ジャズピアノトリオの録音方法〜ベースとバスドラムの融合とドラムの空間性

本日のポッドキャストは世にも珍しい無指向性のワンポイント録音でジャズピアノトリオを収録される、金田式DC録音の名手:五島昭彦先生に、ジャズピアノトリオの収録方法や考え方などを質問してみました。

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この記事はポッドキャスト連携記事となっています!
参考音源はポッドキャスト内でご視聴くださいませ。

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本日の使用レコーダーは、こうたろうがZOOM F6, 五島先生がタスカムのDR-05Xを使用しています。

TASCAM ( タスカム ) / DR-05X ハンディレコーダーをサウンドハウスで見てみる ZOOM ( ズーム ) / F6をサウンドハウスで見てみる

マインド

五島先生の録音マインドとは、技術的な正論を軸に合わせていくことによって、音楽性が失われたり、寂しい音になってしまうことの方がリスクであるという考え方がベースになっています。

クライアントワークではどうしても技術的な正論が優先になりがちです。

それは素晴らしい音楽を書き綴ることが主な仕事ではなく、絶対に失敗しないことが主な仕事だからです。

良いか悪いかは人それぞれ、そしてビジネスのやり方、考え方次第ですが、五島先生が今回伝えてくれたマインドは一般的なクライアントワークの考え方とは真逆。

まずはどんな音楽がそこにあって、どんなワクワクがそこにあるのか?

技術的な正論からずれた現象にネガティブさを感じないチャレンジ力が大切であるという考え方です。

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だからこそ筆者は音楽制作とクライアントワークの相性はよくないと思っています。
失敗しないことを優先にしない、製作陣全員が挑戦できるような環境が大切だと考えています。

バスドラムとベースの融合

jazzや民族音楽の醍醐味といえば、演奏家との距離感やライブ感。

マルチマイクでのレコーディングよりも生ライブが優れている点がこういったドラムとベースの融合だったり、シンバルとピアノの融合だったり、バンド全体としてのバンドサウンドを堪能できるのもライブの優位性の一つ。

五島先生もラジオ内でおっしゃっているように、ベースと融合するとバスドラムの音程がかわったり、またバンドの推進力などもバスドラムがベースとリンクすることによって調整する側面があったり、ベースとドラムは常に一体となって動きます。

そのため、ピアノトリオだろうが、ビッグバンドだろうが、いつだってベーシストはドラマーの隣に陣取ります。

ライブ、コンサートでの楽器の配置にはすべて意味があり、音響的にも昔からよく考えられた伝統スタイルなわけです。

オーケストラはなぜあの順番で並ぶのか?

以前録音のヒントカテゴリーでもお伝えしましたが、オーケストラがあの配置なのには意味があります。

マイクセッティングを覚えるためにオーケストラを聴きにいこう

決して1+1は2とは限らない音響の世界。

ある音とある音が混ざると別世界が広がったりします。

そのため、多くのオーケストラ作品は特殊な映画音楽や、サンプリング音源のプロジェクト以外はワンポイント、つまりホールの釣りマイクで行います。

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ホールの釣りマイクに金田式DCマイクをセットしてテストしたレポートはこちらを参考にしてください。
最初期の金田式DCマイクの音を体験できます。

【金田式DCマイク】 ショップス MK2, DPA2006カプセルでテストレポート:マイクに対する考え方

それはジャズの録音も同じ。

筆者がジャズピアニスト時代にライブをしていたころは、リハーサルの2時間前に録音エンジニアの五島先生と現場入りし、ピアノの角度、また会場での置く場所等何度も何度も変えながらその場、空間で最高の音がなるポイントを楽器レベルで探していました。

例えばこちらのピアノサウンドは五島先生とはじめてのセッションで収録したスタイウェイのB型、DPA4006とサウンドデバイスの702Tを使った究極にシンプルな構成で収録した最高のピアノ録音になっています。

調律:松岡一夫
録音:五島昭彦
演奏:服部洸太郎

友人調律師が8時間かけて調整し、現場入りしてからもピアノの位置、角度、様々な視点で3時間調整、リハーサルは1時間というスケジュールで収録しています。

ポイントワンポイント録音はマルチマイクに比べると立てるマイクの本数は少ないですし、セッティングも楽に見えますが、実はこういった楽器レベルでの音響も考慮するような現場もあり、制作をしていく側としても大変有意義かつ大掛かりな時間となります。

そういった現場レベルで微調整された音響を仕上げていくのが今回紹介しているような無指向性マイクでのワンポイント収録になります。

ショップスのMK2カプセルですが、現在ではMK5が出ていますので、コストパフォーマンス的にもMK5がおすすめです。

SCHOEPS ( ショップス ) / Stereo-Set MK 5をサウンドハウスで見てみる

マルチマイクではベースとバスドラムの自然な融合は再現できませんし、シンバルとピアノの融合も再現できません。

もちろんマルチマイクは定位をバラけさせて別の臨場感を演出するような表現も可能で無指向性ワンポイントだけが正解でもありません。

それぞれ考え方、様々です。

ラジオ内で紹介している音源

使用機材無指向性金田式DCマイク(SCHOEPS MK2) + 金田式DC録音システム

ラジオ内で紹介しているミニアルバムは関西ジャズピアノ界の巨匠:岩佐康彦さんのピアノトリオです。

96khzハイレゾ音源はこちらから

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音響資料室では96khz / 24bitのハイレゾ音源で配信しています。
なかなかハイレゾで体験することが難しい金田式DC録音の音源も96khzで試聴できますので、オーディオの神様:金田明彦氏の愛弟子、五島昭彦先生が手がけた金田式DC録音の音を存分に楽しんでくださいね!

Kotaro Studioの音響資料室

Kotaro
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服部 洸太郎
音大を卒業後ピアニストとして活動。
自身のピアノトリオで活動後北欧スウェーデンにてシンガーアーティストLindha Kallerdahlと声帯とピアノによる即興哲学を研究。
その後ドイツへ渡りケルンにてAchim Tangと共に作品制作。
帰国後、金田式電流伝送DC録音の名手:五島昭彦氏のスタジオ「タイムマシンレコード」にアシスタントとして弟子入りし、録音エンジニアとしての活動開始。
独立後、音楽レーベル「芸術工房Pinocoa(現在はKotaro Studioに統合)」を立ち上げ、タンゴやクラシックなどのアコースティック音楽作品を多数プロデュース。
その後、秋山庄太郎氏後継の写真スタジオ「村上アーカイブス」でサウンドデザイナー兼音響担当として映像制作チームに参加。
村上宏治氏の元で本格的に写真、映像技術を学ぶ。
祖父母の在宅介護をきっかけにプログラムの世界に興味を持ち、介護で使えるプログラムをM5Stackを使って自作。
株式会社 ジオセンスの代表取締役社長:小林一英氏よりプログラムを学ぶ。
現在はKotaro Studioにてアルゼンチンタンゴをはじめとした民族音楽に関する文化の研究、ピアノ音響、さらに432hz周波数を使った癒しのサウンドを研究中。
2022年9月より豊かな暮らしをテーマとしたウェブサイト『レンタルdeクラセル』も発信中〜