ポッドキャストの名曲解説のシリーズ。
本日は北欧ノルウェーの作曲家グリーグの紹介と、彼の名曲から一曲ピックアップしてお届け。
こちらはパブリックドメインなので、Kotaro Studio の音楽愛好家仲間のみなさんはダウンロードしてお使いいただけるように考えています。
この記事はポッドキャスト連動記事です。
このポッドキャストのメインマイクはAKGのC5というハンドタイプのマイクです。
番組内のピアノを録音したレコーダーは、タスカムのDR-60D MKIIです。
エドヴァルド・グリーグ

1888年といえば、ジョージ・イーストマンはコダックの商標を取得し、世界初のロールフィルムカメラであるNo.1コダックを発売した年でもあります。
また、Svenska Expressというカメラがスウェーデンのハッセルブラッド商会から発売されています。
グリーグの肖像写真はもう現代とほとんど同じ技術と言えますね。
詳しくはハッセルブラッドの歴史についてを参照してください。
HASSELBLAD (ハッセルブラッド)の歴史を徹底解説!
人生
(Edvard Hagerup Grieg [ˈɛdʋɑɖ ˈhɑːɡərʉp ˈɡrɪɡ]、1843年6月15日 – 1907年9月4日(64歳没))
ノルウェーの作曲家です。
当時スウェーデン統治下のノルウェーで、ベルゲン市街で5人兄弟の4番目(兄1人、姉2人、妹1人)として生まれました。
ベルゲンは1217年から1299年までノルウェーの首都でした。
現在は世界遺産として登録されていて人気の観光地となっています。
1858年には、ヴァイオリニストのオーレ・ブルに才能を見出されることとなり、3年半ライプツィヒ音楽院にて作曲法とピアノを学びました。
ライプツィヒ音楽院といえばあのメンデルスゾーンが開校した音楽学校が元になっています。
メンデルスゾーンはユダヤ人ゆえに大変な苦労をして音楽ビジネスを成功させました。
また別の機会にポッドキャスト番組内で取り上げたいと思います。
1863年からは3年間、デンマークのコペンハーゲンに居住。
1867年には、従妹(じゅうまい)でソプラノ歌手のニーナ・ハーゲルップ(Nina Hagerup, 1845年 – 1935年)と結婚。
1868年にはフランツ・リストの紹介状でノルウェー教育省から助成金を得てローマへ旅立ちます。
ローマでリストと交流をしています。
同年1868年には一人娘のアレクサンドラが誕生しますが、1869年に髄膜炎で亡くなってしまいます。
同じ頃、のちにグリーグの代表作ともなる今回ご紹介する『抒情小曲集』の第1集を出版しました。
後ほど解説しますが、この抒情小曲集『ゆりかごの歌』は一人娘のアレクサンドラを想った回想作品となっています。
1877年から1880年まではベルゲン東方のハダンゲル(ハルダンゲル)地方に移住。
晩年
1901年から健康状態が悪化。
『抒情小曲集』第10集を出版。
1903年からはパリへ行き、グラモフォン社から自作曲を録音をしています。
1907年、心不全のためベルゲン市内の病院で死去 (満64歳没)。
グリーグは二つの博士号を授与されています。
一つは1894年にケンブリッジ大学から。
もう一つが死の前年となる1906年にオックスフォード大学から授与されました。
人物像
グリーグはとても小柄で卓越したテクニックのピアニストとしても有名です。
ポッドキャストでも紹介していますが、このゆりかごの歌は一見とても簡単に演奏できそうに聞こえると思いますが、ピアニストから見ても本当に卓越したテクニックが必要な曲なんです。
それはそれはリストやショパンを勢いに任せて弾く方が簡単・・・とかいっちゃうと角が立ちますが、そう言いたいほどの難易度。
すべての指がミキサーのフェーダーのように機能させる必要がありますし、微妙なコントロールと繊細なタッチがないとメロディーがしっかり浮いてこない難曲です。
この卓越したテクニックを駆使してヨーロッパに演奏旅行度々行っています。
また、生地であるノルウェーの旧首都ベルゲンの自然と海をこよなく愛していました。
死後は火葬されて、遺言通り、トロールハウゲンの住居の下にある湖を望む岩壁に墓が設けられており、遺灰の一部は湖に撒かれています。
グリーグは手のひらに乗るぐらいの小さな蛙の置物や子豚のぬいぐるみを大切にしており、寝る時も一緒に寝ていたというエピソードが残されています。
ちなみにこの蛙の置物と子豚のぬいぐるみはグリーグの家(現在のエドヴァルド・グリーグ博物館)に実物が展示されています。

抒情小曲集とゆりかごの歌
こちらは筆者の蔵書と同じもの。
1867年から1903年にかけて作曲。
全66曲からなるピアノ曲集となっています。
全10集で構成されていて、第1集はコペンハーゲンの出版社、第2集以降はドイツのペータースから出版されました。
Heft I Op.12 (第1集 作品12)
[1] Arietta (アリエッタ)
[2] Walzer (ワルツ)
[3] Wachterlied (夜警の歌)
[4] Elfentanz (妖精の踊り)
[5] Volksweise (民謡)
[6] Norwegisch (ノルウェーの旋律)
[7] Albumblatt (手帖のページ)
[8] Vaterlandisches Lied (祖国の歌)
Heft II Op. 38 (第2集 作品38)
[9] Berceuse (子守歌)
[10] Volksweise (民謡)
[11] Melodie (メロディー)
[12] Norwegischer Tanz (ノルウェー舞曲)
[13] Springtanz (跳躍舞曲)
[14] Elegie (悲歌)
[15] Walzer (ワルツ)
[16] Kanon (カノン)
Heft III Op. 43 (第3集 作品43)
[17] Schmetterling (蝶々)
[18] Einsamer Wanderer (孤独なさすらい人)
[19] In der Heimat (ふるさとで)
[20] Voglein (小鳥)
[21] Erotik (愛の調べ)
[22] An den Fruhling (春に寄す)
Heft IV Op. 47 (第4集 作品47)
[23] Valse-Impromptu (即興的なワルツ)
[24] Albumblatt (手帖のページ)
[25] Melodie (メロディー)
[26] Norwegischer Tanz (ノルウェー舞曲)
[27] Melancholie (メランコリー)
[28] Springtanz (跳躍舞曲)
[29] Elegie (悲歌)
Heft V Op. 54 (第5集 作品54)
[30] Hirtenknabe (羊飼いの少年)
[31] Norwegischer Bauernmarsch (ノルウェー農民の行進曲)
[32] Zug der Zwerge (小人の行進)
[33] Notturno (夜想曲)
[34] Scherzo (スケルツォ)
[35] Glockengelaute (鐘の音)
Heft VI Op. 57 (第6集 作品57)
[36] Entschwundene Tage (過ぎ去った日々)
[37] Gade (ゲーゼ)
[38] Illusion (幻影)
[39] Geheimnis (秘密)
[40] Sie tanzt (彼女は踊る)
[41] Heimweh (郷愁)
Heft VII Op. 62 (第7集 作品62)
[42] Sylphide (風の精)
[43] Dank (感謝)
[44] Frazosische Serenade (フランスのセレナード)
[45] Bachlein (小川)
[46] Traumgesicht (まぼろし)
[47] Heimwarts (家路)
Heft VIII Op. 65 (第8集 作品65)
[48] Aus jungen Tagen (青春の日々から)
[49] Lied des Bauern (農夫の歌)
[50] Schwermut (メランコリー)
[51] Salon (サロン)
[52] Im Balladenton (バラードふうに)
[53] Hochzeitstag auf Troldhaugen (トロルドハウゲンの婚礼の日)
Heft IX Op. 68 (第9集 作品68)
[54] Matrosenlied (船乗りの歌)
[55] Großmutters Menuett (おばあさんのメヌエット)
[56] Zu deinen Fußen (そなたのおそばに)
[57] Abend im Hochgebirge (山の夕暮れ)
[58] An der Wiege (ゆりかごの歌)
[59] Valse mélancolique (ゆううつなワルツ)
Heft X Op. 71 (第10集 作品71)
[60] Es war einmal (昔々)
[61] Sommerabend (夏の夕べ)
[62] Kobold (小妖精)
[63] Waldesstille (森の静けさ)
[64] Norwegischer Tanz (ノルウェー舞曲)
[65] Voruber (過去)
[66] Nachklange (余韻)
An der Wiege (ゆりかごの歌)について
ゆりかごの歌はわずか1歳で失った娘への追悼や回想の想いが込められた曲。
ホ長調、アレグロ・トランキラメンテ。
1899年に出版。
娘さんは1869年に亡くなっていますので、30年の時を経ての回想となります。
もし、今生きていたら・・・なんて想いもメロディーの中から感じられる非常に感情の起伏豊かで尚且つ、癒えることのない悲しみと、安定と平穏のバランスをグリーグ自体が必死にとっている様子が伺えます。
時にノスタルジーに、そして悲しみ、また、この頃から自身の健康状態に相当な不安を抱えていた時期もあり、グリーグ自身も死というものに対して身近に感じていたのかもしれません。
複雑に入り組んだ感情を紐解くのもこの曲を楽しむポイントでもありますし、ピアノ演奏をされる方は非常に難易度が高い曲なので中級者以降の方は是非チャレンジしてみてはいかがでしょうか。
収録日によって使う機材が違いますが、ポッドキャスト収録の基本的なセットは次のセットを使っています。
メインマイクはAKGのC5。
AKGらしい音で扱いやすいハンドタイプのマイクです。
大口径マイクはどうしても場所を選ぶということもあり、ハンドタイプを使っています。
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こちらの記事を参考にしてください。
【保存版】LEWITTっていいマイクですか? 大口径マイクシリーズの選び方
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