【ベーシックインカム】メリット & デメリット まとめ

※この記事は2020年8月22日に更新されました。

本日は以前から考察していたベーシックインカムについて、それぞれ一般的に言われているメリットとデメリットを客観的にまとめてみたいと思います。

みなさんは賛成派?反対派?

筆者はまだどちらでもない・・・

というわけなので中立にまとめていけるように頑張りたいと思います。

中立で構成するためにも、それぞれメリットとデメリットに対となる意見を絞り出して考察してみたいと思います。

ちなみに参考資料としてこちらの書籍を参考にさせていただいています。

こちらは大の読書家としても有名なビルゲイツ氏の2020年夏のおすすめ本として人気の本です。

経済学者というのは、主観的な意見を述べる人が多い印象で、基本的には信用していませんでしたが、本書は淡々とデータを分析してくれていますので、非常に読みやすくまた偏った思想にならないので、安全に読み進めることができました。

なぜベーシックインカムが議論されるのか?

テクノロジーの最先端を走る米国のシリコンバレーではベーシックインカムの導入に賛成派が多数存在しているようです。

ポイント

自分たちの開発した人工知能やその他のテクノロジーが生身の人間の仕事や雇用を奪ってしまうことを恐れており、シリコンバレーで働くハイテク業界の人たちは、仕事や雇用を奪ってしまうという事実をしっかりと認識しています。

つまり、近年急速にベーシックインカムの導入議論が活発になってきているのは、ずばりテクノロジーの発展も大きな原因の一つだと言えます。

日本でも昭和時代を想像してみると、本当に多くの雇用がテクノロジーによって失われてきました。

例えばふと思いつくだけでもいくつか思いつきませんか?

なぜ生活保護ではダメなのか?

これは疑問に感じる方も多いのではないでしょうか。

実はこの生活保護制度は日本だけではなく、貧困を救うための制度として似たような制度を導入している国はいくつかあります。

例えば、これから2050年に向けて人口ボーナスを控えている大国インドでは、離婚したシングルマザーは月に1500ルピー(※物価調整後の価値=85ドル)の給付を毎月受けられます。

ところが調査してみると、受給資格者の実に三分の二が未申請だったと言います。

なぜこのようなことが起こるのでしょうか?

手続きの煩雑さ

書類整理&処理能力の欠如、または識字率の問題

情報不足(自身が資格者だという情報が得られない)

ことにあるのではないかと言われています。

ポイント

貧困撲滅に尽力した社会活動家ティエリー・ローチさんは、ホームレスだったころ、フランス政府が打ち出した貧困層の30%に補助金を出すと知ったとき「どうせ、私と家族はその30%には入らない。その支援が貧しい人全員のためでないなら私は反対する。」と反対し、受給者になることを拒み続けたそうです。

プライド・・・?

また、社会から貧困層認定されることを拒み続ける層も一定数存在しています。

特に資本主義がしっかりと根付いているアメリカでは貧困は自己責任という風潮もしっかりと根付いているため、「給付を受ける資格がある」と政府から認定されることに強い抵抗感を感じる方も多いそうです。

日本でもとあるドキュメンタリー番組で、ホームレスに「なぜ生活保護を受けないのか?」という質問に対して、「家族に連絡がいくのが嫌だ」「俺にだってプライドがある」と答えた方もいらっしゃいました。

他に、アメリカのカリフォルニア州で興味深いこんな事例も報告されています。

政府発行のフードスタンプ(受給者はデビットカードのように、スーパーや日常の買い物で使用できるカードを受け取れる)に関する簡単な調査。

とある税理士事務所では、このカードを受給できる資格保持者をランダムに選定し、広告会社が作成したフードスタンプのおしゃれなパンフレットを渡すチームと、通常の地味なパンフレットを渡すチームとで検証。

おしゃれなパンフレットにはこのように書かれています。

ゴールデンステート・アドバンテージ・カード「食品店で豊かな買い物を」「勤労者世帯は受給できる可能性が高い」

すると、おしゃれなパンフレットを渡したチームはよりフードスタンプに興味を示す割合が高くなったそうです。

本当に必要な人に行き届くために

このように本当に保護やサポートが必要な人が受給できないというケースが世界各国で起こっており、これらの問題もベーシックインカムの導入によって解決できるのではないか?

と近年議論が活発になっています。

ベーシックインカム4つのメリット

それでは次に一般的に考えられているベーシックインカムのメリットについてまとめてみましょう。

1、犯罪が減る

日本で起こる犯罪の多くはベーシックインカムの導入によって激減するのではないか?

と考えられています。

少し情報が古いのとバラバラになりますが、

平成30年の侵入窃盗による強盗の発生件数は31,505件。

万引きの件数は2016年~は一年あたり7万件を切ってはいますが、2018年まで6万件以上をキープしています。

例えば平成28年度だと、全体の犯罪検挙数208,646件の内、万引きの占める割合は37.4%(約7万8千件)にもなっています。

もちろん、強盗窃盗や万引きが一概に貧困が原因だというデータはありませんが、ある程度貧困が関わっていることが想像できます。

年間に6万件~7万件の万引きすべてにもちろん警察官は真摯に対応していきます。

ベーシックインカムを配り、犯罪を減らす方がこれら警察官はもちろん、起訴されるとすれば膨大な人数の公務員にかかる税金、公務員の労働生産性の損失よりも安く済むんじゃないか?

という考え方です。

注意

ただし、犯罪が減るという実験データもなければすべては推測にすぎません。

当然、逆に増加する可能性だってゼロではありません。

2、少子化対策

少子化対策にも効果的だと考えられています。

一人当たりに対して支給されるベーシックインカムですから、子供にももちろん受給資格が生じます。

貧困で子育てを諦めなければいけない家庭や、収入の少ない若年層でも安心して子育てができる環境を構築できるため、少子化の防止策として注目されています。

注意

こちらもデータがありませんし、少子化のカバーはできても、高齢化(介護関連)の対策が考慮されていません。

いくら子育てに対しての資金が確保されているとしても介護と子育てを両立させることのできる社会体制も必要なのかもしれません。

3、地方活性化

日本でもコロナパンデミックの影響でリモートワークの可能性が見いだされたり、先進国では永久にリモートワークを導入する企業が現れたりと、大都会に住む意味も改められつつあります。

米国でも都市から地方への引っ越し需要が一気に増しているそうです。

日本では昭和時代、東京に人を集め、一極集中することによって経済を活性化させようと頑張ってきました。

20世紀後半にかけてテレビやドラマなどで誘導された若者が挙って東京に憧れ、東京を目指して移住していきました。

しかし、今さら再び地方を活性化させましょう!

地元に戻りましょう!

Iターンしてください!

などと呼びかけても現状では雇用がありません。

生活できないわけです。

ポイント

しかしベーシックインカムを導入することによって、東京への一極集中から分散させることができ生産世代が地方で分散して住むことができるようになるため、地方創生に役立ちます。

注意

だからといって、各地方でインフラが整備されるという保証はありません。

基本的には人が集まってくればインフラ需要が生れ、インフラの整備は進むことが予想できますが、現状では推測でしかありません。

4、新しいビジネスが生まれる可能性

定額で給付が受けられるとなれば新しいスキルを習得したり、新しいビジネスの考案をしたりと、何かにチャレンジする余裕が産まれます。

結果として社会が発展する可能性が産まれます。

注意

次のデメリットで紹介する労働意欲の低下と表裏一体な面があります。

ベーシックインカムの4つのデメリット

次にデメリットとして考えれることを挙げてみましょう。

1、労働意欲が低下する可能性

毎月生活を維持するための最低水準の給付が政府から支給されるとしたら、働かなくなる人が増え、逆に国の生産性が低下するのではないか?

という懸念があります。

注意

労働意欲の低下に対する実験は小規模ではありますが過去にいくつか事例が報告されています。

1971年~1982年にかけて4800世帯を対象にしたシアトル=デンバー実験では、労働時間の減少は適用されない男性の9%減にとどまっています。

一方妻の女性の場合の労働時間の減少は20%減となっています。

ポイント

サンプル数の少なさや、データの回収に不備があったり、参加者が実験の意図を充分に理解していなかったりと、一般的には実験結果に対しての信頼性は低いと判断されています。

2、財源の確保

当然財源の確保は深刻な問題の一つと言われています。

注意

ただし、メリット1でも登場した犯罪の減少効果が仮に期待できるとすれば、そのために稼働する税金や、その他ベーシックインカム導入によって削られるその他の社会保障制度費を充てることができます。

3、新たな犯罪

現状でもすでに、貧困ビジネスとも言われる生活保護やその他社会保障を利用した悪徳なビジネスが横行しています。

2020年のコロナパンデミックの最中でも、10万円給付やその他持続化給付金を巡って不正受給や、詐欺などの事件が発生しています。

例えば高齢者などを狙った詐欺や、その他現在でも横行しているような貧困ビジネスが加速し、社会的に悪影響が起こらないとも言い切れません。

また、性犯罪や暴力事件など、貧困を満たす目的以外の犯罪に魔が差す人も出てくる可能性もありえます。

注意

こちらも未知数ではあります。

高齢者詐欺まではいかずとも、グループで囲い込んでしまうような新たな社会問題も発生するかもしれませんね。

4、社会保障制度をリセット

ベーシックインカムを導入するのであればもちろん現状の社会保障制度はリセットされます。

チェック

「麻生大臣いかがですか?ベーシックインカムについてのご所見は」と尋ねられた麻生太郎さんはこのように答えていました。(正確な文字起こしではありません)

memo

(省略あり)社会保障制度っていうのは、これは、日本の場合ではかなり皆保険等々含めまして、あの~アメリカなんかに比べても冠たるもんだと思ってるんですけれども、病気や怪我とかで人生様々なリスクっていうのはいろいろあるんだと思いますけれども、所得、資産、うーん、所帯の助長ですかね~そういったようなものとか、難病、奇病等々、持って産まれた病気等々、特に配慮すべき持病があるかどうかといった、あのーそれぞれ各人が持っておられる個別な事情っていうのに対応できるというそれを踏まえた上で自助控除共助というのを適切に組み合わせて対応していくって言うのがこれは日本の基本的な考えでこれまでやってきたと思って、少なくともこれは今、アメリカあの~えらい非常事態っていってますけどあのアメリカで風邪ひいてちょっと病院いったらまず最低今300ドルくらいとられるかそれくらい取られるか、日本でいくらです?間違いなく三万円も取られることはまずないと思いますね、アメリカで普通の人がいったらまず黙って300ドルは取られると思いますが、薬貰ったらさらに、っていう金なんだと思いますんでそういった意味では日本の社会保障っていうのはかなりうまくいってる方なんだと思っておりますんで、あの~今のようにすべての個人対して最低限の所得を全部一律に無条件で与えるいわゆるベーシックインカムって言われる話ですけれどもこれを導入するにあたっては、これらの制度を全部辞めてそれに変えろ、という風に関しては少々慎重に対応せんといかんと思っております。

病院に関してはアメリカだと民間の保険が日本では考えられないくらい充実していますし、通称オバマケアも始まり、高額医療費の助成制度も着々と積み重なっていますので、一昔前のイメージという感じではあります。

しかし、日本の社会保障制度は確かにかなり複雑怪奇ではありますが、確かに「個別な事情っていうのに対応でる自助控除共助」があるように個人的には感じています。

確かに持って産まれた病気等々、難病奇病等々も考慮せずに全部一律というと、そこにまた格差が産まれそうな気もしますし、介護保険制度も始まったばかりで、問題は山積みではありますが、安心して過ごせる老後が確保されているため日本という国に安住し、喜んで税金を納められるという仕組みが社会保障制度の肝にもなってきます。

こうしてみると、ベーシックインカムの最も議論すべきポイントは、この社会保障制度のリセットなのかもしれません。

資本主義社会は貧困層と富裕層の格差が拡大していくシステムになっています。

当然格差が広がると暴力や奪い合いなどをはじめとした弊害が生まれます。

その弊害を補修するような仕組みがベーシックインカムなのかもしれません。

つまり、従来通り富裕層は経済の発展と共に益々富を得られ、格差から生まれる「弊害のみを取り除く貧困層の底固め」というシステムがベーシックインカムなのかもしれません。

そう考えると、麻生さんのご所見もすんなり入ってきます。

貧困層や、本来社会保障が必要な「個別な事情を抱える層」にとっては必ずしも歓迎されるべきシステムとは言えないのかもしれません。

注意

受給要件を設けたり、変更したり、さらに増額の設定をするとなるとベーシックインカムの本質を見失い本末転倒となってしまうため、ここの変更は論外かと思います。

テクノロジーが単純労働を奪う

もうすでにテクノロジーや人工知能の活用、応用などの黎明期は終焉しつつあるため、活発にベーシックインカムの議論や、コロナパンデミックの影響で欧米各国が実験的に導入を始めたりしています。

  • 人間はなんのために存在しているのか?
  • 生活するとはなんなのか?

これらの問いを個人で考えていかなければいけない時代に突入しました。

ベーシックインカムは資本主義の欠陥部分を一時的に埋め合わせるダクトテープのような存在なのか?

もしくは資本主義を完璧に補強するための追加パーツなのか?

実験も検証もまだまだ未発達なため誰も答えを知りません。

先日もドイツでUBI(ユニバーサルベーシックインカム)の実験が始まりました。

ドイツ経済研究所によるユニバーサル・ベーシック・インカム(UBI)研究の一環として、120人のドイツ人が3年にわたって毎月1200ユーロ(約15万円)を受け取る。UBIは国民あるいは居住者に対して最低限必要な所得を保障する政策で、通常は政府から現金の支給という形で行われる。暫定的なUBIは、すでにアメリカ、スペイン、デンマークなどいくつかの国で実施されている。

Yahoo!ニュース

先進国が先陣を切って実験のに乗り出し、各国の経済学者や政治家はそれらのデータを注視しています。

  • 労働意欲が著しく低下しないか?
  • 新たな犯罪が増えないか?
  • 社会保障がなくなった場合の影響は?

などが非常に重要なポイントとなるかと思います。

個人的には調べてみても、賛成か反対か・・・まだ答えは出せていません。

冒頭で紹介したビルゲイツのオススメ本の中にはより詳細に経済学者の視点で書かれており非常に参考になりました。

興味のある方は是非読んでみてください。

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