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投資と投機、よく見る単語ですがどう違うのでしょうか?
投資家と投機家、それぞれ区別されています。
例えば、投資の神様とも呼ばれるウォーレン・バフェットは完全に投資家です。
一方でジェシー・リバモアを投資家と呼ぶ人は少数派だと思われます。
ジェシー・リバモア (Jesse Livermore) (サイト内記事)
彼は一般的には完全な投機家です。
では境界線はどこにあるのでしょうか?
非常に難しい線引きになりますが整理していきたいと思います。
書籍: 伝説のトレーダー集団 タートル流投資の魔術 にはこんな記述があります。
トレーダーと呼ばれる人種は、投資家とどこがどう違うのだろうか。
伝説のトレーダー集団 タートル流投資の魔術
この両者の境目がしばしばあいまいになるのは、投資家を自称する人の多くが、実際にはトレーダーのような行動をとるからだ。
投資家とは、数年ないし数十年の長期的な視野に立って、自分の投資が価値を生むという見込みのもと、「もの」を買って長く保有する人のことだ。
投機と投資の違い

投機と投資の違いについて、バリュー投資の父と呼ばれるベンジャミン・グレアム氏の書籍「証券分析」ではこのように記載されています。
投資 | 投機 | |
1 | 債権 | 株式 |
2 | 現物買い | 信用買い |
3 | 長期保有 | 回転売買 |
4 | インカムゲイン目的 | キャピタルゲインが目的 |
5 | 安全な証券 | リスクの大きい株式 |
グレアムの考え
投資とは詳細な分析に基づいて、元本の安全性と満足すべきリターン(投資収益)を確保する行為である。
引用:ベンジャミン・グレアム – 証券分析
この原則を満たさない行為を投機と呼ぶ。
※この定義のいくつかの意味についてはさらに詳しく検討する必要がある。
今から100年近く前に書かれた本ですが、現代でも変わらない投資の哲学が凝縮されています。
この証券分析を読むとウォーレンバフェットの言っている事、投資スタイルなど一貫性があり、強い師弟関係を感じることができます。
また、現代ではすでに存在しない会社なども例として挙げられており、米国株の長い歴史を感じることができます。
かなりヘビーな情報量でヘビーな価格ですが、本気で投資をやりたい方や、古典をしっかり学びたい方にはオススメです。
ベンジャミン・グレアムと言えば、ウォーレン・バフェットのお師匠さんと言える存在で、ウォーレンバフェットの投資スタイルがまさにベンジャミン・グレアムの定義する投資スタイルそのものになっています。
ここでは主に2,3,4辺りは現代でも一般的によく言われている考え方だと思います。
現物買い
長期投資をするのであれば現物買いは必須となります。
長い旅路で何があっても手放さない、何があってもその企業と心中するつもりの株式を保有するのであれば信用買いしていては、企業が終わる前に自身が終わってしまいます。
一方で投機する場合であればリスクを充分にコントロールした上で信用買いも一つの手法と考えることができます。
グレアムの原則によれば、「元本の安全性と満足すべきリターン(投資収益)を確保する行為」を投資と定義していますので、信用買いはこの定義から外れるわけです。
インカムゲインとキャピタルゲイン
ウォーレンバフェットはインカムゲインを最も重視しています。
「金は何も産み出さない」という言葉は有名で、例えゴールドを現物で買ったとしてもそこからインカムゲインを得ることはできません。
経済学的に以下にゴールドに優位性があったとしても決してゴールドを現物では買わず、配当(インカムゲイン)の出る、金鉱株を購入します。
【金? or 金鉱株?】3つの注目金鉱株銘柄 (サイト内記事)
同じ不動産でも、転売前提だと不動産投機、誰かに貸して長く家賃(インカムゲイン)を得続けるのを不動産投資と言えます。
植物で例えてみる

柿の木を育てるのか、もやしを育てるのか
柿の木は盛果期に達するのに14~15年かかると言われています。(一般的には苗木を購入)
しかし、寿命は長く、一般的に50年以上も果実の生産が可能だと言われています。
一方でもやしは平均して、7~10日程度で収穫することができます。
どちらも(利益を)育てて収穫することには変わりありません。
もやしの方が、あるいは柿の方が優秀ということはないと思います。
ある人にとってはもやしの方が良い場合もありますし、柿の方がいいと思われる方もいらっしゃいます。
あるいは、柿を15年かけて育てつつ、日々もやし(7~10日で収穫)や小松菜(一か月半で収穫)、ルッコラ(2~3週間で収穫)、20日大根(20日程度で収穫)などを育てるというのも一つだと思います。
ただし、重要なことは、あなたが今植えた株は、投資なのか投機なのか?
しっかり把握し、定義することが大切です。
安全性を重視する投資家は転換権などに目がくらんでこれまでの投資基準を緩めてはならないし、その一方で投機家は債権の条件を併せ持つ普通株と言ったような中途半端な証券に目を向けてはならない。
引用:ベンジャミン・グレアム – 証券分析
中略
純粋な投資と明らかな投機との中間をいくようなどっちつかずのやり方はけっしてすべきではない。
タルムード:「木の実」
タルムードにはこんなお話があります。
ある老人が庭で苗を植えていた。
引用:ユダヤ五〇〇〇年の知恵
そこに通りかかった一人の旅行者が、「いったいあなたは、その木から実が収穫できるのはいつごろだと思っているのですか?」と聞いた。
老人は、「70年もしたらなるだろう」と答えた。
旅人は「あなたはそんなに長生きするのですか」と聞いた。
「いや、違います。私が生まれた時、果樹園には豊かに実がなっていた。それは自分が生まれる前に、父が自分のために、苗を植えておいてくれたからです。それと同じことです。」
と答えた。
【ユダヤ人の成功哲学】ユダヤに関するオススメ書籍9選 (サイト内記事)
これはインカムゲイン重視の不動産投資などに当てはまらないでしょうか。
相続税などはもちろん考えなければいけませんが、先祖に優秀な投資家がいた場合、豊かな果樹園を受け取ることができます。
投資と投機はしっかり分ける

境界線はタルムード同様人の数だけ正解があるかと思います。
A社の株は投資でB社の株は投機ということはありえません。
人によってはA社でも投機になりえますし、B社でも投資になりえます。
グレアムの言葉を参考にするならば、しっかり区別して資本主義を楽しみたいところです。
銘柄の選定手法も当然違う
投資目的での銘柄選定はその会社の社史はもちろんのこと、歴代のCEO、現在のCEO、経営状態や、経営経歴、会社の理念や、長期的且つ未来の社会でのビジョン、さらに会社の株主に対する取り扱いなどなど、まさにウォーレンバフェット流の銘柄選定が必要になります。
一方で短期投機の場合は、主にテクニカル分析が軸となってくるのではないでしょうか。
おすすめは証券口座を分けてしまう
これは筆者の個人的な方法ですが、長期投資用証券口座と、短期~中期の投機用証券口座を分けて運用しています。
長期用証券口座には毎月ドルコスト平均法にて倒産するか死ぬまで持っておく株を。
短期~中期用には数日~数週間、数か月から数年で収穫する株を分けています。
(執筆時点で)証券口座の開設や口座の維持などには手数料は一切かかりませんので、開設しておいて損することはありません。
複数の会社の特徴をしっかり見極めつつ短期~中期、長期と口座をわけてしまうのがオススメです。

