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投機や投資をするためにも個人投資家は出来る限りフレッシュなニュースを毎日収集し、それらのニュースからバイアスを抜いて理解していく作業を毎日繰り返さなければいけません。
そんな中で人は確立に関して高い数字を見てしまうと、どうしてもサンプルサイズ無視バイアスが働いてしまい、そこから確証バイアスや一貫性バイアスなどが連結して発動し、誤った情報収集のルートをたどりがちになってしまいます。
【確証バイアス】毎日逃れられない強力なバイアス (サイト内記事)
本日は顧客満足度90%以上の広告を創る方法を例に、サンプルサイズについて見ていきましょう。
顧客満足度90%以上の作り方

10人中9人が満足したと答えた場合、満足度は90%となります。
ところが、100人規模で見ると90人が満足しなければ90%は作れません。
とっても簡単ですが、私たちは高い確率を見せられるとついサンプルサイズを無視してしまいがちです。
都合のいいサンプルサイズ
「自社調べ」「独自調査」「当社比較」などはこの方法が使えます。
満足した人が9人になるまでリサーチアンケートを取り、9人集まった時点で満足できなかった1人を足せば顧客満足度90%以上の完成となります。
もちろんサンプルサイズを10倍、100倍と増やすことも自由ですが、私たちが本当に見なければいけない点はサンプルサイズのはずで、結果ではないはずです。
ファイザーとモデルナの一件
2020年の11月にファイザーとモデルナが軒並みコロナワクチンの有効性について発表しました。
となっています。
発表当時はファイザーは90%以上の有効性としていましたが、モデルナの94.5%が出てから95%に修正しました。
この例で見ると、サンプルサイズはかなり小さいと考えられます。
いえ、もっと情報を探ってみましょう。
ワクチン開発に携わった参加者全体の人数が合計で上記の数字となっていますが、例えばファイザーの例でいうと・・・
「被験者のうち170人が新型コロナに感染した。そのうちワクチン接種を受けたのは8人で、162人は偽薬の接種を受けた被験者だった。ワクチンは重症化を防ぐ効果も示し、重症患者10人のうち9人が偽薬グループだった。」
引用:Bloomberg
となっています。
ピックアップされた重症患者の定義とは?!
執筆時点で全世界感染者数は5560万人とされています。
この数字と結果をどう見るか、そしてこの情報からどういう戦略を立てるか?が個人投資家それぞれの腕の見せ所と言えるのかもしれません。
確率均衡自動修正バイアス

一般人は、確率は自動修正されるものだと思っている。
Tversky & Kahneman (1974)
ある方向に偏向すると、次は均衡を回復するためにそれとは反対の方向に偏向すると考える。
ところが実際は、変更が確率過程で修正されることはない。
単に薄められるだけである。
例えば、ポーカーで弱い訳を10回連続で引いたギャンブラーは次こそは良い役を引くと思い込み、同じ番号で宝くじを買い続けた人が、一度当たったら、次回からは同じ番号の宝くじは買わないといった現象です。
投機手法にもこのようなバイアスがかかってしうまうことはないでしょうか?
- 「ここまで下がったんだからさすがにもう上がるだろう」
- 「こんなに一気に急騰(or暴落)したんだから、大丈夫」
こういうときは、確率均衡自動修正バイアスにかかっている可能性があることをしっかり把握しておきましょう。
「安すぎる」という銘柄はしばしばさらに下がっていくからだ。
引用:ジム・クレイマーの“ローリスク”株式必勝講座
9回連続でシュートを決めるバスケットボール選手10回目の成功確率は?
さて、どうお考えでしょうか?
心理学者であっても、試行回数や標本数が少ないのに、大数の法則が当てはまると誤って考えてしまう。
Tversky & Kahneman (1974)
つまり、サンプルに採った現象がその母集団を正確に代表していると、基本的な統計学の許す範囲を超えて課題に信じてしまう傾向があるのである。
科学者は往々にして、最初に採ったサンプルから得られた結果に過大な信頼を置いてしまって、その発見が母集団にも当てはまると著しく過大評価してしまう。
直前のシュートが成功だったかどうかは、次のシュートの成功確率に影響を及ぼしません。
にもかかわらずこの数字を見るとどうしても10回目の成功確率は「非常に高い」と評価してしまう傾向にあるのではないでしょうか。
まとめ
ニュースや情報を集める際はタイトルの数字からバイアスが掛からないように注意しましょう。
さらに、逆張りや順張り、どちらの手法も状況により使い分けるべきだとは思いますが、確率均衡自動修正バイアスがかかっていないかどうかを冷静に見極めることが大切です。