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※この記事は2020年6月24日に更新されました。
以前究極の録音上達法について、記事にしました。
【究極の録音上達法】良い音を聴こう
録音技術を向上させる一番の上達法は、とにかく良い音を聴くこと。 さて、「良い音」ってなんやねん?!
本日は究極の録音上達法を進めつつ、実践的な方法を紹介したいと思います。
具体的なマイキング手法などに関してはまた別の記事で紹介します。
一日中マイクと共に過ごす

これ、是非やってみてください。
モニターの能力が飛躍的に向上します。
普段やはり録音エンジニアは現場でしかモニターしないのが普通だと思いますし、専門学校などにいっても、授業の合間、マイキングの手法もセッティング、収録中だけだったりします。
しかし、無指向性マイクをつけたまんま街に出歩いてみてください。
すると、無指向性の最高に響くポイント、人の声が凄まじく感動的に聴こえるポイント、街の音、機械音がなぜか飛躍的に響くポイントなどなどを必ず発見することが可能になります。
マイキングは究極ここだけ
だいたいこの辺に置いたらいい音が録れるよ~というセオリーはもちろんあります。
ただ、定位置なんて、箱の大きさ、残響、楽器の種類や、編成、奏者、調律、無限とも思えるような様々な条件が重なって、変わってきますよね。
結局良いマイキングとは何か?
と聞かれれば
- 最高に響く場所
- 感動する音がなる場所
- 良い音がなる場所
無理矢理広げましたが、実際これだけですよね。
そういうのを日々のトレーニングで鍛えることができるのが、この「一日中マイクと過ごすトレーニング」なんです。
具体的なセット方法

もちろん、バリバリの収録班みたいにセットして街を歩くのもいいかもしれません。
現代であればそこそこの機材装備をしていても、あんまり怪しい目で見られたりすることは少ないかと思います。
ただ、より自然の街、そして、耳に近い状態で過ごすためには、この眼鏡マイクがオススメです。
これは、筆者が以前アシスタントをしていました、金田式DC録音の専門エンジニア五島昭彦氏から伝授してもらったトレーニング法。
眼鏡の両端に無指向性マイクを付けて、レコーダーは鞄かポケットにいれて、このままヘッドホンをつけて街を歩きます。
めっちゃ感動しますよ。
試聴してみましょう!
実際に筆者がこのセットで広島県尾道市を街歩きした音声がこちら。
こちらは尾道商店街で名物おさかなドッグを挙げてくれているところ。
油の音、お姉さんの声、すごく臨場感ある音になっています。
他にも尾道観光でロープウェイに乗車した際もこの眼鏡マイクを付けっぱなしで乗車しています。
車内の様子はもちろんアナウンスがリアルな感じですよね。
こちらは尾道市と向島を繋ぐ福本渡船の出発前の音。
もちろんプラグインなどの加工は一切行っていないですが、このリバーブ感。
完全に尾道水道の自然のリバーブのみが笛の残響で感じられます。
まさに地形が創り上げた天然のリバーブですね。
また、夜ビールを飲むときだって、眼鏡マイクは付けっぱなしです。
一缶開けるたびに、どの位置、どの距離感でどのように音が変わるのか、リアルタイムで確認しながら過ごしてください。

このように並べてみると明確な違いがわかると思います。これをリアルタイムで感じ取り、場所と音響の違いを実感しながら過ごしてみてください。
必要機材

- 眼鏡(サングラス等も可)
- ハンディーレコーダー(電池・SDカード)
- 無指向性ラべリアマイク(ステレオペア)
- モニターヘッドホン
- テープ
- ウインドスクリーン
ハンディーレコーダー
筆者の使用レコーダーの写真では、TASCAM DR-100mkⅢでしたが、ここまで高性能マイク付けっぱなしトレーニングではここまで高性能じゃなくてもいいかもしれません。
この辺りになってくると、ZOOM H6なんかも検討視野に入ってくると思います。
DR-100 MKⅢとZOOM H6だと、目的や用途によって選び方がありますので、トレーディング目的でしたらもう少し安価なもので揃えてもいいかもしれません。
タスカム レコーダー DR-100MKIII 音質チェック
内蔵バッテリー+単三乾電池で野外収録にも最適なDR-100MKIIIの音質は?! 内蔵マイク、ADC部分それぞれチェックしてみましょう。
例えば、DR-40Xなんかだともう少し低価格で導入できます。
ただし、DR-40Xの場合は、ファンタム電源を使う場合電池に注意です。
もちろんファームウェアアップデートで今後改善する可能性があります。
TASCAM DR-40X 音質チェック
この編成の場合の正解はDR-40Xでピックアップポイント(バイオリンや、アコーディオンとの中心位置)にオンマイクでセットし、外部マイクにてオフマイクでセット、それぞれ美味しい周波数域をミックスしてやるのが正解なのだと推測しています。
Tascam DR-40Xのファンタム電源の話
タスカムのレコーダーDR-40Xを11月に購入し、使用しているのですが、実は、外部マイクを利用する際にファンタム電源を供給すると、電源を落ちる現象が発覚しました。
少し機種は古くなりますが、TASCAM DR-60D MKIIもオススメです。
タスカム レコーダー DR-60D MKII 購入のポイント!
TASCAM DR-60D MKIIは筆者が録音エンジニアとしての道を進む際に最初に選んだ機材で、とても思い入れの深い機材です。
マイク
マイクロフォンはまさか大口径のマイクを使う訳にはいきませんから、ラべリアマイクというのを使用します。
市販品で買うならJTS CX-500が最も低コストで、高性能。
Microphone JTS CX500 市販品最強コスパ??音質チェック
最近のレコーダーですと、DR40Xなどの組み合わせもいいかもしれません。 DR40Xの場合、内蔵指向性マイクと外部マイクの同時録音が可能なので、いろいろなセッティング方法を構築していくことができます。 DR40X+JTS CX500でだいたいの映像関係の録音はかなりの水準まで持っていくことができます。
予算がある、または、もうすでに録音業務で使っているという方はゼンハイザーMKE2で決まりです。
Sennheiser MKE2 音質チェック
フリッツ・ゼンハイザー博士(Dr. Fritz Sennheiser)によって創立された当初は”Laboratorium Wennebostel”という社名でした。 1956年に現在のゼンハイザーとなります。
モニターヘッドホン
モニターヘッドホンは当サイトではいつも一押しのHD25で決まりです。
良い音でモニター&持ち運びが楽という点で見るとこれ以上のヘッドホンはありません。
モニターヘッドホンは選択肢が1つしかない件
まさに完璧。 フラットな色付けされない音はモニターにはぴったりです。 密閉型のため、現場での音確認がとてもやりやすく、定位もしっかりと聴き分けられます。 透明感もありますが、変に抜けすぎるということもなく、ワンポイント録音に必要なモニター要素をすべて備えてると言えると思います。
ただし、自然界の収録の際は他の選択肢もありです。(後述します。)
ウインドスクリーン
ウインドスクリーンはブランドものだと一個2000円とかします。
試しにノーブランドものと比較してみましたが、実は全くといっていいほど性能に差はありません。
まあ当然ですよね。
ただのスポンジですから。
というわけで、ウインドスクリーンははまればなんでもいいです。
こういうノーブランドものをまとめ買いしていてもOK。
実際ラべリアマイクで野外収録するとわかるのですが、このウインドスクリーン、何度も落ちてあっちこっち飛んでいきます。
一個2000円のものになれば諦めもつかなくなり、深追いして事故に繋がったりしても大変なので、安物で揃えましょう。
うまく収録するコツ

この眼鏡マイク、実はうまくいけば、バイノーラルマイクスタンド並みの素晴らしい音響効果が得られるんです。
例えば臨場感あふれるアニメの音収録などでも活躍するかもしれません。
収録のコツは息遣いにあります。
眼鏡マイク~息の仕方
実は鼻呼吸するともう完全アウト・・・
どこかのおっさんのいびきみたいになってしまい、モニターしててもえらいことになってしまいます。
コツは口を半分くらい開けてブレスすること。
ちょうど鼻が完全につままれたような感じで息をするとブレス音は無音となりうまく収録できます。
このセットで、日常の音に常に意識を張り巡らせながらその場その場の最高の音響場所はどこなのか?
を探しているうちに、いつの間にか楽器収録の現場でモニター音を聞くとすぐに最高のマイク位置が見えてくるようになるかもしれません。
ワンポイント録音での最高のマイク位置は決まっていません。
常に培ってきた情報とデータ、そして最後はその音の感動する位置を信じ切れる感性にかかっています。
録音技術上達のために日々トレーニングに励みましょう!
楽しんでやれたら最高です。
音撮り網

ちなみに大自然での収録も少し紹介します。自然界での収録ではいかに軽装備で臨めるか?というの一つのポイントになってくるかと思います。もちろん近くの百円ショップに虫取り網があれば100円のもので充分です!
頑丈なマイクスタンドがあればもちろん最高ですが、自然界の収録をするなら、虫取り網の網の部分を取り払って、ラべリアマイクをつけてみるのも一つのアイディアです。
これである程度の高さの音も収録できますし、なにせ軽い。
長時間の収録になるとやはり何キロもするマイクスタンドを持っているのに比べると疲労感が桁違いに違ってくるかと思います。
自然界での収録は体力や健康状態、ロケ地の状況などを考慮し
- 虫取り網の改造版
- カメラ用の一脚
- カメラとの併設三脚
- マイクスタンド
の順番に選考していきましょう。
マイクスタンドがやはり一番重いですし場所取ります。
また自然界の収録の場合は、耳元でノイズキャンセリングがついたKOSS QZ99もアリ!です。
【KOSS QZ99】 レビュー:自然界の収録に最適
自然界の収録では耳元で調整するという機能はまさに痒い所に手が届く状態です。
ただし、このヘッドホンは音がよくないので、今回の記事内容「【録音の仕方】上達方法~実践編」で紹介するのは少し場違いかもしれません~参考までにしておいてください。
みなさんの参考になれば幸いです。