【永久保存版】マイクの設置方法〜右?左?すべて解決します
この記事の目次
2024年11月より、当スタジオではオリジナルマイクの発売を記念して、マイクセッティングの方法について徹底解説していきます。
当スタジオで取り扱っているマイクが無指向性マイクとなっているため、無指向性マイクのセッティングが特に詳しく書かれています。
それでは行きましょう!
この記事を担当:こうたろう
1986年生まれ
音大卒業後日本、スウェーデン、ドイツにて音楽活動
ドイツで「ピアノとコントラバスのためのソナタ」をリリースし、ステファン・デザイアーからマルチマイクREC技術を学び帰国
金田式DC録音のスタジオにて音響学を学ぶ
独立後芸術工房Pinocoaを結成しアルゼンチンタンゴ音楽を専門にプロデュース
その後写真・映像スタジオで音響担当を経験し、写真を学ぶ
現在はヒーリングサウンド専門の音楽ブランド[Curanz Sounds]を立ち上げ、ピアニスト, 音響エンジニア, マルチメディアクリエーターとして活動中
当サイトでは音響エンジニアとしての経験、写真スタジオで学んだ経験を活かし、制作機材の解説や紹介をしています。
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【さらなる専門家の監修】録音エンジニア:五島昭彦
学生時代に金田明彦氏に弟子入り。
ワンポイント録音の魅力に取り憑かれ、Panasonic半導体部門を経て、退職後金田式DC録音の専門スタジオ:タイムマシンレコードを設立。
ジャズは北欧系アーティストを中心に様々な美しい旋律を録音。
クラシック関係は国内外の様々なアーティストのレコーディングを担当しており、民族音楽にも精通。
現在は金田式DC録音のDSDレコーディングを中心にアコースティック楽器の収録を軸に活動中。
世界で唯一、金田明彦氏直系の弟子であり、金田明彦氏自らが手がけた金田式DC録音システムを使用している。
まず押さえたい基本のマイク設置
録音の質を左右するマイク設置の基本は、音源との距離、角度、そして目的に応じたポジションの選定です。
右、左、1、2、マルチトラック、どこに何を配置するのか?いまいちよくわかっていない方は、ここをしっかりとまずは把握してください。
マイクバーへの設置
マイクバーを使用して「赤(右)」「黒(左)」のマイクを正確に配置し、L(左)とR(右)端子を経由してレコーダーに送信する方法について詳しく解説します。
ケーブルには赤と白のケースもありますが、いずれも赤が右であると仮定して問題ありません。
- 赤いマイク(右):
- マイクバーの右側に設置。
- 黒いまたは白マイク(左):
- マイクバーの左側に設置。
配線の接続(L/R端子への送信)
各マイクからケーブルを引く
- 赤い(右側)マイク:
- 赤いマイクの出力端子からケーブルを引き、レコーダーの「R(Right)」端子に接続。
- ケーブルには色分けされた赤いタグやマークを付けて管理しやすくします。
- 黒い(左側)マイク:
- 黒いマイクの出力端子からケーブルを引き、レコーダーの「L(Left)」端子に接続。
- ケーブルには黒いタグやマークを付けて管理。
ケーブルの種類
ケーブル名 | バランス/アンバランス | 役割 | 用途 |
---|---|---|---|
ミニXLR | バランス | コンパクトなXLRコネクタで、プロ用の小型機器に使用 | ラベリアマイクや小型オーディオ機器 |
XLR | バランス | プロ用のバランス接続ケーブルで、ノイズ耐性が高い | マイク、スタジオモニター、PAシステム |
TRS (ステレオフォン) | バランス | バランス接続やステレオ信号の伝送 | ヘッドホン、楽器、オーディオインターフェース |
TS (モノラルフォン) | アンバランス | モノラル信号を伝送 | エレキギター、ベース |
ステレオミニジャック (3.5mm) | アンバランス | ステレオ信号をコンパクトに伝送 | スマートフォン、ポータブルデバイス |
RCA (ピンプラグ) | アンバランス | アナログ信号の伝送、左右独立のケーブル | AV機器、オーディオアンプ |
光デジタルケーブル (TOSLINK) | デジタル信号 | デジタル音声信号の光伝送 | ホームシアター、オーディオプロセッサー |
基本的にマイクロフォンを使った録音にははミニXLR, XLR、そしてステレオミニジャックを使います。
興味のある方は是非チェックしてみてくださいね!
レコーダーへの接続方法
レコーダーのL/R入力端子を確認
- R(Right)端子:
- 赤いマイクのケーブルを接続。
- 注意: ステレオ録音時は必ず右のマイク信号をこの端子に送る。
- L(Left)端子:
- 黒いマイクのケーブルを接続。
- 注意: ステレオ録音時は必ず左のマイク信号をこの端子に送る。
トラブル防止のポイント
位相のズレに注意
- マイクバーにマイクを正しく設置し、対称的に配置することで位相ズレを防止します。
- レコーダーで録音した後、ヘッドホンで左右のバランスをチェック。
ノイズ対策
- ケーブルはきつく引っ張らず、適度な余裕を持たせて敷設。
- ケーブルがクロスしないよう注意し、ノイズの干渉を最小化。
マーカーで色分け
- ケーブルやコネクタに赤と黒のマーカーを付けて、接続ミスを防ぎます。
できれば、ケーブルごと色分けしてわかりやすくしておくといいですね。
シンプルなステレオ録音であれば、そこまでややこしくならないですが、たくさんのステレオペアだったり、マルチマイク録音の場合は、下準備からずぼらせずにしっかりセッティングすることで、複雑なミスを防ぐことにつながります。
マイクバーと配線図
無指向性マイクを使用するセッティング方法
【超重要です】AB方式
- 概要: 2本の無指向性マイクを一定の距離(一般的に30cm〜50cm)で平行に配置し、音場の広がりを自然に捉える方式です。
- 誕生時期・開発者: 具体的な誕生時期や開発者に関する情報は明確ではありませんが、ステレオ録音技術の初期から使用されている手法です。
- 用途: オーケストラや環境音の録音に適しています。
このAB方式を当スタジオでは採用しており、当スタジオのオリジナルマイクは無指向性マイクとなっているため、このAB方式を採用しています。
非常にシンプルなセッティング方式でありながら、録音するジャンルや対象また、現場の反響音などによっても感覚を微調整しながらセッティングすると驚くほど音質が変わってくるため、奥深いセッティング方式であると言えます。
指向性マイクのセッティングとは違い、しっかりと現場でモニターしながらセッティングする必要があるため難易度は高め。
【オーケストラ・大編成ホール収録】Decca Tree方式
Decca Tree方式は、1950年代にイギリスのDecca Recordsの技術者が開発したマイクセッティング方法で、クラシック音楽の録音で広く使用されています。この方式の主な特徴は、1つの中央マイク(モノラル)と2つのステレオマイクを組み合わせて立体的な音場を作り出すことです。
- 概要: 3本の無指向性マイクをT字型に配置し、音場の立体感と定位感を両立させる方式です。
- 誕生時期・開発者: 1950年代にイギリスのDecca Recordsの技術者によって開発されました。
- 用途: オーケストラや大規模アンサンブルの録音に適しています。
- 中央マイク(モノラル):
- モノラル信号を収録する目的で、音源の真正面に設置されます。
- 音場の中心(フォーカス)を強調する役割を持ちます。
- 左右のマイク(ステレオペア):
- 無指向性マイクが左右に配置され、音源全体の広がりを収録します。
- 通常、左右のマイクは約2メートル離して配置されます。
- 高さと前後の配置:
- 中央マイクは、左右のステレオマイクよりも1.5m程度前方に配置されます。
- マイク全体の高さは、オーケストラ全体を見渡せる位置に設定されます。
また、AB方式にも言えることですが、Decca Tree方式にも応用技術として様々なセッティングを付加させていくことが可能です。
補助マイクを使用して、特定の楽器セクション(弦楽器や金管楽器など)を補強する場合があったり、無指向性マイクの代わりに、指向性マイク(カーディオイド)を使うこともあります。
これにより、環境音が多い場所でも音源にフォーカスできるため、状況に応じて使い分ける能力が求められます。
【アコースティック・自然界の収録】Jecklin Disk方式
Jecklin Disk方式は、スイスの音響技術者 Jürg Jecklin によって1980年代に開発された録音手法で、2本の無指向性マイクを特定の間隔で配置し、その間に吸音性のディスクを挟む方式です。
この手法は、ステレオ録音において自然な定位感と音場の広がりを得るために設計されています。
- 無指向性マイクを2本使用します。
- マイクの間隔は 16.5cm(人間の耳の間隔に基づく)。
- 吸音性ディスク(直径30cm程度)をマイクの間に配置し、音の遮蔽効果を作ります。
吸音性の高いディスクを挟むことによって無指向性のみの配置では得られない定位感を得られたり、混ざってしまう周波数のバランスを整えるために使われます。
セッティング方法はAB方式とは違い、左右のカプセル間を 16.5cm 離して設置します。
次に吸音性素材(スポンジやフェルトなど)で作られた直径30cmのディスクを、マイクの間に垂直に配置します。
ディスクはマイクカプセルの高さと同じ位置に設置するようにしてください。
- 左右の音差を強調:
- ディスクが音波を遮ることで、左右のマイクが異なる音響情報を拾います。
- この音の違いにより、ステレオイメージが自然に形成されます。
- 無指向性マイクの効果:
- 無指向性マイクは周囲からの音を均等に拾うため、反響音や背景音も豊かに録音できます。
- 定位感と広がり:
- 左右マイクの距離(16.5cm)とディスクの効果により、リスナーにとって自然な定位感と音場の広がりを提供します。
- ステレオイメージの調整:
- 左右のマイクから得た信号をパンで振り分け、ステレオイメージを調整します。
- 周波数バランスの確認:
- ディスクによる高周波減衰を補正するために、必要に応じてEQ(イコライザー)で調整します。
専用の吸音装置があるわけではないので、DIYで自作してください。
ただし、吸音度合いやセッティングの状況を微調整しないとイメージ通りにはならないので、何度も試行錯誤しながら最適なポイントを見つけていきましょう。
指向性マイクを使用するセッティング方法
指向性マイクの場合は、ある程度鳴ってくる音が決まってくるため現場でのモニターは無指向性マイクよりも厳密でなくても構いません。
【高い汎用性】XY方式
XY方式は、2本の単一指向性マイクをクロスする形で配置するステレオ録音方式です。位相のずれを回避しつつ、正確なステレオイメージを作り出すことができるため、広く利用されています。
また、セッティングが非常にコンパクトになることから、これまで多くのハンディレコーダーで採用してれきた方式でした。
- 概要: 2本の単一指向性マイクを90度〜120度の角度で交差させて配置し、位相の問題を回避しつつステレオイメージを得る方式です。
- 誕生時期・開発者: 具体的な誕生時期や開発者に関する情報は明確ではありませんが、ステレオ録音技術の発展とともに広まった手法です。
- 用途: アコースティック楽器や小規模アンサンブルの録音に適しています。
この方式は当スタジオの音響顧問である五島先生も以前は積極的に採用していた方式であり、金田式DCマイクの最初期の頃はXY方式が主流だったそうです。
ステージに向けて上手くセッティングできたときは、拍手が後ろから聞こえたりと、かなり特殊な効果が得られることもあるようで、使い方次第では化ける可能性のあるマイクセッティング方式であると言えます。
【アコースティック・古楽】ORTF方式
ORTF方式(Office de Radiodiffusion Télévision Française)は、フランスの国営放送局によって開発されたステレオ録音方式で、人間の耳の位置を模倣する配置が特徴です。
この方式でも左右のマイク接続は基本的な規則に従いますが、配置特性によって確認が重要です。
- 概要: フランスの国営放送局ORTF(Office de Radiodiffusion Télévision Française)が開発した方式で、2本の単一指向性マイクを17cm(人間の耳の間隔に基づく)の間隔、110度の角度で配置します。
- 誕生時期・開発者: 1960年代にORTFの技術者によって開発されました。
- 用途: 室内楽やアンサンブルの録音に適しています。
この17cmと、110度というのは非常に重要な項目となっており、わずかでもずれると定位感などが損なわれてしまいます。
【高い汎用性】NOS方式
- 概要: オランダ放送協会(Nederlandse Omroep Stichting)が開発した方式で、2本の単一指向性マイクを30cmの間隔、90度の角度で配置します。
- 誕生時期・開発者: 1960年代にNOSの技術者によって開発されました。
- 用途: ライブ録音や室内楽の録音に適しています。
【自主映画・ライブ収録】MS方式(Mid-Side方式)
- 概要: 1本の単一指向性マイク(Mid)と1本の双指向性マイク(Side)を組み合わせ、録音後にステレオ信号を生成する方式です。
- 誕生時期・開発者: 1950年代にイギリスの音響技術者アラン・ブラムライン(Alan Blumlein)によって提案されました。
- 用途: 映画音響やライブ録音に適しています。
5. Blumlein方式
- 概要: 2本の双指向性マイクを90度で交差させて配置し、360度の音場を立体的に捉える方式です。
- 誕生時期・開発者: 1930年代にアラン・ブラムライン(Alan Blumlein)によって開発されました。
- 用途: オーケストラや室内楽の録音に適しています。
特殊なセッティング方式
【コンテンツ制作】Binaural(バイノーラル録音・無指向性)
バイノーラル録音は、人間の頭部形状を模したダミーヘッドを使用し、実際に耳で聴いたような臨場感を録音する方法です。
一般的にはノイマンのダミーヘッドがもっとも有名です。
当スタジオでもバイノーラルマイクを自作しようと試みたことがありましたが、見事失敗に終わっています。
非常に複雑な音響特性が必要であり、やはり人間の頭、アーチ状の型が必要なわけであります。
ノイマンのダミーヘッドを買うと、100万円を超えますが、人間は無料です。
自分の耳に入れてバイノーラル録音をするのは非常に簡単で、市販のマイクではローランドのバイノーラルマイクが最も安くて音がいいです。
ちなみにローランドのバイノーラルマイクは当スタジオのオリジナルマイクのタイプA同様プラグインパワータイプとなっていますので、注意してください。
プラグインパワー対応のレコーダーでないと録音できません。
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【自然・環境音】Spaced Pair(スペースドペア方式・無指向性)
Spaced Pair方式は、2本の無指向性マイクを一定の距離を空けて平行に配置する録音方式です。
音場の広がりや立体感を強調する録音が可能ですが、位相ズレのリスクも伴います。
この方式は、オーケストラや環境音録音など、音源の広がりを表現する際に適しています。
AB方式とは違い、2mというマイク同士の幅が特徴です。
音源の中心部分に向けてセッティングするように心がけてください。
環境音や自然界の音、静かなオーケストラなどで使われます。
【ホールでの収録】Faulkner Array(フォークナーアレイ方式・双指向性)
フォークナーアレイは、双指向性マイクを平行に配置して自然なステレオイメージを得る方法です。
- マイクの種類:
- 双指向性マイク2本。
- 配置:
- 20cmの間隔を保って平行に配置。
- マイクは音源に向けて平行に設置。
- 高さ:
- 音源の中心の高さに合わせる。
- 注意点:
- 距離感を調整するために適切なマイク位置を確認。
用途
- クラシック音楽録音
- アコースティック楽器録音
- ホール録音
録音の仕組み
マイクロフォンによる録音には大きく分けてモノラルとステレオがあります。
マイクが一本だけの状態をモノラル収録。
昭和時代は多くの放送局でモノラル収録が常識となっていました。
それは視聴者がモノラルで視聴するのが前提としてあったからです。
また、モノラル2トラック収録にてパンを左右に振り分けてステレオ感を演出する非ステレオペアステレオ収録が古くに存在していました。
現在ではステレオペアとして、ステレオ録音が可能となっています。
録音方式をミックスする
上記で挙げてきた録音方式はミックスして使うことができます。
例えばこちらの音源。
さて、こちらの音源は大阪のフェニックスホールにて、アルゼンチンタンゴバンドの録音をしたときのもの。
こちらの録音はAB方式の2パターンのステレオペアをミックスしています。
一つはゼンハイザーのMKE-2。
もう一つが、Kotaro StudioのオリジナルマイクタイプEになります。
ゼンハイザーをバンドネオンの近くに全体を収録するものとしてセッティングし、タイプEのマイクをバイオリンとピアノの音響をピックアップするためにセットしています。
こうすることで、通常埋もれてしまうバイオリンのピッツィカートや、ピアノとバイオリンが一番旨みある混ざり方をする美味しい部分を収録でき、それらの特性を後からミックスするというやり方をとっています。
また、コントラバス奏者には、音響特性にうまくはまるように少し立ち位置を動いてもらっています。
もちろんこちらは本番前のリハーサル音源ですので、「今だけ少しお願いします」と頼んでいたわけです。
もちろん、AB方式をベースとして、指向性マイクのモノラルを複数ミックスしていく方式や、XYでミックするする、ピアノだけ指向性の方式で足していく、様々な方式が考えられます。
これを臨機応変に現場で変えていく、そして録音戦略を立てるということが録音エンジニアに最も求められる能力であると言えます。
組み合わせ | 特徴 | 用途 | 注意点 |
---|---|---|---|
Decca Tree + AB方式 | 定位感の強い中央音像(Decca Tree)と、空間の広がり(AB方式)を両立。 | オーケストラ録音、大規模なアンサンブル。 | 位相ズレを防ぐため、慎重にマイク配置を調整する必要がある。 |
ORTF + XY方式 | ORTFの自然な音場と、XYのタイトな定位を組み合わせる。 | 室内楽、アンサンブル録音。 | ミックス時にバランスを調整し、両者の特徴を引き出す。 |
Spaced Pair + Jecklin Disk | 広がりのある音場(Spaced Pair)と明確な中心定位(Jecklin Disk)。 | フィールドレコーディング、環境音の録音。 | ディスクの配置がズレると定位が不自然になる。 |
MS方式 + ORTF方式 | 編集の柔軟性(MS方式)と、自然なステレオイメージ(ORTF方式)。 | 映画音響、ポストプロダクション。 | MS方式のデコード作業が必要で、編集がやや複雑。 |
Blumlein + Binaural方式 | 360度の音場(Blumlein)と立体的な定位感(Binaural方式)。 | ASMR、VRコンテンツ制作。 | 位相関係が複雑になりやすい。 |
方式のミックス方法
ZOOMのF6、F8などを使うと、例えばF8では、ステレオペアチャンネルは、4つできます。
これらは収録する時点でモニターヘッドホンを使い、しっかりと周波数、音場、そして反響などを把握する必要があります。
ちなみに自然界の収録だからどこでも置いていいよね?という発想は大きな間違いにつながります。
なぜなら、自然界の収録というのは実際にしっかりとモニターしてみるとわかりますが、実はコンサートホールよりもはるかに複雑な反響特性を持っているのです。
指向性の場合は音源を探すニュアンスで、無指向性マイクの場合は、交差する周波数を探すニュアンスです。
いずれも音場の状況をしっかりと捉えないとあとからEQを触らなければいけなくなり、加えて音声加工までしなければいけなくなります。
そうなると、その録音は失敗。
ここは非常に考え方の問題になるわけです。
いい録音とはなにか?
これはいい写真とは何か?とも言えるわけですが、デジタル加工ソフトにて加工しなければいけないものというのは当スタジオでは基本的に失敗であると考えています。
ありのままを感じられる制作、コンテンツ、ありのままがあるからこそ、シークエンスが存在します。
シークエンスが存在しないコンテンツから芸術性は発生、そして派生しないと個人的には考えています。
なので、録音で最も大切なこと、それは、現場のストーリーとシークエンス、そして現場の音場というわけなのです。