【Steinway D:ピアノ録音】ワンポイント録音の威力を痛感する2つの音源聴き比べ

「ワンポイント録音って実際適当に置いてるんじゃないの?」

こんな風に思っている方、実はいらっしゃるんじゃないでしょうか?

本日はワンポイント録音の威力を本当に痛感した二つの音源の聴き比べを紹介したいと思います。

筆者が録音エンジニアとしてより一層音への理解が深まった体験でした。

ピアノ録音は特に奥が深い・・・

音の宇宙とも言われるピアノ。

それはまるで生き物のように呼吸し、少しでも機嫌を損ねれば悲惨な音響へと舵を切られてしまいます。

録音する方の中でもピアノは特にどうマイキングしたらいいか?

お悩みの方も多いのではないでしょうか?

それは例え指向性でのマルチマイク収録の際でも、ミックスの段階でこの宇宙に呑み込まれたらもう帰ってくることはできません。

まさにブラックホールな楽器なのです。

この記事で紹介する音源を収録していたとき、筆者もまさにそのピアノのブラックホールに呑み込まれた一人でした。

タンゴバンドを収録していた流れでのピアノソロ

この音源の収録の日は朝からずっとタンゴバンドを収録していました。

もう耳がバンドサウンドでのモニター耳になってしまっていたんですね。

そのバンドというのがこちら
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この収録のあとでリハーサルの隙間にピアノソロを収録していました。

バンドネオンやら弦楽器やらに意識を集中していて、突然ピアノソロに切り替わると頭が追い付いていかない・・・

という感覚だったわけです。

二つの音源聴き比べ

バンドからピアノソロサウンドへの切り替えがうまくいかず、ピアノの最高ポイントがわからずに右往左往しながらなんとか見つけた音場がこちら
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スタイウェイのフルコンなので、それなりに良い音はしてるんですが、やはり何か違う。。。

ワンポイント録音の現場は感性で決まらなければもうはまることはありません。

この時はもうモニターの段階で、「これは違う。。。」と感じながら聴いていました。

モニターでハマったときは、「ああ、、、ここね。。。ここ!ここなんだよ!」とはっきりとわかるのがワンポイント録音の特徴。

正解のない世界だと思われがちですが、実はかなり明確な正解の鐘が鳴り響くわけです。

もうブラックホールから抜けられなくなった時にふと思い出したんです。

録音エンジニアの師匠である五島昭彦氏のアシスタントをしていたときのこと、師匠のピアノ録音の際によくセッティングする高さと位置を想い出したんです。

もうその時のセッティングパクるしかない。

そうなんです。

真似してみたんです。

すると、モニターから聴こえてくるのは正解の鐘が鳴り響く寸前まで一気にいきました。

そこから微調整すると・・・
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もう音の艶から、伸びから深み、色合いなどすべてが別世界の音に変わりました。

もちろん楽器も奏者も変わっていません。

環境だって全く同じ環境と機材。

しかも、ブラックホール時のマイク位置からわずか数十センチ動かしただけなのです。

ワンポイント録音の威力・・・伝わりますでしょうか?

使用した音響機材はこちら
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まとめ:ワンポイント録音の威力

  • ワンポイント録音は実は現場ごとに正解ポイントがある。
  • わずか数十センチ、数センチの違いで恐ろしいほどに音が変わる。
  • ピアノのワンポイント録音は無指向性を使うとホールによってはブラックホールに呑み込まれてしまう。

みなさんも是非諦めずに最高のポイントを探してみてください!

この記事を書いた人

こうたろう

元ピアニストでフォトグラファー&サウンドデザイナー
ミュージシャンだった父の音楽スタジオと、モデルだった母の仕事場であるフォトスタジオの現像ルームが子供時代の遊び場という恵まれた環境で育つ。
音楽大学を卒業後ピアニストとして活動を開始。
自身のピアノトリオで活動後北欧スウェーデンにてヨーテポリを拠点に活動するシンガーアーティストLindha Kallerdahlとセッションを重ね声帯とピアノによる即興哲学を研究。
その後単身ドイツ・ケルンへ渡独。
ドイツから帰国後ピアノソロ作品アルバムと共に同時リリース。
金田式電流伝送DC録音の第一人者である五島昭彦氏のスタジオ「タイムマシンレコード」にアシスタントとして弟子入りし、活動を開始。
独立後、音楽プロデューサーとして音楽レーベル「芸術工房Pinocoa(現在はKotaro Studioに統合)」を立ち上げ、タンゴやクラシックを中心としたアコースティック音楽作品を多数プロデュース。
現在は元ピアニストの経験を生かしたミュージシャンのライブフォトを得意としながら、肖像写真、動物写真、自然写真を中心にミュージックビデオの制作などオーディオ技術も得意とするフォトグラファーとして活動中。