【公式】X-86S (Mini-XLR) スタートアップガイド|プロ仕様の接続術
X-86S セットアップガイド
Mini-XLR端子を採用したプロフェッショナルモデル「X-86S」の導入手順です。
正しい電源供給を行うことで、無指向性マイクの頂点とも言える音質を実現します。
必須:ファンタム電源変換アダプター
X-86Sを一般的なXLR端子(ミキサーやI/F)で使用するには、電圧を変換するアダプターが不可欠です。
現在、信頼できる選択肢は以下の2つのみです。
まずは音を出してみたい、コストを抑えたいという方はこちらをお選びください。
筆者の経験上、このアダプターを通した音は別格です。
回路の質が圧倒的に高く、X-86Sのポテンシャルを100%引き出し、クリアで深みのある「真実の音」を奏でます。
(他社製品のように2本買う必要はありません)
そのため、変換アダプター(CEMPW100 または MPA VL)は「2個」必要になります。
【警告】形状だけの変換プラグは絶対NG!
Amazonなどで「ミニXLRからXLRに形状だけ変換する」数百円のプラグが販売されていますが、これらは絶対に使用しないでください。
電圧変換回路が入っていない安価なプラグで形状だけ変換接続し、48Vファンタム電源をかけると、一瞬でマイクが焼損(故障)します。
必ず、電圧変換機能を持った正規のアダプター(上記2機種のいずれか)をご使用ください。
X-86Sの運用を支える周辺機材
AKGのアダプターで引き出した「極上の音」を、物理的な振動ノイズで汚さないために。
当スタジオの現場で実際に使用している、プロ仕様のスタンドやアクセサリーをご紹介します。
ステレオバー(マイクバー)
剛性が高く、微細な振動をしっかり抑えるため、安価な製品とは「音の締まり」が違います。
通常はこれ一本でOKです。
マイク間隔を広げることで、より壮大なステレオイメージを作ることができます。
マイクスタンド
ベース部分に鉄板が入っており、その重量で床からの振動をシャットアウトします。
圧倒的に音が良くなる、プロの定番です。
便利ツール
スタンドのポールに取り付けて、レコーダーやマイクバーを増設できます。
音響だけでなく日常生活でも「痒い所に手が届く」万能ツール。
応用セッティング・メソッド
AB方式のセッティングは一般的には30cm〜50cmが基本とされていますが、これは30cm以下だと音の到達時間差が少なすぎ、十分なステレオ感(広がり)が得られないためです。
逆に、距離を縮めすぎるとお互いの周波数領域が干渉し合い、位相の悪い音になってしまいます。まずは30cm以上離すことを基本ルールとしてください。
「正解」はありません
40cmが最適という人もいれば、自然界の収録では1m以上離すこともあります。
また、筆者は個人的にリバーブの強い場所、例えば西洋式の教会等は幅を大きめに取りますし、天井の高い場所などでは60cmが最適だったこともあります。
特にX-86Sを選択される方の場合、他のマイクロフォンとのマルチ録音も視野に入れておられると思います。
例えば指向性マイクと混ぜる場合など、最適な幅はステレオペア録音の時と大きく変わることもよくあることですので、何度もテストしてご自身の音を見つけてみてください。
決まりがないからこそ面白く、エンジニアの感性が試される部分です。
ピアノ録音における具体的なマイキングメソッドについては、noteにて詳しく解説していますのでぜひ参照してください。
当スタジオのX-86SやP-86Sを使えば、ピアノソロ作品としてアルバムリリースしても恥ずかしくない素晴らしい音響で録音できます。
30cm以上の間隔さえ守れば、P-86Sは机や床に直接テープで貼り付けても使用可能です。
これは「バウンダリーマイク」と呼ばれる手法で、床や壁からの反射音を排除し、クリアな音を録ることができるテクニックです。
舞台演劇や会議の録音などでよく使われますが、先端を少し浮かせるなどの工夫が必要です。
ドキュメンタリー制作:インタビュー音声の録音方法
もちろん、自宅のデスクに貼り付けて録音することも可能です。
ただし、足元の安定性は音質に直結します。
グラつく机よりも、どっしりとした場所に設置するのが理想です。
もし卓上で最高の音質を目指すなら、鉄製の重量級スタンド「K&M 232B」の使用を強く推奨します。
これは無指向性はもちろんですが、指向性の大口径マイクでポッドキャストの収録をする際などにも便利で、振動を逃さず、音の芯が太くなります。
特殊な応用例として、P-86S同様メガネのテンプル(つる)の両端に装着する方法もあります。
左右の間隔は頭の幅(約15cm〜20cm)に限定されますが、頭のアーチである程度ステレオ感を稼ぐこともでき、また耳に近い部分にセットすることで、バイノーラルマイクのような音響効果が期待できます。
マイクスタンド不要で「自分の聴いている音」をそのままバイノーラル風に記録できますので、軽装で臨みたいロケなどに最適です。
旅の記録や、街の環境音をステルス録音したい場合に最適な、超軽装備スタイルです。
【ジャーナリストにおすすめ】メガネマイクの魅力と設営方法
プロユーザー向け技術情報:位相について
X-86S同士でのステレオペア録音では全く問題ありませんが、他の「正相」のマイクと混ぜて使用する場合(マルチマイク収録時)は、位相干渉による低域の減衰などが起こる可能性があります。
DAWや波形編集ソフトで簡単に「正相」に戻すことができますので、マルチマイク運用の際は以下の記事をご参照ください。
屋外録音の必需品
屋外では微風であっても、マイクにとっては「暴風」のようなノイズ(ボボボ…という音)になります。
外で録音する際は、必ずウインドスクリーン(風防)を装着してください。
X-86Sには、以下のサイズのものが適合します。
これを装着するとかなりの暴風でも録音が成功していることも多いです。
マイクを固定する際、先端の金属部分(音の入り口)にテープがかからないようにしてください。
ここが塞がると、高音が録音されなくなったり、音が極端に小さくなったりします。
先端部分には非常に薄く繊細な振動板が入っています。
指で強く押したり、落下させて衝撃を与えると、振動板が変形し、本来の性能を発揮できなくなります。
楽器と同じく丁寧に扱ってください。
X-86Sは無指向性マイクの中でもかなりの実力を持っています。
ステレオペア録音だけでも素晴らしい性能を発揮してくれます。
ライブハウスやスタジオにも導入実績があり、プロ仕様の仕事に耐えることができます。
Kotaro Studio