【VRを語る】360度のニュースタンダード:Audio-Technica BP3600
この記事の目次
この記事を担当:こうたろう
1986年生まれ
音大卒業後日本、スウェーデン、ドイツにて音楽活動
ドイツで「ピアノとコントラバスのためのソナタ」をリリースし、ステファン・デザイアーからマルチマイクREC技術を学び帰国
金田式DC録音のスタジオにて音響学を学ぶ
独立後芸術工房Pinocoaを結成しアルゼンチンタンゴ音楽を専門にプロデュース
その後写真・映像スタジオで音響担当を経験し、写真を学ぶ
現在はヒーリングサウンド専門の音楽ブランド[Curanz Sounds]を立ち上げ、ピアニスト, 音響エンジニア, マルチメディアクリエーターとして活動中
当サイトでは音響エンジニアとしての経験、写真スタジオで学んだ経験を活かし、制作機材の解説や紹介をしています。
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Audio-TechnicaのBP3600をご紹介します。
360度音響録音の革命的な技術を搭載したこのマイクロフォンは、プロフェッショナルな録音を求める方々にとって必須のアイテムです。
Audio-Technica BP3600は、360度の音響を高品質に録音するために設計されたマイクロフォンです。
この製品は、立体音響や空間オーディオ録音の分野で新たなスタンダードを確立することになります。
プロフェッショナルな音楽制作から映画制作、バーチャルリアリティ(VR)コンテンツまで、幅広い用途に対応。
このマイクのポイント
- 360度音響録音:全方位からの音を均一に録音し、自然でリアルな立体音響を実現。
- 高感度コンデンサーマイク:微細な音まで捉える高感度のコンデンサーマイクを採用。
- 耐久性の高い設計:プロフェッショナルな使用環境を考慮した堅牢な設計で、長期間の使用に耐えます。
- シームレスなインテグレーション:様々な録音機材やソフトウェアとの互換性が高く、既存のセットアップに簡単に組み込むことができます。
録音ポイントの創造
当スタジオでもオリジナルのVRマイクの制作を行ってみたり、RODEのVRマイクでテストしてみたりといろいろ試行錯誤してきました。
VRマイクの論理自体はその歴史は非常に古く、1970年代にまで遡ることができます。
基本的には対になる素子から新しい音場を作り出すといえば簡単な言葉になりますが、その仕組み自体はXY方式の延長にあると言えるでしょう。
指向性のXY方式(一般的にはこれをワンポイント録音といいます)はそのセッティングをかなり入念に行えばオーケストラ録音の際などは、拍手が後ろから聞こえてきたりするわけです。
指向性マイクがオーケストラを狙っているのに不思議じゃありませんか?
それはまさしく対になる素子同士の組み合わせにより新しい音場を形成したと言えるわけです。
音質と試聴
こちらのYoutubeでは試聴音源が公開されています。
聞いてみると、BP3600はやはりRODE同様素子そのもののクオリティーがまずは高いいえます。
VR系マイクロフォンの前進となったゼンハイザーのマイクはやはりそのあたりは見切り発車で発売した感じは否めません。
360度音響録音とはなにか?
360度音響録音は、録音の際に全方位からの音を均一に捉える技術である、、、と一般的には説明することができます。
ただし、全方位というと少し考察しながら解釈する必要があります。
指向性で構成された360度音響というのは正しくは音場の数をどれだけ増やしていけるか?というところにあるわけです。
BP3600の電車の音を聞いてみても、やはり音場を切り替えているという感覚が強く感じます。
例えば筆者がCS-10EMで収録したこちらの電車の音の方が全方位という認識で差し支えないかと思います。
人間が空間を認識するために必要な音の要素
空間認識に必要な音の要素
要素 | 説明 |
---|---|
方向 | 両耳での音の時間差と強度差で判断。 |
距離 | 音の強さと反響で距離を推測。 |
リバーブ | 音の反射で空間の大きさや形状を認識。 |
周波数 | 高周波音は硬い物体、低周波音は大きな物体を示す。 |
音量 | 音源の近さやエネルギーを示す。 |
こちらもまた一般的な解説表になります。
ここでいうリバーブ、反射音というものを少し考察したいと思うわけです。
無指向性マイクの素晴らしいところが、反射音の制御ができない点。
これは、裏を返せばデメリットになることはいうまでもありませんが、それだけ人間が空間を認識するためには反射した場所、材質、スピードというのは重要になってくるわけです。
音で人間はどこまで状況と空間を把握できるのか?
想像してみると、反射がその状況を特定するための情報としては8割ほどを占めていると言えないでしょうか?
当然金属系ではスピードが上がりますし、木材系ではスピードが落ちます。
木材系の場合は反射音が発生する速度によって湿度や硬さ、年数までわかる場合もあるでしょう。
おそらく、人口的に指向性で音場を作り上げるVR音響の場合、この8割を占めるといってもいい重要な情報でさえも、半ば人口的に作り出さなければいけないということになりかねません。
そこが、筆者自身がVRマイクに抱く芸術的な側面での疑問になってくるわけです。
エンタメオーディオとしての素晴らしさ
Audio-Technica BP3600は、これまでの360度音響録音技術をさらに進化させた製品であり、どんな環境でもプロフェッショナルな音響を実現します。
耐久性の高い設計とシームレスなインテグレーションにより、長期間にわたって信頼性のあるパフォーマンスを提供します。
BP3600を使えば、あなたの録音プロジェクトはさらに一段上のクオリティを達成できます。
音は、出口と入り口はセットです。
カメラで例えるとわかりやすいのにオーディオだと疎かになる人が多いので注意してください。
仕様 | 詳細 |
---|---|
マイクタイプ | コンデンサー |
周波数特性 | 20Hz – 20kHz |
指向特性 | 全指向性 |
感度 | -34 dB (0 dB=1V/Pa, 1 kHz) |
インピーダンス | 200Ω |
最大入力音圧レベル | 145 dB SPL, 1 kHz at 1% T.H.D. |
出力コネクター | 3-pin XLRM-type |
電源 | ファンタム電源 (48V DC, 4 mA typical) |
寸法 | 192.0 mm 長, 52.0 mm 直径 |
重量 | 590 g |
5.1.4ch スピーカーレイアウト
オーディオ愛好家やホームシアターファンにとって、録音した音の出口であるスピーカーレイアウトは非常に重要です。
5.1.4chのスピーカーレイアウトは、従来の5.1chシステムに天井スピーカーを追加したものです。
これにより、従来のサラウンドサウンドに加えて、高さ方向の音場が加わり、より立体的で臨場感のある音響体験が可能になります。
5.1.4chは以下の要素から構成されています。
5:前面3つのスピーカー(左、中央、右)と、背面2つのスピーカー(左サラウンド、右サラウンド)
1:サブウーファー
4:天井に設置される4つのスピーカー(フロント・ハイト左、フロント・ハイト右、リア・ハイト左、リア・ハイト右)
これにより、前後左右に加えて、上下方向の音響が加わり、全方位からの音を体感できる仕組みになっています。
各スピーカーの配置と役割
- フロント左(Front Left, FL):
- テレビやスクリーンの左側に配置します。
- メインの音楽や効果音の左チャンネルを再生します。
- フロント中央(Front Center, FC):
- テレビやスクリーンの真ん中に配置します。
- ダイアログやナレーションを再生します。
- フロント右(Front Right, FR):
- テレビやスクリーンの右側に配置します。
- メインの音楽や効果音の右チャンネルを再生します。
- サラウンド左(Surround Left, SL):
- リスニングポジションの左側、少し後方に配置します。
- 環境音や効果音を再生し、臨場感を高めます。
- サラウンド右(Surround Right, SR):
- リスニングポジションの右側、少し後方に配置します。
- 環境音や効果音を再生し、臨場感を高めます。
- サブウーファー(Subwoofer, SW):
- 部屋の低周波音を効果的に再生できる位置に配置します。
- 低音の効果音や音楽のベース部分を再生します。
- フロント・ハイト左(Front Height Left, FHL):
- フロント左スピーカーの上方、天井付近に配置します。
- 高さ方向の音響効果を強調します。
- フロント・ハイト右(Front Height Right, FHR):
- フロント右スピーカーの上方、天井付近に配置します。
- 高さ方向の音響効果を強調します。
- リア・ハイト左(Rear Height Left, RHL):
- サラウンド左スピーカーの上方、天井付近に配置します。
- 高さ方向の音響効果を強調します。
- リア・ハイト右(Rear Height Right, RHR):
- サラウンド右スピーカーの上方、天井付近に配置します。
- 高さ方向の音響効果を強調します。
是非音の入り口と出口を意識して最高のオーディオライフを楽しんでいただきたいと思います。