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本日はノーマライズについて考察したいと思います。
さて、DaVinci ResolveやCubaseでのEQの使い方や、ノーマライズについて学んできました。
ノーマライズはソフトのデフォルト設定では0dbになっていますが、本当にそれでいいのでしょうか?
ノーマライズはわさびである

- 単に迫力ある音にしたいのか。
- 聞き取りやすい声に整えたいのか。
- 音量を大きくしたいのか。
実はノーマライズの目的や理由は様々です。
迫力ある音といっても、感じ方は人それぞれです。
最高の本マグロを目利きする能力こそが音響の要であるとお伝えしてきましたが、最高の本マグロで刺身やお寿司を作ったときの最後の段階であるノーマライズはまさにわさびであると言えます。
わさびの存在ってなんでしょうか?
単純につけたら美味しいから、たくさん付けるというものではありません。
付けすぎると鼻にツーンとくるから、付けない方がいい・・・ものでもありません。
荒削りのわさびもあれば、クリームのようなわさびもあります。
適度に、、、〇〇グラムくらいと決めて付けるものでもありませんよね。
仮に会食でお刺身をいただくとしたら、ネタの種類によっても、食べる順番によっても、合わせる日本酒の開き具合によって付ける量も場所も種類も違ってくるはずです。
音響調整のノーマライズもまさにそんな感覚であると筆者は感じています。
最大音量は0db
dbのことをデシベルと呼びます。

dBは電話を発明したアレキサンダー・グラハム・ベルの名前が由来になっています。
「dB(デシベル)」は音の大きさや強さを表す単位として一般的に広く使われており、もちろん国際的にも通じます。
デジタルオーディオでは0dbが最大値となっており、これを超えると音が割れてしまいます。(壊れる)
なので、0dbを超えないようにしないといけないわけですが、例えばゲイン調整で音を持ち上げると、一部の部分が壊れてしまう可能性があるのでノーマライズを使うわけです。
例えば音は波になっているわけで、「-24db」の部分もあれば、「-5db」の部分もあるわけです。
当然「-24db」の部分を大きく聞かせたくて持ち上げるとわずか5db upさせただけで「-5db」だった部分は壊れてしまいますよね。
そこで、ノーマライズ処理を行う場合は最大値を計測して、最大値を基準値として採用するわけです。
つまり、「-24db」の部分もあれば、「-5db」の部分もある音源の場合は「-5db」で調整します。
すると、-24dbだった箇所は-19dbまでしか上がらず・・・
そこで登場するのがコンプレッサー
ただし、残念ながらコンプレッサーは当講座では使いません。
これはまさにじゃがりこ飯的マスタリングの真骨頂とも言える技であり、本マグロに使う必要のない道具だと筆者は考えています。
音響チャンレンジ:18日目【じゃがりこ飯的マスタリング】超簡単マスタリングのやり方
コンプレッサーは上記のような「-24db」の部分もあれば、「-5db」の部分もある音源の場合で、且つ最低値が-19dbでは足りない。。。
というときに使います。
ちょっと正確に書くと、瞬間的に0dbを超えるような波形のポイントを算出し、そこに1倍以下の倍率で圧縮をかけて削る・・・いえ、潰していく作業です。
コンプレッサーは圧縮
音圧は密度です。
コンプレッサーはこの密度を圧縮することで、全体のノーマライズ許容量を広げてくれます。
コンピューターのファイルで考えてみるのはいかがでしょうか?
1ギガの容量のメモリーカードに写真を詰めれるだけ詰めたい!
でもRAWファイルだと1000枚しか入らない。
だからJpegに圧縮しよう。
すると、1万枚入った。
つまり、圧縮する分だけ音質に影響は必ず出てきます。
もちろん最近のコンプレッサーは優秀です。
ほとんど差のわからないコンプレッサーも多数あります。
高級本マグロを2匹運びたい
豊洲で手に入れた最高の本マグロ、運びたいけど、二匹積めない。。。
よし!
ツナ缶にしよう!
というイメージです。
いや・・・
全然ありなんですよ。
最高級の本マグロのツナ缶なんて最高に美味しいんですよ。
なんの文句もありません。
ただ、筆者は好みじゃないというだけのお話。
コンプレッサーはやはり筆者の継承したタイムマシンレコードの音の哲学には反してしまいます。
でもまあ運搬したあとに職人の手によってツナマヨ軍艦を作ってもらう・・・ったらそりゃ美味しいに決まってる。
鮮度を保って魚を運搬するために燻製にする・・・
そんなの最高に決まってます。
というように、コンプレッサーは使い方次第では非常に有効で強力な武器となりえます。
じゃがりこ飯的マスタリングを目指す方は是非習得したいツールの一つになります。
ノーマライズ値は-2db程度に・・・
というわけで、冒頭のわさびの例えでも、ダビンチの会でもCubaseの会でもお伝えしましたが、ノーマライズは最大値まで上げても、音源によっては相性が悪かったり、音が悪くなると感じることがあります。
理想的にはモニターしながら最適な最大値まで上げていきノーマライズ値を決めるということですが、筆者の感覚的には-2dbあたりまででまとめることが多かったので当講座での平均値としたいと思います。
各種音源の最適なノーマライズ値を見つけられるようになるまでは-2db程度を基準に合わせてみてください。
落差のある音源も楽しむ
特に現代音楽などを収録すると、もう現場でも聞こえるか聞こえないかのピアニッシモから突然フォルテ6つみたいな状況もありえます。
そんなとき、基本的に納品するためにはマキシマイザーやコンプレッサーなどを駆使して調整するのがセオリーだとは思いますが、筆者はその落差も含めて音源の楽しみの一つと考えていますので、通常のノーマライズのみ、また、これは次回お伝えしますが、超理想的なお話をすると、マイクアンプのコントロールだけで全部バチッと決めてしまうのが理想です。
次回はこれらの調整を録音状態から意識することをテーマに最終章である、マイクセッティングに繋げたいと思います。
