術であるAIアルゴリズムは、ロンドン大学クイーン・メアリー校のデジタル音楽センター(C4DM)における、「自動オーディオ後処理」に関する8年間の学術研究がベースになっています。
当初は「MixGenius」という社名で、この研究技術を実用化するために設立されました。
2014年、「LANDR」としてサービスを正式ローンチ。
当時は「AIがマスタリングをするなんてあり得ない」と懐疑的な声も多かったものの、その手軽さとクオリティで瞬く間にインディーズアーティストの間で普及しました。
※ちなみに、LANDRという名前は「Left and Right(ステレオの左右)」に由来していると言われています)
2015年〜2019年 LANDRのポテンシャルに気づいた音楽業界の巨塔たちが次々と出資・提携しました。 出資者: ワーナー・ミュージック・グループ、ソニー・ミュージック、ラッパーのNas(ナズ)、著名な作曲家ハンス・ジマーの関係ファンドなど。
また、単なるマスタリングだけでなく、Spotifyなどへのデジタル配信(ディストリビューション)機能を追加。
CDBabyやTunecoreのライバルとしての地位を確立しました。
ここ数年で、LANDRは「マスタリング屋」から「音楽制作の総合プラットフォーム」へと進化しました。
さらに2024年にSynchro Arts社を買収しました。
Synchro Artsは、プロの現場で必須ツールと言われる「VocAlign(ボーカルタイミング補正)」の開発元(イギリス)です。
「AI×音楽」の老舗企業であり、直近でSynchro Artsなどの有力プラグインメーカーを傘下に収めたことで、今後さらに「DTMerにとって手放せないインフラ」になっていくと予想されます。
マスタリングをおまかせできる「AI」の実力
DAW中級者が一番気になるのは、「AIに任せて本当に良い音になるのか?」という点でしょう。
LANDRのAIエンジンは、数百万曲以上のデータを学習しています。
あなたが作った2mix(ミックスダウン音源)をアップロードすると、AIは以下の処理を瞬時に行います。
- ジャンルの特定: ロック、EDM、ジャズなどを判別。
- ダイナミクスの調整: マルチバンドコンプやリミッターで適切な音圧へ。
- EQバランスの補正: 突出した帯域や不足している帯域を整える。
結果、いわゆる「海苔波形」になりがちな無理な音圧稼ぎではなく、「音楽的なダイナミクスを保ったまま、市販レベルの音圧・音質」に仕上げてくれます。
こだわり派も納得のカスタマイズ性
初期の自動マスタリングサービスは「おまかせ一択」でしたが、現在のLANDRは中級者のこだわりにも応えます。
- スタイル選択: 「Warm(暖かみ)」「Balanced(バランス)」「Open(現代的な抜けの良さ)」から選択可能。
- 音圧レベル: ラウドネスレベルを3段階で調整可能。
「ここはもっとパンチを出したい」「ボーカルを前に出したい」といった微調整を、AIの基盤の上でコントロールできるのが大きな強みです。
LANDR Studioが「DAW中級者」に刺さる3つの理由
マスタリング単体でも優秀ですが、Studioプランが中級者に推される理由は、「制作のコストパフォーマンス」にあります。
1. 「VocAlign」などの高級プラグインが使い放題

中級者になると、WavesやiZotope、FabFilterなどの有料プラグインが欲しくなる時期です。
LANDR Studioには、なんと総額数万円〜数十万円相当のプラグインが含まれています。
特に目玉なのが「VocAlign Project 5」(ボーカルのタイミング合わせツール)。
これ単体でも数万円しますが、プランに含まれています。
他にも「UJAM」シリーズなどの即戦力音源が利用可能です。
2. 無制限の音楽配信(ディストリビューション)

作った曲をSoundCloudやYouTubeに上げるだけでなく、SpotifyやApple Musicで配信したいと思いませんか?
LANDR Studioには、150以上のストアへの無制限配信機能が含まれています。
- 配信手数料なし(収益は100%還元)
- 追加料金なしで何曲でもリリース可能
これまでは「Tunecore」などを別途契約していた人も、LANDR一本にまとめることで固定費を大幅に削減できます。
3. マスタリングにかける時間を「作曲」に回せる
中級者が陥りがちな「マスタリング沼」。リミッターの設定を0.1dB単位でいじって数時間浪費していませんか?
LANDRを使えば、マスタリングは数分で完了します。
浮いた時間を次の曲の作詞作曲や、アレンジのブラッシュアップに使うことができます。
「エンジニアリングはAIにおまかせして、クリエイティブに集中する」。
これがこれからの制作スタイルです。
料金プランと導入の判断基準
LANDR Studioはサブスクリプション制(年額払いだと月換算で約1,800円前後 ※為替により変動)です。
このプランが向いている人:
- ミックスまでは自分でできるが、マスタリングに自信がない人。
- Spotifyなどでオリジナル曲を配信してみたい人。
- VocAlignなどの付属プラグインに魅力を感じる人。
- 毎月のプラグイン代や配信料を節約したい人。
向いていない人:
- マスタリングエンジニアとして、すべてのパラメーターを自分で制御したい人。
- 完全にゼロからAIに作曲してほしい人(Suno AIなどを使いましょう)。
まとめ:AIを「パートナー」にして次のステップへ
「マスタリングは人間の手でやるべき」という意見もあります。
しかし、プロのエンジニアに依頼すれば1曲数万円はかかります。
予算が限られる個人のクリエイターにとって、月額定額で何度でもAIマスタリングが利用でき、配信まで完結するLANDR Studioは、最強の武器になります。
「自分の曲、音さえ良ければもっと聴かれるはずなのに…」
そう感じているなら、一度マスタリングをおまかせしてみませんか?
あなたの楽曲が、驚くほどクリアでパワフルなサウンドに生まれ変わるはずです。
【追記】LANDR Studio付属プラグインのラインナップと導入手順
LANDR Studioを契約すると、「特典」というレベルを超えた豪華なプラグイン群が利用可能になります。
これらは「数個の中から選ぶ」形式ではなく、リストにあるものはすべてダウンロードして使用可能。
ここでは、中級者が即戦力として使える主なプラグインリストと、少し複雑なインストールの手順を解説します。
1. 目玉プラグイン・リスト(主なラインナップ)
※ラインナップは時期により追加・変更されることがありますが、代表的な強力ツールは以下の通りです。
ボーカル編集の救世主
- Synchro Arts / VocAlign Project 5
- これが最強のメリット: 本来なら単体で約2万円前後するプロ御用達ツール。メインボーカルに合わせて、ハモリ(コーラス)のタイミングを自動でピタッと合わせる魔法のプラグインです。手作業での波形編集時間を数時間短縮できます。
高品質な楽器・音源系
- UJAM シリーズ
- Virtual Guitarist IRON 2: ロックなパワーコードバッキングを指一本で演奏。
- Beatmaker: トラップ、ヒップホップ、EDMなどジャンル特化のドラム音源。
- Symphonic Elements: 映画のようなストリングスフレーズを生成。
- ※UJAM製品は時期により提供されるラインナップ(タイトル)が変わりますが、即戦力の時短ツールとして優秀です。
- AAS (Applied Acoustics Systems) シリーズ
- Strum Session: アコースティックギターのストローク専用音源。
- Lounge Lizard Session: 定番のエレクトリックピアノ音源。
ミックス・エフェクト系
- Baby Audio / TAIP
- AIを用いたテープサチュレーション。デジタルな音にアナログの温かみを足すのに最適。
- Techivation / T-De-Esser Pro
- ボーカルの歯擦音(サ行のノイズ)を自然に抑えるディエッサー。
- Arturia (※時期によりコンプレッサーやリバーブなどが提供されることがあります)
DAW(制作ソフト)
- Ableton Live Lite
- 多くのDTMerが愛用するLiveの入門版。サブ機やライブ用としても。
2. プラグインはどうやって使うの?(インストール手順)
LANDR Studioのプラグインは、DAW内で自動的に出現するわけではありません。
「LANDRでシリアルコードを発行し、各メーカーのサイトで登録する」という手順が必要です。
少し手間ですが、一度入れれば通常のVST/AUプラグインとして永続的に使えます。
手順①:LANDRの「マイプラグイン」ページへ
LANDRにログインし、ダッシュボードから「Plugins(プラグイン)」または「My Products」のページにアクセスします。
ここに、利用可能なプラグインがずらりと並んでいます。
手順②:プロダクトキー(シリアル)を入手
使いたいプラグインの横にある「Get This Plugin」や「Redeem(引き換え)」ボタンを押します。
すると、ライセンスキー(シリアルナンバー)が表示されます。これをコピーしてください。
手順③:各メーカーサイトで登録&ダウンロード
ここがポイントです。LANDRから直接インストーラーを落とすのではなく、メーカー(例:UJAMやSynchro Arts)のサイトへ飛ぶよう誘導されます。
- メーカーのサイトでアカウントを作成(持っていなければ)。
- 先ほどコピーしたライセンスキーを入力して製品を登録。
- メーカー専用のインストーラー(UJAM Appなど)や、プラグインファイルをダウンロードしてインストール。
手順④:DAWで読み込む
インストール後、普段使っているDAW(Cubase, Logic, Studio Oneなど)を起動すると、新しいプラグインとして認識されます。
注意点 ライセンス管理の仕組み(超重要)
LANDR Studioのプラグインは、「サブスクリプション型ライセンス」が基本です。
契約中のみ使える(レンタル方式)
- LANDR Studioにお金を払っている期間だけ、これらの高価なプラグインを使う権利が与えられます。
- ライセンスの紐付け: 各メーカー(UJAMやSynchro Artsなど)のアカウントや、iLokなどの管理ツール上で、「LANDRのサブスクリプションが有効である」と認識されている間だけ起動します。
解約するとどうなる?
ここが一番の注意点です。
- プラグインは止まります: LANDR Studioを解約(または支払いが滞る)すると、更新のタイミングでライセンスが無効化されます。
- DAW上の挙動: 解約後にDAWで過去のプロジェクトを開くと、「ライセンスが見つかりません」というエラーが出て、そのプラグインはバイパス(無効)状態になるか、読み込まれなくなります。
つまり、「一生モノとして貰える」わけではなく、「契約期間中だけ使い放題になる権利」を買っていると考えてください。
- アカウント管理: UJAM、Synchro Arts、Plugin Allianceなど、各メーカーごとのアカウント作成が必要になります。パスワード管理ソフトなどで管理しておくことをお勧めします。
- iLok: VocAlignなど一部の製品は、ライセンス管理ソフト「iLok License Manager」(無料)のアカウントが必要になる場合があります。中級者なら既に持っている方も多いと思いますが、未導入の場合は作成が必要です。