TASCAM FR-AV4 – 32bitフロート録音対応の4chフィールドレコーダー
オーディオファンのみなさん、こんにちは。
今回はTASCAMから登場する新製品、「FR-AV4」をご紹介します。
このモデルは、プロの映像制作現場や音楽録音の現場で活躍できる32bitフロート録音対応の4チャンネル・フィールドレコーダーです。
「失敗しない録音」と「映像との相性抜群」を両立した、とても頼れる一台に仕上がっています。
TASCAM FR-AV4はこんな人におすすめ!
- 録音レベル調整の失敗を避けたい人(32bitフロートで小声〜大音量まで安心)
- 映像制作でカメラと録音の開始/停止を連動させたい人(HDMI連携・タイムコード対応)
- マイクを複数本使って環境音・対談・楽器を同時に録りたい人(4ch入力・6トラック記録)
- 屋外ロケやフィールドレコーディングでタフに使いたい人(堅牢ボディ・単三電池駆動)
- その場でノイズ対策や簡易ミックスも済ませたい人(ローカット/EQ/リミッター/ノイズゲート)
- 本格的に録音エンジニアとして仕事を始めたい人(プロレベルの録音が可能)
- 収録機と宅録インターフェースを1台で兼用したい人(USB接続で6in/2outオーディオI/O)
「映像同期や多機能が不要で最低限の録音だけできればよい人」にはややオーバースペックかもしれません。
FR-AV4の概要
FR-AV4は、2025年10月25日発売予定のTASCAM最新フィールドレコーダーです。
税込参考価格は約162,800円と案内されており、エントリー向けというよりも本格的に高音質録音を求めるユーザー層に向けた製品と言えるでしょう。
本体サイズは約184×130×42mm、重さは単三電池込みで約756g。
アルミ製の頑丈な筐体は、屋外の過酷な現場でも安心して使えます。
しかもカメラリグやバッグに組み込みやすい設計です。
32bitフロート録音のすごさ
今となってはもう当たり前の世の中になりました、32bitフロート録音。
通常の録音では「大きすぎる音で割れてしまう」「小さすぎてノイズが増える」といった問題がつきものですが、32bitフロートは音割れせず、小さな音から爆音まで綺麗に収録できるのが特長です。
「録音レベルの失敗を気にせず、そのまま録って後で調整できる」ので、本格的な録音、音にもこだわりたいビデオグラファーの方や、映像クリエーターの方、また、本格的な番組運営をしたい方にも非常にありがたい機能です。
4チャンネル入力と6トラック録音
FR-AV4は4系統のXLR/TRSコンボ入力を装備。
コンデンサーマイク用のファントム電源にも対応しています。
さらに録音時には4チャンネルの個別トラックに加えて、ステレオミックス(2チャンネル分)を同時保存でき、合計6トラックの録音が可能です。
現場で「とりあえずまとめて聴きたい」ときにはステレオミックスを、細かい編集をしたいときは個別トラックを…という使い分けができます。
ポッドキャスト番組にも
ロケで使う用途に向いているように見えますが、スタジオ運営にもバッテリー駆動できるレコーダーや録音システムは音そのものをよくするため最適です。
4chあれば、ゲストを迎えた対談番組には最高です。
音質は!?
TASCAM FR-AV4は同社の Ultra HDDA マイクプリアンプと、dual A/D コンバーター構成、そして 32ビットフロート録音の組み合わせにより、133dB を超える広いダイナミックレンジが実現されているようです。
筆者がタスカム史の中でもかなり好きな機種にDR-100MKIIIがありますが、この世代あたりから高性能な A/D 変換器を搭載していたという記述はあります。
振り返ってみればこの時期からタスカムのレコーダーは確固たる音質の確立が完成していたように感じます。
映像制作者に嬉しい同期機能
映像と音声を合わせるのが面倒…という悩みもFR-AV4なら解決。
昨今のフラッグシップ機ではこれまた32bit同様当たり前になってきたタイムコードジェネレーターを本体に内蔵しています。
- HDMI Sync機能:対応カメラと連動し、録画ボタンと同時に録音をスタート/ストップ。
- タイムコードジェネレーター:外部機器や他レコーダーと正確に同期。
- Bluetooth同期(オプション):TASCAM AK-BT2を装着すれば、アプリや対応機器とワイヤレス同期。
映像制作でありがちな「音がずれる」問題を大幅に減らせるのは大きなメリットです。
FIXでの収録なら、録音も映像も一人ですべてこなすというのも簡単な時代になりました。
操作性と便利機能
- 1.9インチカラー液晶タッチパネルとジョグホイールで直感操作。
- スマホリモコン対応(専用アプリ「TASCAM RECORDER CONNECT」)
- オートファイルセーブ:20秒ごとに録音データを自動保存。
- ローカット、EQ、リミッター、ノイズゲートなどのエフェクト内蔵。
初心者でも安心して使えるだけでなく、プロ仕様の細かな調整も可能です。
自然界や野生動物の録音も
別売のBluetooth®アダプター『AK-BT2』を使用すればワイヤレス対応のヘッドホンやスピーカーでモニタリングが可能です。ヘッドホン出力とBluetooth出力は、個別に音量が調整できるため、複数人でのモニタリングにも柔軟に対応します。
電源と拡張性
- 単三電池4本(専用バッテリーホルダーBH-4AA)
- USBバスパワー駆動
- ACアダプター(オプション)
また、USB-C接続で6イン2アウトのオーディオインターフェースとしてPCやスマホと連携できる点も魅力。
スタジオ運営でもバッテリー駆動は良質な音を収録する上では重要になってきますから、これ一台で、ロケやセッション収録、ライブ収録、スタジオ運営まで「フィールドレコーダー」+「オーディオI/O」という二役をこなせるので、宅録や配信環境でも活躍します。
まとめ
TASCAM FR-AV4は、
- 32bitフロート録音で失敗知らず
- 4ch入力+6トラック録音で柔軟な収録
- 映像制作に強いタイムコード&HDMI連携
- 現場を支える頑丈な筐体と便利機能
を兼ね備えた、まさに「録り逃せない瞬間を確実に捉える」ための一台です。
最後に個人的にこれがあれば・・・というのが、デジタルイン。
DR-100MKIIIにはデジタルインがついていたんですが、最近のモデルではデジタルイン搭載機は本当に少なくなりました。
デジタルインが必要な方はUS-366など中古で安く手に入りますので探してみてもいいかもしれませんね。
| 発売年 | 製品名 | デジタル入力の種類(要約) |
|---|---|---|
| 2005 | HD-P2(ポータブル・ステレオレコーダー) | S/PDIF(COAX)デジタル入出力 |
| 2009 | HS-P82(8トラック・プロフィールドレコーダー) | AES/EBU(DB-25)8ch デジタル入力 |
| 2010 | US-1800(USB 2.0 オーディオI/F) | S/PDIF(COAX)デジタル入力 |
| 2013 | US-366(USB 2.0 オーディオI/F) | S/PDIF(COAX / OPTICAL)デジタル入力 |
| 2013 | DA-3000(ステレオ・マスターレコーダー/ADDA) | AES/EBU(XLR)および S/PDIF(COAX)デジタル入力 |
| 2014 | UH-7000(HDIA Mic Pre / USB I/F) | AES/EBU(XLR)デジタル入力(S/PDIF信号形式にも対応) |
| 2015 | DR-680MKII(8トラック・フィールドレコーダー) | Digital/Sync IN(S/PDIF または AES3 対応) |
| 2015 | US-20×20 “Celesonic”(USB 3.0 オーディオI/F) | S/PDIF(COAX)+ ADAT/S-MUX(OPTICAL)デジタル入力 |
| 2016 | DR-100MKIII(ハンドヘルド・レコーダー) | 3.5mmミニのデジタル入力(AES/EBUおよび S/PDIF 対応) |
| 2019 | SERIES 102i(USB オーディオI/F) | ADAT/S-MUX(OPTICAL)デジタル入力 |
| 2019 | SERIES 208i(USB オーディオI/F) | ADAT/S-MUX(OPTICAL)デジタル入力(拡張用) |
TASCAM FR-AV4 、価格はやや高めですが、安心感や機能を考えれば納得のスペック。
フィールド録音や映像制作をワンランクアップさせたい方に強くおすすめできるレコーダーです。