【2025年最新保存版】DSDからPCMへ変換できるソフトウェア

この記事の目次
ハイレゾ音源が身近になった今、「DSD(Direct Stream Digital)」というワードを耳にしたことがある方も多いでしょう。
音の立ち上がりが鋭く、空気感まで再現するそのクオリティは、まさに“原音に忠実”の代名詞といえます。
しかしDSDは、対応プレーヤーや再生環境に制限があるのが現実です。
そこで登場するのが、より互換性の高いPCM(Pulse Code Modulation)への変換です。
PCMは一般的な機器やスマホでも再生できるため、より身近な存在であると言えるでしょう。
この記事では、2025年現在利用可能な「DSD→PCM変換ソフト」を徹底的に比較・紹介します。
無料ツールから業務用ソフト、またプログラムコードで変換する方法まで、あなたのニーズに合った最適な選択肢が見つかるはずです。

この記事を担当:こうたろう
1986年生まれ
音大卒業後日本、スウェーデン、ドイツにて音楽活動
ドイツで「ピアノとコントラバスのためのソナタ」をリリースし、ステファン・デザイアーからマルチマイクREC技術を学び帰国
金田式DC録音のスタジオにて音響学を学ぶ
独立後芸術工房Pinocoaを結成しアルゼンチンタンゴ音楽を専門にプロデュース
その後写真・映像スタジオで音響担当を経験し、写真を学ぶ
現在はヒーリングサウンド専門の音楽ブランド[Curanz Sounds]を立ち上げ、ピアニスト, 音響エンジニア, マルチメディアクリエーターとして活動中
当サイトでは音響エンジニアとしての経験、写真スタジオで学んだ経験を活かし、制作機材の解説や紹介をしています。
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1. DSDとPCMの違いを簡単におさらい
項目 | DSD | PCM |
---|---|---|
信号方式 | 1bitデルタシグマ | マルチビットパルスコード |
サンプリング周波数 | 2.8〜11.2 MHz以上 | 44.1kHz〜384kHz |
長所 | 超高解像度、滑らか | 編集しやすい、高い互換性 |
短所 | 編集困難、対応機器少 | 高域の表現に限界あり |
DSDの一般的な用途としては、レコードのデジタル化に特化しているとも言えます。
確かに音質の面においてはレコード感覚を感じることができますし、ここからPCMに変換すると、レコードの質感を残したまま音楽を楽しむことができます。
一方で、現状だと民生機だとKORG 10R+オーディオゲートを使うなど機器がかなり限られてきますのでPCMに変換するのが望ましいとも言えます。
2. DSD→PCM変換ソフトを選ぶポイント
- 出力形式の自由度(例:WAV、FLAC、AIFF)
- バッチ処理対応
- サンプリング周波数の指定が可能か
- 無料か有料か、対応OS
- タグ情報・メタデータの保持
3. 最新DSD→PCM変換ソフト 7選【2025年版】
ではここからPCMに変換するソフトを見ていきましょう。
基本的には波形編集ソフトになります。
マスタリングソフトなどでは順次対応していますが、まずはAudioGate。
Audio Gateはマスタリングのソフトとしてほぼ機能していませんが、気軽にDSDを取り扱えるソフトとしては非常に有名です。
ただし、ソフトウェアのみを単品で購入すると1万円以上するので、KORGのDSDコンバーターである10Rの購入がほぼ必須という状況です。(10RはAudio Gateのライセンスがついてきます)
① AudioGate(オーディオゲート) by KORG
- ✅ 無料(KORG製品ユーザー向け)
- ✅ DSD 2.8/5.6/11.2MHz → PCM 96kHz/192kHz 対応
- ✅ DSD再生・変換の定番ソフト
- ❌ UIがやや古め、非KORGユーザーは制限あり
10RはRCAケーブルで出力しますが、音も及第点になっていると感じます。
ただし、ヘッドホンアンプは少し寂しい印象を受ける方もいるかもしれません。
その場合は外付けでヘッドホンアンプをつけることをおすすめしています。
筆者はこのヘッドホンアンプを使っていますが、かなりの水準に達していると言えますので、ほとんどの方におすすめです。
② Sound it! by Internet Co.
- ✅ 商用ソフト(有料:約13,200円〜)
- ✅ 変換前後のレベル調整や波形編集可能
- ✅ Mac/Windows両対応
- ✅ 業務用にも信頼性あり
- ❌ 初心者には操作がやや難しい
Sound itはかなりの老舗だと記憶しています。
筆者が大学生の頃はフリーソフトの定番でしたので、少なくとも20年以上の歴史があるものになります。
昨今はDSDに加えてDDPにも対応しているなど、かなり優秀なソフトになってきています。
③ TASCAM Hi-Res Editor
- ✅ 無料(TASCAMユーザー以外も可)
- ✅ DSD 2.8/5.6MHz 対応 → 96kHz PCMなどに変換
- ✅ 編集機能も簡易的に搭載
- ❌ FLAC未対応、シンプルだが機能制限あり
④ ffmpeg(コマンドライン)
- ✅ 無料、オープンソース
- ✅ カスタム変換設定が可能(例:96kHz 24bit PCM)
- ✅ スクリプトで一括変換対応
- ❌ コマンド知識必須、GUIなし
ffmpegを使ってプログラムを組む方法もありますが、実は細かい部分のコーディネートが必要になることがほとんどのため、固定スタジオでの日常業務用に組むなど特定の状況でしかメリットはないと言えます。
オーディオのより深い知識を学べる当サイトの姉妹サイトであるオーディオアカデミーの記事では、DSDをそのまま視聴するコマンドを紹介していますので、Pythonの基礎知識がある方はこちらも参照してみてください。
⑤ HQPlayer by Signalyst
- ✅ 有料(約3万円〜)
- ✅ 高品質PCM変換(整数倍変換/フィルタ選択あり)
- ✅ DSD up/downsamplingにも対応
- ❌ 設定が非常に複雑
⑥ JRiver Media Center
- ✅ 有料(年間約60ドル)
- ✅ 再生・変換・ライブラリ管理が一体
- ✅ GUIが優れており扱いやすい
- ❌ 音質設定がやや複雑
⑦ dBpoweramp with DSD Codec Plugin
- ✅ 有料(試用あり)
- ✅ 一括変換が高速&簡単
- ✅ メタデータ処理が強力
- ❌ 要プラグイン導入、DSDネイティブ非対応
4. よくある質問(FAQ)
Q1:DSDからPCMに変換すると音質は落ちますか?
→ 理論的には落ちる要素がありますが、高性能ソフトを使えば体感上の劣化はほぼありません。整数倍変換(例:5.6MHz → 176.4kHz)を推奨。
Q2:どの形式に変換するのがベスト?
→ 編集用途ならWAV、アーカイブ用途ならFLACがおすすめ。
Q3:Mac対応ソフトはどれ?
→ Sound it!、AudioGate、JRiverがMac対応です。
5. まとめ
マスタリングソフトとしては有名なサウンドフォージなどは2025年時点ではDSDに未対応となっています。
サウンドフォージはAIやライブラリの機能を充実させる方向に持っていっているので、より一般的な用途に特化していると言えるでしょう。
実際音楽配信やレーベル運営において、DSDが必須か?と言われればどちらかといえばレーベル運営にとってはDDPの方が必須だったりするのも事実。
ただし、DSDでの配信やダウンロードデータなども今後増えていくことが予想されますし、コンテンツを楽しむ一つのフォーマットとして取り扱いができるとより楽しみが増えますよね。
この記事で紹介した7つのソフトウェアを参考に、ぜひあなたの音楽ライフに最適な一手を見つけてください。