【マイク音質チェック #01】Audio-Technica AT4050 レビュー|3パターン指向性コンデンサーマイクの実力を検証
この記事の目次

本記事は、プロ録音エンジニア視点でスタジオ用マイクの音質をチェックしていく
「マイク音質チェック」シリーズの第1回目。
録音エンジニア視点で、買い、検討、他の選択肢ありの三つの結論でまとめていきます。
今回取り上げるのは、Audio-Technica(オーディオテクニカ)の
マルチパターン・コンデンサーマイク 「AT4050」。
結論:このマイクは買い!
これからスタジオ用の1本目を選びたい方や、
すでにAT4050を持っていて「他のマイクとどう使い分けよう?」と悩んでいる方の
ヒントになれば幸いです。
製品スペック
まずは、Audio-Technica AT4050 の基本スペックを一覧で整理しておきます。
詳細なサウンドインプレッションに入る前に、ざっくりと「どういうマイクか」を掴んでおきましょう。
※数値はメーカー公式スペックをもとにしています(執筆時点)。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| メーカー | Audio-Technica(オーディオテクニカ) |
| 型番 | AT4050 |
| 種類 | ラージダイアフラム・コンデンサーマイク(サイドアドレス) |
| 指向性 | 無指向(Omni)/単一指向(Cardioid)/双指向(Figure-8) |
| 周波数特性 | 20 Hz 〜 18 kHz |
| 最大音圧レベル | 149 dB SPL(パッドON時 159 dB SPL, 1kHz, 0.5% THD) |
| パッド | -10 dB |
| ローカットフィルタ | 80 Hz, 12 dB/oct(ハイパスフィルタ) |
| 電源 | ファンタム電源 DC 48 V |
| 出力コネクタ | XLR3ピン(オス) |
AT4050は、3パターンの指向性を切り替えられるスタジオ向けラージダイアフラムマイクです。
1本でボーカルから楽器、アンビエンス収録まで広く対応できる「ワークホース」ポジションのモデルと言えます。
製品の歴史
1990年代に登場したAT40シリーズのマルチパターンモデル
- 1990年代前半、オーディオテクニカはスタジオ向けコンデンサーマイクとして AT40シリーズ を展開。
なかでも AT4033 は「手頃な価格のラージダイアフラム・コンデンサーマイク」として大きな評価を受けました。 - その上位機種として登場したのが AT4050 で、
当時としては手の届きやすい価格帯で マルチパターン対応の本格スタジオマイク を実現したモデルです。
資料によって発表年に多少の揺れはありますが、
1994〜1995年ごろに登場したAT40シリーズのフラッグシップ的存在と考えてよいでしょう。
発売から25年以上経った現在でもラインナップに残り続けている、稀有なモデルのひとつです。
「ビンテージ真空管マイクのような濃いキャラクター」ではなく、
クリーンで現代的なスタジオサウンドを志向したマイクとして、世界中のエンジニアに愛用されています。
マルチパターン・ラージダイアフラムという性格から、スタジオの “最初の本格マイク” や “何でも録れる1本” として導入されるケースも多いです。
録音エンジニア視点
実はこのマイクは当スタジオの音響顧問、五島昭彦先生から紹介されたものでした。
ノイマンのKM184の代替案としてあり!という声で興味を持っていろいろ試聴してみましたが、確かに素晴らしいものがあります。
オーディオテクニカは日本の老舗ブランドですのでその名前に恥じない素晴らしいフラッグシップマイクです。
ここからYoutubeでアップされているAT4050の音を一緒にチェックしていきましょう。
YouTubeでの試聴
当スタジオマイクとの比較
このAT4050はかなり音がいい。
当スタジオの音響顧問である五島昭彦氏も、KM184と比較できるほどであると評価しており、ステレオで用意して20万円を切るのであれば素晴らしい投資になります。
一方でこういった大口径タイプの指向性切り替えモデルというのは、なんとなく持て余してしまう感を感じることも多いのではないでしょうか。
個人的にはこの指向性切り替えタイプは好きじゃなくて、カプセル交換式なら好き、いやこれはもう完全に好みの話であります。
実際例えばルイットの640などは、無指向性の音も確かにルイットであり、素晴らしいマイクですが、大口径は指向性しか使わないというかたにとっては、540モデルでよかったりします。
当スタジオのマイクは無指向性ラベリアマイクですので、もし無指向性としてこのAT4050を使うのであればぜひ一度当スタジオのラベリアマイク:X-86Sも試聴してみてほしいと思うわけです。
無指向性ステレオペア、選べる2モデル
同じ音作りの思想から生まれた P-86S(プラグインパワー)と X-86S(mini XLR)
「どちらを買えばいいか」で迷わず、接続方法で選べます
P-86S (プラグインパワー版)
鳥の声、川のせせらぎ、街の空気感、日常の音をまるで映画のように
フィールドレコーディングとしての性能はもちろん、ピアノ録音、オーケストラや合唱、吹奏楽などの大編成、ポッドキャストやASMRまで、無指向性マイクで録れる録音のすべてで
高いクオリティーを提供
- プラグインパワー対応のレコーダーに線一本で簡単接続
- 自然で包み込むような無指向性ステレオ
- 初心者から音にこだわる上級者まで
X-86S (mini XLR)
ホールの響き、アンサンブルの立体感、弱音のニュアンスまで
mini XLR 接続で安定した録音環境を組みたい方のための究極の無指向性ペア
当スタジオでDPAやSCHOEPSなどの市販品最高級マイクと何度もブラインド比較して制作した自慢のマイクです
- mini XLR 経由での安定した接続とノイズ耐性
- 合唱・オーケストラ・吹奏楽・ピアノに最適
- ライブハウスやスタジオ運営、プロの録音エンジニアの現場に即戦力
まとめ
最後に、Audio-Technica AT4050 のポイントをシンプルにまとめておきます。
- 3パターン指向性で「1本3役」のラージダイアフラムコンデンサーマイク
→ ボーカル、楽器、アンビエンスまで幅広くカバーできる柔軟性。 - クリーンでモダンなサウンド傾向
→ 色付けが強すぎず、EQやコンプでの作り込みがしやすい印象。 - 高音圧にも耐えられる設計
→ ドラムやギターアンプなどのラウドなソースでも安心して使える。
「ビンテージ系の濃いキャラクターが欲しい」というよりは、
“安定して使える現代的なスタジオ定番マイク” を探している方に向いた1本だと思います。
マイク選びに絶対的な正解はありませんが、
本記事が AT4050 を検討している方の判断材料になれば嬉しいです。
今後も「マイク音質チェック」シリーズでは、
当スタジオで実際に使用しているマイクを中心に、
スペック・歴史・特徴・試聴・比較 を同じフォーマットでレビューしていきます。
気になるマイクがあれば、ぜひコメントなどで教えてください。
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